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「へえ、ゲームねえ…。うーん、ちょっとめんどくさいかも。」
海は大きく体を伸ばして言った。
その表情は全くの余裕。
海にとって、バトルロイヤルという制度そのものが遊びに過ぎなかった。
彼には、<人殺し>の罪悪感なんて一つも持っていなかったからだ。
体は成長しても、知能が発達しても、彼にとって<死>は<誇り>高きことということに変わりなどなかった。
「そこらへんの死体集めでもいいけど……あっ、昨日のあの死体。……ダメだよねー、だって七瀬の手柄だし。」
掌で頬をペチペチ叩いて見せる海。
そこで、瞬時に目が鋭くなった。
目を見開き、瞳孔をめいいっぱいに広げようとする姿は正に狂気。
そして、首をゆっくり動かして後ろの方を見た。
「ひっ……、大歳くんッ!?」
海の二十五メートル程後ろに同じクラスの久遠優がいた。
優は、海のその姿に恐怖を感じたのか、肩にかけていたライフルを急いで持ち、弾を詰め込もうとしたと時。
「久遠、見っけ」
優が顔を上げた瞬間、顔を掴まれ勢い良く木に押し付けられた。
そして、優のカタカタ震える手からライフルを優しく取ると、それを持ちづらそうに(実際、持ちづらいのだが)片手で優に向けた。
(しまった…!)
優は失敗を犯していた。きっと逃げていれば良かったのだと思う。
ライフルに弾はもう、詰め込んであった。
「これ、何発あった?」
「じゅ、じゅうろ……」
パンッ
優が最後まで言い終わることはなかった。
それより先に海が、引き金を引いていたからだ。
ドプリ、優の口から出たのは言葉の代わりに血だった。
「ァッ…ガッァアウッ…!」
胸を貫通していた。
酸素を体に取り入れる度に、肺からヒューヒューと音が鳴り、空気が出ていく。
口から溢れるのは言葉より血で、心臓が脈を打つ度に勢いよく血が溢れた。
(どうせなら、寝てるときに狙って欲しかったかな……ウッ…)
「十六発…ふーん。弾は――ここか。」
海が久遠のポケットから残りの弾を見つけ出し、それを自分のポケットにしまった。
そして、折角しまった弾を一つ取り出した。
顔から海の手が離れた瞬間、腹を足で思いっきり押さえつけられた。
「ァあっ!!」
「あー、ごめんごめん。」
謝る気無しで海がチラリとも見ず言った。
ライフルの中にまた、新たな弾が詰め込まれる。
一度、安全装置をして、それをもう一度外すと腹を足で押さえつけたまま優の額に銃口が当てられた。
「十四発持ってれば充分。」
海が言う。
優の大きな目から涙が溢れる。
「久遠は優しいからね。僕が家の用事で帰らなきゃ行けない時も何回も掃除当番変わってもらったり、僕が怪我したときこっそり手当してくれたり、本当感謝してる。」
海は穏やかに笑ってみせた。
そして、言葉を続ける。
「安らかに。死んだら、体、埋めてあげるから。」
優の涙がこぼれ落ちる。
「よし、終わり。」
海は手についた土をはらい、額に流れる汗を拭った。
「首輪とライフル貰ってくね。」
盛り上がった土の上に近くでとった、シロツメクサの花を乗せて海は言った。
【風宮高校6番
久遠優 胸に一発頭に一発撃たれ死亡】
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星空