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喉が潰れるくらい、耳に響くほどの叫び声がその場に響く。
その声を発するのは、意外にも夏で、下半身―先程まであった左の足が無くなっている。
突然のことで呆然とする周りと、鎌と、切り取ったであろう夏の血塗れた左足を手にした矢代が何処か楽しそうに左足の付け根を抑える夏を見ていた。

「テメェェェェェエエ゛エ゛エ゛ッッッッ!!!!!!!!!」

夏が手に持っていた槍を振り回す。いきなりのことで矢代も反応が遅れる。そのおかげで、夏の槍は矢代の掌を貫通した。だがすぐさま、空間移動をされる。
体重をかけて、槍を突き刺す動きをしたことで、片脚だけで立つことなど出来なくて、
そのまま、ぐらりと前方へ倒れ込む夏の体を智也が何とか支えて座らせる。
何処か絶望したような、信じられないような、涙を流すその顔でシャツを破いて必死に止血しようとする。
応急手当をする夏と智也を尻目にマリアが矢代に攻撃を仕掛ける。

もとの身体能力は低いと思われる矢代を追いかけるもの、小まめに空間を移動されたら溜まったものじゃない。
そこに応急手当を終えた智也が参戦する。

動きに法則性があるわけではない。
だけども、2人はそれを追った。

そこで気がつく。

空間の移動先、現れる場所の空間が陽炎のようにユラユラと揺らめいている。

イチかバチか、
智也が揺らめいた場所へ回り込み刀を構える。
するっ、と矢代の姿が出てきたと思うと刀を振り下げる。
それを鎌で受け止められる。

キリキリと音が響く。

そこへマリアが回り込む。

またも、空間を移動される。


次に現れたのは菊治とトワの前。


力を結構使うのか息が荒い。
汗が滴り落ちる。
それを、菊治が拭ってやる。


ピキリピキリ、とガラスにヒビが入るような音。
矢代の目が少しだけ見開かれた。

掌を見ると、先程夏に貫通された場所からはもう血など出ていない。
良く見れば血は止まっている。

傷口は、ガラスが割れたようになっている。

ゼウスの力とテミスの力を背負った矢代の体の崩壊が始まっている。

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星空