「洸太郎、飲み行こー」
「おー」

ついこの間も見たようなやり取りだが明らかに変わっている点に気づいた俺は2人を凝視してしまった。

「あ、今日泊まっていい?」
「梓が朝飯作れよ」
「また?いいけどさぁ…何がいい?」
「なんでもいい」
「それが一番困るんだってば!」

さり気なく梓さんの手をとって歩く諏訪さんと、諏訪さんの隣にくっついて歩く梓さん。まるで夫婦のような会話に「あぁ…やっとくっついたのか…」なんて呑気なことを思った。

「ね、洸太郎」
「あ?」
「ふふ、なんでもなーい」
「なんだよ、それ」

顔を寄せ合ってクスクス笑う2人の間に流れる幸せそうな空気に俺の頬も緩む。

「あの2人やーっとくっついたな」
「そうみたいだね」
「さーて、じゃあ…俺らも飲みに行くかー」
「加古ちゃんと二宮も連れて、みんなで行こうか」

フラリと寄ってきた太刀川も何だかんだあの2人の事を気にかけてたみたいで、ニヤニヤしながら2人を眺めていた。多分、後でからかうつもりなんだろうな…。「じゃあ二宮誘ってくるわ」と、またもフラリといなくなった太刀川を見送って携帯を開いて加古ちゃんにお誘いのメールを送る。

「洸太郎」
「なんだよ」
「だいすき」
「…俺も」

遠くなった2人の影が重なったのを横目に俺は隊室に足を向けた。

(完)
→あとがき


ALICE+