「よろしくな、白川ちゃん」

「っ…!」

隣からかけられた声に思わず肩が跳ねてしまう。事の発端は数分前。担任の「席替えするぞー」、の一言だった。

窓際の一番後ろ。日当たりも風通しも最高のこの席で、誰にも気付かれずに静かに読書をするのが日課だった。はずだった。

「おーい」

「っ…よろしく、おねがいします…」

隣からかけられた二度目の声に返事を返す。口から出た声は自分でも驚くほど小さくて、賑やかなクラスの中に紛れて消えた。

2017/4/15 執筆


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