私が先輩達を言い負かしてから、私についての根も葉もない噂が校内に流れ出した。恐らく私を呼び出して文句を言っていた彼女達の仕業なのだろうが、如何せん流れてる噂の内容がお子様すぎて何とも言えない。

「金さえ払えばヤらせてくれるだとか、20歳以上年上の人と付き合ってるだとか、尾ひれが付きすぎてもう元の噂が何なのか分かんないんだよね」

嫌いな人の悪い話を流すって時点でやることが小学生だし、その噂話を楽しそうに色んな人と話す校内の連中も小学生だ。噂はしてなくてもその噂を聞いてああでもないこうでもないと言ってる奴らも小学生。噂の張本人である私が一切興味無さそうにしてるのを見て、この間先輩達が悔しそうな顔してたっけ。

「年上と付き合ってるって噂が流れたのは俺達のせいかもね〜」
「なんで?」
「そりゃ、連日車で迎えに行ってたら噂になるだろ」
「あー…確かに…」
「他に何か嫌がらせとか受けてない?大丈夫?」
「多分ないと思うよ」
「多分って何だよ…」
「やる事がお子様すぎてどこからが嫌がらせなのかイマイチ分かんない」
「嫌がらせしてる奴らには最高の褒め言葉だな」
「松田さん、悪い顔してる…」

迎えに来る人が毎回同じなら兄という可能性も考えるだろうが、迎えに来るのは毎回二人のどちらか、もしくは二人共の時もある。確かに連日男が迎えに来ていれば年上と付き合っているという噂が流れてもおかしくない。むしろよく今までそんな噂が流れなかったものだ。

他に嫌がらせ、と言われてもどこからが嫌がらせに入っているのかイマイチ分からない。確かに話しかけても無視されたり、歩いている時に足を引っ掛けられたり、すれ違いざまに暴言を吐かれたりはしているけれど。私が学校の誰かに話しかける時は先生に頼まれた時だけだし、足を引っ掛けられても動きで分かるから大体交わせるし、すれ違いざまの暴言に関しては全く気にならないから私的には嫌がらせの域に入っているとは思えない。そう言った私に松田さんが悪い顔で笑っていて、その顔が学校の人たちよりよっぽどいじめっ子の顔だったものだから思わず私も笑ってしまった。

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