「…やらかした」

寝ぼけながら時計を見て、飛び起きる。今の時刻は8時50分。今日は木曜日で、大学の授業は1限から。そして、1限が始まる時間は9時。加えて私の家から大学まで歩いて20分かかる。つまり何が言いたいかと言うと、私は寝坊したのだ。

1限は捨てるとして、2限には間に合わせようと顔を洗いに洗面所へ向かう。鏡に映った自分に何となく違和感があって首を傾げる。…何か私、幼くなってないか?心なしか胸も小さい。いや、元々そんなに大きかった訳ではないけど。

「んー?…ん?」

ひとまず、顔を洗ってキッチンへと向かう。お茶をコップに入れて飲み、少し中身の残ったコップをテーブルに置こうとして、ある物に気がつく。『みょうじなまえ様』と書かれた茶封筒がテーブルの上に置いてある。中身を見てみれば1枚の便箋が入っていた。

「住所、変更?米花町…米花町!?」

便箋には住所変更のお知らせ、と書かれていて下に新しい住所らしきものが書いてあった。この状況ももちろん意味がわからないけど新しい住所はもっと意味がわからない。米花町ってどこだ?そんな地名あったっけ?混乱する頭を動かして文章を読み進める。

「帝丹高校1年…!?」

便箋に記されていたのは私が今いる家の住所が米花町であること。そして、私は今帝丹高校という高校の1年生であること、の2つ。状況が全く掴めない上に、意味がわからない。スマホを取り出して現在地を検索すればやはり、米花町と記される。高校の場所を調べれば歩いて30分ほどの場所にあった。そしてもうひとつ驚いたのは平日だったはずの今日が休日であること。

「だめだ…全然分かんない…」

ふらふらと寝室に戻ってベッドに飛び込む。うつ伏せのまま「落ち着け自分…」なんて言いながらもう一度初めから状況を整理することにした。

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