ある日の隊室。弾バカは任務だし秀次はランク戦に誘っても断られるしで、特にすることも無くダラダラしていた俺は不意に嫌な予感がした。



「と、お、るー!」
「梓、」
「今日もかっこいい!好き!」
「梓も可愛いな」
「あー!もう!好き!」
「あぁ、俺も好きだ」
「っ!透…大好きっ」



突然、スパァン!と隊室の扉が開いた。入ってきたのはB級ソロ狙撃手の湊川だった。嫌な予感はこれか、と納得したのとほぼ同時に始まったいつものやりとり。奈良坂と湊川は所謂、バカップルだ。



「なぁ、秀次」
「なんだ」
「あれさぁ…」
「いつもの事だろう、放っておけ」



分かってはいても爽やかな笑顔で俺も好きだ、なんて言ってる奈良坂とか不気味でしかない。しかも、俺だって普通の高校生だ。彼女の一人や二人羨ましいとは思う。いや、二人はまずいか。



「相変わらずお熱いことで…」
「あれ?米屋いたの?」
「ほんとに奈良坂しか見えてないのな」
「まあね!透は世界一かっこいい」
「なら、梓は世界一可愛いな」
「やだ!もう!大好き!」



また始まったイチャつきに小さくため息をついた。秀次連れてどっか行くか、と思って秀次がいた場所を見て驚いた。秀次のやつ、早々に出ていきやがった。



「透!」
「どうした?」
「なんでもなーい!」



さっきから隣でイチャつく二人のピンク色な空気にまた、小さくため息をついて俺は隊室を後にした。さーて、誰かランク戦に付き合ってくれる人探しますか。


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