「湊川さん」
「烏丸くん?どうしたの?」
「俺と付き合ってくれませんか」
「………え?」



一瞬、何を言われているのか分からなかった。クラスでも、学校でもかっこいと噂の烏丸くんから告白されるなんて誰が考えただろうか。同じクラス、くらいの接点しかない上に平凡中の平凡な私に告白するなんて何かの罰ゲームだろうか。



「え、っと……」
「返事、聞かせてくれる?」
「あの…どうして私なの?」
「湊川さんが好きだから、じゃだめかな?」
「っ、その…」



真っ直ぐに目を見つめられて意識せずとも顔が赤くなる。好きか嫌いかで聞かれたら、もちろん好きだけど、それが恋愛の好きなのかと聞かれたら答えはnoだ。烏丸くんに告白されるなんて考えたこともなかったし、申し訳ないけど烏丸くんを意識したこともなかった。



「ちょっと、考えてもいいかな…?」
「じゃあ1週間後の今日、またここで待ってるから」
「わ、かった…」



烏丸くんが教室を出て、扉が閉まったと同時に私は顔を両手で覆った。鏡なんか見なくてもわかるくらい顔が熱い。あんなイケメンに告白されて顔が赤くならない女子なんていないと思う。



「ど、うしよ…」



告白されてしまえば意識するのは当然で。明日からどんな顔をして会ったらいいのか分からなくて。教室を出る前に私に少し微笑んだ烏丸くんの顔が頭をよぎって、また顔が赤くなった気がした。



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