17歳射手が皆とわちゃわちゃしてるだけ。できれば長編連載にしたかったんだけど落ちも決まらないし原作沿いにするかどうかもあやふやだし…。とりあえずこっちに上げておいてある程度溜まったら長編として連載します(多分)

〜〜〜

『10本勝負2対8。勝者、名字名前』

聞き慣れた声を背にブースを出ればニヤニヤと笑う出水と米屋の姿。後ろからパタパタと走る音がして、背中にドンッと衝撃が走る。足を止めて首だけ後ろに向ければ拗ねたような表情の駿がいた。

「もー!また勝てなかった!」
「私に勝つなんて100年早いよ」
「でも2本取ったよ!」
「取ったんじゃなくて取らせてあげたの」
「名前先輩の意地悪!」
「はいはい、意地悪で結構」

背中に駿を貼り付けたまま出水達の元へと向かえばお疲れという声と共にペットボトルが飛んでくる。受け取ってラベルを見れば私の好きなレモンティー。銘柄まで完璧だ。ありがと、とお礼を言って米屋の向かいのソファに私が座り、その隣に駿が座る。

「何?射手は総じてやらしいのかよ」
「やらしいのは私じゃなくて出水でしょ」
「いやいや、俺より名前だろ」
「どっちもどっちだよ!でも、名前先輩の方がいずみん先輩より怖いよ」
「嘘ォ!?どこが!?」
「お前トドメ刺す時の自分の顔見た事ねえだろ。めっちゃ悪役の顔してるぞ」

頭の後ろで手を組んでケラケラ笑う米屋に出水と二人で反論する。確かに私の戦い方はやらしいかもしれないけど出水だってそこに関しては負けてないと思う。けれど駿と米屋曰く私の戦い方は怖いらしい。おい、今やらしいかどうかって話じゃなかったのか。なんで私が如何に怖いかの話になってんだよ。

「名前、次俺な」
「やだ。疲れた」
「まーた緑川だけ贔屓しやがって」
「名前先輩俺のこと大好きだもんねー!」
「はいはい好き好き」

トリガーをぽんぽんと投げては取り、を繰り返しながら器用に私に視線を向ける米屋の誘いを断れば非難の声。横から駿が腕に抱きつきながらねー!と笑いかけてくるから適当に返事をする。

「俺のことも好きだろ?」
「はいはい好き好き」
「面倒くさくなるなよ」
「?なってないよ。だって本当に好きだもん」
「……」
「何で顔赤くしてんの。馬鹿じゃないの」

米屋も悪ノリしてニヤリと笑うもんだからそれにも同じように適当に返事をする。そのやり取りを見ていた出水が呆れたような顔をする。至極当然と言わんばかりの顔で出水を見つめながら返事をすればじわじわと出水の顔が赤くなる。

「名前先輩顔だけはいいから、他の男にそんなことしちゃダメだよ」
「顔だけって…それ褒めてないでしょ」
「性格は難ありだもんな」
「アンタも大して変わんないでしょ」
「それなー」

顔がいいのは自覚してる。だってかなりの頻度で告白されてるから。だとしたって顔"だけ"と言われれば褒められてる気がしない。私の性格に物申してくる米屋に冷めた目を向ければケラケラ笑いながら返事がくる。

「お前はそういう女だよな…知ってたよ…」
「何項垂れてんの?」
「俺の純情を弄んだお前の性格がどれだけ歪んでるかを学んでた」
「は?出水が純情?笑わせんな」
「怖えよ」

ソファに座って溜息をつく出水が純情なんて有り得ない。今まで何人の女を泣かせてきたと思ってんだこの男は。そう言えば人聞き悪いこと言うんじゃねえと怒られた。今まで付き合ってきた女の子と上手くいかなかった理由は極端にいえば私とボーダーどっちが大事なのよ!って事だ。ドンマイ出水。

「がんばれ出水」
「なんかすっげえムカつく」
「というかここにいるメンバー全員揃いも揃ってボーダー脳だからねえ」
「いや、何の話だよ」
「全員このままじゃいつまで経っても恋人できないよって話ー」
「ええ、どっからどうなってそうなったの?」
「出水が純情って話から」
「「いや、それはない」」
「だよね」
「お前ら全員ブース入れ」


ALICE+