『どこまで逃げるつもり』で『エロティック』なワンシーン
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背中には壁、目の前には至さん、そして両サイドには至さんの腕。つまり、今の私に逃げ場は存在しない。なぜこんな状況になったのかを説明するにはかなり前に遡らなきゃならないのだけど、今はそんなことをしている場合じゃない。
「ねえ、いつまで待てばいいの?」
「え、えっと…その…」
至さんと付き合い始めて早3ヶ月。私たちの関係はキス止まりで、そこから先には進んでない。理由は単純明快、私が逃げているからだ。そういった行為に全く興味がない訳では無いし、したくない訳でもない。
だた、怖いのだ。彼に、呆れられることが、幻滅されることが。そういった行為をしたことが無い私が、モテ男の至さんを満足させられるなんて思えないし、それがきっかけで捨てられでもしたら立ち直れない。
恥を偲んで万里に相談したけれど、あいつはまるで役に立たなかった。「は?惚気とか聞きたくねえんだけど。さっさと抱かれてこいよ」と吐き捨てていなくなった。思わずその背中にバカヤロー!と叫んだのは記憶に新しい。
「へえ、この状況で考え事?」
「ち、ちがっ…ん、ぅ」
否定の声も唇で塞がれて、口から零れるのは吐息だけ。ぬるり、と入ってきた舌にびくりと肩が震える。今までされたことのないキスにどうしたらいいか分からずに目をきつく閉じる。
ゆっくりと唇が離れて、至さんが私の顔を覗き込む。ゆるりと頬を撫でられて、くらくらと目眩がするほどの優しい笑みを向けられる。耳元で囁かれた言葉にもう逃げられないと、悟った。
『どこまで逃げるつもり?』
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