『君を、一生幸せにするよ』

最近流行りのTVドラマではクライマックスのシーンだった。隣で椋が「素敵だなあ…」と頬を赤らめている。

このドラマのコンセプトは"永遠を誓う"だった。それを思い出してふと思う。そう言えば、一成は永遠だとかずっとだとかそういう言葉を使わないよな、と。

「ねえ、一成」
「ん?どしたの?」

思い立ったが吉日。向かいのソファに座ってドラマを見ていた一成に声をかける。ふと思った疑問を一成にぶつければ私を見て目を丸くした。

「なになに?どうしたの突然!」
「一成が私に永遠とか言ったことないから何でかなって」
「え〜?言って欲しいの?」
「……誤魔化そうとしてるでしょ」
「えっ」

一瞬固まったけれどすぐにいつものようにニコニコ笑って私と会話をする一成にどこか違和感があってジトリとした視線を向けるとぴたりと動きを止めた。

その後、困ったように視線をさ迷わせる。まるで、言葉を探すように口を開けたり閉じたりを繰り返す。微妙な雰囲気を察したのか隣で椋が慌て始める。

一成の隣に座ってた幸ちゃんが大袈裟にため息をついて椋を連れてその場を離れてくれた。目が「後で何か奢ってもらうからね」と語っていて思わず苦笑いが零れた。

「別に、そんな言葉が欲しいわけじゃないけどさ。少しも私との未来を考えてくれてないのかなって、思ったらちょっと寂しくなっただけ」

一度口をついて出た言葉は止まることなくするすると出てくる。まるで拗ねているような口ぶりになってしまって、言い終わってから段々恥ずかしくなってくる。何となく顔が上げられなくて、俯く。沈黙が痛い。

こんなこと、急に言われても困るだろうし。突然未来の話とか重すぎる。結婚するなら一成がいいと私は勝手に思ってるけど、一成もそうだとは限らないし、その思いを一成に押し付けるのはもっと違う。

「ご、ごめん!変な事言ったよね、忘れて!」
「待って!」

沈黙に耐えられなくて、思わず立ち上がる。言い逃げとか狡いなあ、なんて思いながら部屋を出ようとした瞬間、今まで黙っていた一成が声を上げた。手を掴まれて、それ以上先に進めず立ち止まる。

「ごめん」
「何が」
「俺だけだと、思ってたから」
「は…?」

突然謝られて、じわりと涙が滲む。ほら、やっぱりあんな事言うんじゃなかった。手を振り払って部屋を出ようと思った時、一成の声がぽつりと響く。思わず、振り返って一成を見れば辛そうな、苦しそうな顔をしていて。

「永遠だとか、ずっとって言葉で、なまえを縛りたくなかったんだ」
「なに、それ…」
「でも、なまえも同じこと思っててくれたんでしょ」
「っ…そ、れは…そう、だけど…」

ふわり、抱きしめられて耳元で一成の声が聞こえる。さっきとは違う意味でじわり、涙が滲む。

「でも、永遠は誓えないな〜」
「なんで…」
「そんな顔しないでよ〜!悪い意味じゃないから!」
「悪い意味にしか聞こえないんだけど」

嬉しさを噛み締めていれば、さっきまでのシリアスなシーンはどこに行ったんだと思うほどにあっけらかんとした声が頭上で聞こえた。思わず体を離して、一成を見ればクスクス笑っている。

「だって、さ。きっとこれから先ケンカもするでしょ。そうしたら永遠になまえを幸せに、とかできないじゃん。きっと、その時は、なまえに悲しい思いさせちゃうからさ」

だから、永遠は誓えないよ。と笑った一成に堪らず抱きつく。ぎゅうっと抱きつく私に一成はクスクス笑って抱き締め返してくれる。

「一成、」
「ん?」
「ありがと」
「俺も、ありがと」
「…好き」
「ん、俺も好き」

永遠なんて口約束、私たちには必要ないよね。

永遠など誓えない


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