辿り着いた公園はすっかり寂れていて、ほの暗い空気が漂っていた。公園の入口には花束がいくつも添えてあって、それを見た瞬間ぶわりと頭の中に映像が流れてきた。

「あ…ここ…」
「ここって…この間殺人事件があった場所、だよね?」
「そう。その時の被害者の子は確かなまえちゃんと同じ年の子よ」
「じゃあ…その子が…」
「きっと、寂しかったのね」
「だから、あの時誰かに呼ばれた気がしたんだ…」

ニュースでも連日報道されていたこの公園ははっきり覚えてる。私と同じ年の女の子の遺体がこの公園でこの公園で見つかった。全身ずぶ濡れで、死因は溺死。どこかで溺れさせられた後、この公園に運ばれたのではないかとニュースで言っていた。

お姉さん曰く、しばらくの間誰にも気づいてもらえず、ずっとここに放置されていた彼女が寂しさのあまり、誰かを呼ぼうと必死になっていた所にたまたま声が聞こえた私が来てしまった、ということらしい。花束が置かれた場所の前にしゃがみ込んで手を合わせるお姉さんの隣にしゃがみ込んで私も手を合わせる。

「もう大丈夫よ、なまえちゃん」
「え…?」
「あの子もね、寂しかっただけなの。許してあげて。貴方に怖い思いをさせたかった訳じゃないの」
「…はい」
「ありがとう、なまえちゃん」

お姉さんの言葉は何の根拠もないけれど、何故かすっと入ってきてすとんと落ちた。お姉さんが何者だ、とかお姉さんが何をしたかは深く追求するつもりはないけれど、目を見れば分かる。嘘はついてないし、前よりもずっと肩が軽くなった気がする。それに、空気が変わった。さっきの重たい空気がなくなって柔らかい空気になった。

「あの、今度はお花持ってきます」
「ふふ、優しいのね」
「それで、その…その時は、一緒に来て、もらえますか?」
「ええ、喜んで」
「ありがとうございます!」

お姉さんの前に立って、ゆっくりと口を開く。ずっと一人でこんな寂しい場所にいるのは可哀想だし、私も嫌だ。早く成仏できるように、忘れてないよ大丈夫だよって。彼女に伝えてあげたら彼女も寂しくないかな。そうお姉さんに言えばぽんぽんと頭を撫でられる。

「ねえ、東」
「ん?」
「あの子、可愛いわね」
「ふふ、あげないよ」
「あら残念」

もう一度しゃがみ込んで手を合わせていた私にあず姉とお姉さんの話が聞こえているはずもなく、その場を後にした。その日の夜、内心ドキドキしながら自分の部屋に入ると、前までの重い空気が消えていた。直感的にもう大丈夫だ、と肩から力が抜けてそのままベッドにダイブする。枕に顔を埋めて息を吸って吐く。

「…よかった」

小さく口から零れた言葉は本当に無意識で。ゆるゆると下がっていく瞼に抗うことなく目を閉じる。今度、お姉さんにはお礼に何か持っていかなきゃ、あず姉にもお礼言わなきゃ。薄れゆく意識の中でぼんやりそんなことを考えながら眠りについた。





久しぶりの安眠と幸福を君に


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