轟焦凍とココア

「しょーとくん!」
「名字、走ると危ないぞ」


共有スペースに入ってきた轟を見つけた瞬間駆け出した名前をしゃがみ込んだ轟が受け止める。ぎゅうぎゅうと自身の首に腕を回して抱きつく名前を抱き上げて、背中をポンポンと撫でる。そのままキッチンへと向かい、いつも名前が使っているマグカップと自身が使うマグカップを取り出す。共有スペース、という事もあって自分達が使うマグカップを皆が置くようになったのは最近のことだ。


「しょーとくん!ここあ!ここあのむ!」
「作ってやるから、大人しくしてろ」
「あい!」


轟が棚からココアの粉末が入った袋を取り出したのを見た瞬間、きゃあ!と声を上げて轟の腕の中ではしゃぎ出す名前の頭をゆるりと撫でながら口を開く轟に片手をびしっと上げて名前が返事をする。


「なまえがしょーとくんのここあもつね!」
「ああ、ありがとな」
「しょーとくんはなまえのここあもってー」
「分かった」
「そーっとだよ!こぼれるから!」
「そうだな。ちゃんと両手で持てよ」
「あい!そーっと、そーっとね!」


二つのマグカップを持つ為に一度名前を床に降ろす。すると、ぴょんぴょんと飛び跳ねて轟にマグカップを持たせろと名前が言い始める。そっと自分のマグカップを轟が渡せば、小さな手でそのマグカップを持ってゆっくり、ゆっくり歩き出す。轟が一歩進むのと、名前が三歩、四歩と進むのが同じ速度で思わず轟の頬が緩む。


「ふぅー、あちかった!」
「大丈夫か?」
「だいじょぶ!」
「ほら、」
「しょーとくんのて、つめたーい!」
「これで熱くないだろ?」
「あちくなくなった!あいがと!しょーとくん!」


共有スペースのローテーブルにマグカップをゆっくりと置き、額の汗を拭うような動作をする名前に轟がふっと笑う。轟に見せるように前に突き出した名前の手のひらは熱さのせいか少し赤くなっていて、そんな名前に轟は自分の右手を差し出した。

個性を上手く調節して使うことで名前の両手をひんやりと冷やす。徐々に熱くなっていく手にキラキラした目を向ける名前がぱあっと顔を輝かせて轟に飛びつく。首に腕を回して抱きついてくる名前をそのまま抱き上げてソファに座り、名前のマグカップを差し出す。


「ふー、ふー…んくっ」
「美味いか?」
「あまくておいしー!」


名前が火傷しないように、とお湯の温度を少し低めにしていた轟の配慮は完璧だったようで、ココアを一口飲んだ名前が轟に笑いかける。轟も優しげな表情で名前の頭を撫でながら自身のマグカップに入ったココアを飲んだ。


ぬるいココアと甘い部屋


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