「さっとっり!」
「わああああ!!」
「あーん今日も可愛い〜」
「うっ…梓先輩!」

前方に佐鳥を発見して後ろから飛びついて頭を撫でる。私より身長が高い佐鳥の頭を撫でるためにはもうおんぶされる勢いで飛びつかないといけない。その為、必然的に顔は近くなる。それが恥ずかしいのか佐鳥は私から顔を逸らすようにしながら頬を赤く染めていた。

「あ!見たよ、昨日のテレビ」
「ほんとですか!?」
「ほんとほんと可愛かったぞ〜」
「む…男子に可愛いは禁句ですよ!」
「だって可愛いんだもん」
「佐鳥は可愛いよりかっこいいって言われたいんです!」

ここ最近テレビによく出る嵐山隊だけどその中でも佐鳥はいじられ役として定着している為、よく映るのだ。公平には佐鳥のどこが可愛いんだと言われるけれど私からすれば可愛いの塊でしかない。佐鳥の背中から降りて、見上げながら佐鳥に可愛いと言えばぷんすこという音が的確な表情と仕草で怒っていた。

「ふふっ、嘘だよ。佐鳥はいつもかっこいいよ」
「…へ、?」
「ん?どうしたの?」
「〜っ!」

そんな佐鳥の頭、というか額の上あたりを背伸びして撫でてあげる。勿論、佐鳥が可愛いだけじゃなくてかっこいい面があることもちゃんと分かってる。ただ、私には可愛いの割合が高くなっちゃうだけ。

「え、佐鳥?急にしゃがみこんでどうしたの?具合でも悪くなった?」
「佐鳥は貝になりました…」
「貝?」
「佐鳥は貝になったのです…」

私の言葉に固まった後、しゃがみこんで顔を覆ってしまった佐鳥の隣にしゃがみこんで肩をつついてみるけど返事はよく分からないものばかり。照れてるんだな、と思うと尚更可愛くて頬が緩む。

「梓先輩、と賢?何してるの?」
「貝になったんだって」
「貝?梓先輩、何かしたんですか?」
「ええ〜?」
「またいじめてたんですか?」
「人聞き悪いなあ!かっこいいって言ったらこうなっちゃった」
「あぁ、そういうこと…梓先輩、わかっててやりましたよね」

通りかかった充が私と佐鳥でしゃがみこんでいるのを不思議に思ったのか声をかけてくれる。笑いを堪えながらさっきの出来事を話すと充は肩を竦めて小さくため息をついた。

「あり、バレてた?」
「だと思いました。ほんとに賢のことからかうの好きですね」
「だって反応が可愛いんだもの…あ、充も可愛いよ?」
「ありがとうございます。でも俺より梓先輩の方が可愛いですよ」
「やだもう!男前!誰から習ったのそんなこと!」

私に手を差し出して立たせてくれる充に内心んきゅんしながら充の頭を撫でる。さらりと褒められてたまらず充に抱き着けば一切ふらつくことなく受け止めてくれた上に優しく頭を撫でられてしまった。ああ、私の後輩はどうしてこんなにもかっこよくて可愛いのだろう。佐鳥と充には後でジュースを奢ってあげようと思った。


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