「ははっ、お前人懐っこいな」
にゃうにゃうと可愛らしく鳴き声を上げてサンジくんの顔をペロペロと舐める白い子猫に、最初こそ可愛いなあと微笑ましく思っていた。が、今ではもう嫉妬の対象でしかない。
私だってサンジくんに頭撫でられたい。
私だってサンジくんにちゅうしたい。
未だに子猫を抱き上げて鼻先にキスを落としては楽しそうに笑う彼を見て、無意識に唇が尖る。
何よ、私の方が可愛いじゃん。私の方がサンジくんのこと好きだもん。
不貞腐れるように彼の隣に座り込んで唇を尖らせていれば、目の前に現れたサンジくんの唇と私の唇が音を立てて触れる。
「…猫ちゃんと、遊んでればいいじゃん」
「そしたら、俺の可愛い彼女が拗ねちまうからなぁ」
「拗ねてないもん」
「じゃあお言葉に甘えてコイツと遊ぶことにするよ」
私がヤキモチを妬いていることに気付いて構ってくれたサンジくんに、素直になれない私はふいっとそっぽを向いて可愛くない返事をしてしまう。
そんな私を見てクツクツと喉を鳴らして笑った彼がもう一度子猫を抱き上げて鼻先にキスを落とそうとするから、堪らず彼のスーツの袖を引いた。
「やだ。猫ちゃんばっかり構っちゃ、やだ」
「どうして欲しいの?」
「わたしも、ちゅうする」
「ちゅうだけ?」
じんわりと浮かんだ涙が零れないように、ぐっと堪えてサンジくんを見る。
子猫を地面に下ろして私の頬をするりと撫でた彼の手に擦り寄るようにして懇願すれば、触れるだけの優しいキスが落とされた。
もっと、と強請るように彼のスーツを引っ張れば彼が悪戯っ子のように笑う。ちゅうだけなんて、嫌。満足出来ない。もっと、甘やかして欲しい。
もっとサンジくんにくっつきたい。もっと、もっと、と欲が溢れて止まらない。
「…さんじくんが、ほしい」
「よくできました」
ぽろり、と口から零れた言葉は、今の私の欲望そのもので。
一瞬だけ驚いたように目を見開いた彼がふんわりと甘く微笑んで私にキスを落とす。少しずつ深くなっていくキスに目を閉じれば、どろどろと思考が溶かされていく。
飲み込みきれなかった唾液が口の端から零れて顎を伝う。首筋を流れた唾液が、彼の唇に吸い込まれていった。
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