付き合ってた彼氏に浮気されてた雛。「なんか違うんだよな、お前」とかいう理由で振られ、やけ酒してべろべろに酔って適当に電話をかけて聞こえてきた声に「あ!黒尾さんだあ〜!」ってふにゃふにゃ笑うからあまりの緩さに釣られて笑っちゃうよね。
「すっげぇ酔ってるじゃん。どうしたの?」って笑う黒尾に「えへへ、かれしにふられてぇ、やけざけしてましたぁ!」って雛が言うから「エッ、えッ待ってまさか今1人?」って焦って聞いたら「ふられたんだから、ひとりにきまってるじゃないですか。いじわるいわないでください!」って雛の不満気な声が聞こえてくる。
(いやいやいやこの状態の雛ちゃんが1人で酒飲んでるのはダメだろ!?)って大慌てで家を出る支度をする黒尾。「雛ちゃん、今どこにいるの?」って優しく聞いたら「いまはぁ、おしゃれなとこでーす!」ってくふふって笑う声が聞こえてくるから(可愛い。可愛いけれども!!!)って思いながら「俺もそのおしゃれなとこ行きたいからさ、教えてくれませんかね」っていつもみたいにふざけて言う。
「しょーがないですねえ!」って位置情報が送られてくるから電話を繋いだまま家を飛び出す。幸運にもそこまで遠くなかったから「可愛い後輩を慰めに黒尾さんがお迎えにあがりますよ」って言ったら「黒尾さんきてくれるの!」って嬉しそうな声が聞こえてくるから「当たり前でしょ。もうちょっとで着くから待っててな」って笑ったら「はい!まってます!」って元気な返事が聞こえてきて吹き出して笑っちゃう。
お店に着いて中に入ったら奥のカウンター席でくぴくぴお酒を飲んでる顔真っ赤な雛がいてホッと息を吐く。「雛ちゃん、」って声かけたら「!くろおさん!」ってパァッと満面の笑みで振り返った雛が椅子からぴょんっと降りてよろよろ、ふらふらってしながら駆け寄ってくる。
あまりの覚束なさに「っぶね…!」って手を伸ばせば腕の中にぽすっと収まって「くろおさんだ!うひひっ」って楽しそうに笑って胸元にほっぺを押し付けてくるからあまりの可愛さに天を仰ぐ。こっちを見て困った顔をする店員さんに「お騒がせしてすみません、お会計お願いします」ってお金を払って雛の荷物を持って、雛の肩を抱いてお店を出る。
すると、さっきまでご機嫌だった雛が「くろおさんだぁ…」ってぽろぽろ泣き出すからギョッとする。「ちょっとちょっと、どうしたの」って涙を拭ってあげれば「なんかちがうって、なんだよぉ…」って声が聞こえてきてすぐに(ああ、元彼か…)って分かるから「何か違うって振られたの?」って膝を折って顔を覗き込む。
「う゛ん…なんかって、なんだよぉ…!」ってぼろぼろ泣くから「ん、今まで泣かないで我慢したんだよな。黒尾さんが全部聞いてあげるから、いっぱい泣きなさい」って抱きしめて背中をとんとん。胸元にしがみついてぎゅううっと手を握りしめる雛の背中を撫でながらも見たことも会ったこともない元彼に苛立ちが募る。
一頻り泣いた雛がぐすぐす鼻を鳴らしながらきゅうって手を握ってくるから「疲れたろ。一緒に帰ろう、な?」ってその手を握り返したらこくんって頷くから手を引いて歩き出す。歩きながらゆらゆら、こくこく、船を漕ぐ頭を見て「大丈夫か?眠い?」って立ち止まって聞いたら「…ねむく、ない」って半分目閉じた状態で言ってくるから(めいちゃんじゃん…)って笑いそうになるのを堪えて「ほら、おいで」って雛の前にしゃがみ込む。
もそもそ背中に乗ってきた雛をおんぶして立ち上がる。すぐに背後からすうすう寝息が聞こえてきて「ほんっと、世話が焼ける後輩だねぇ」って笑いながら家まで帰ってベッドに雛を寝かせて、自分は床で寝る。次の日黒尾が起きたら雛はまだすうすう寝てて、目元が真っ赤になってるのを見て、そっと人差し指で撫でると「ん、ぅ…」って小さく唸るから「…ふっ、」って笑っちゃう。
「ゆっくり休めよ」って優しく笑った黒尾が頭をぽんぽんって撫でてくわっと欠伸を零してシャワーを浴びに行ってる間に雛が目を覚まして(ここどこ…!?誰の家…!?)って半泣きで混乱しちゃうし、風呂上がりの黒尾が見慣れて無さすぎて「お、起きた?おはよ、雛ちゃん」ってかけられた声に「ご、ごめんなさ…なんにも、おぼえてなくて、あの、ごめんなさい、……あ、れ?くろお、さん…?あぇ、なんで…エッ、ここどこ…!?くろおさ、なんで…!?」ってめちゃくちゃ動揺してる。
「後で全部説明してあげるから、とりあえずシャワー浴びといで」って黒尾がタオルを渡したら「は、はい……、?」って混乱しながらぺたぺた歩いて脱衣所に入った雛を見送ってくつくつ笑いながら水を飲む。(さーて、どうしたもんかね)なんて思いながら戻ってきた雛に何て説明をしようか、雛にどこまで聞こうかを黙々と考える黒尾がいる。
対して雛は雛で、(あいつに振られて……おさけのんで……あれ、どこまで行ったんだっけ、てかなんで黒尾さん…!?)ってぬるめのシャワーを頭から被りながら悶々と考えるけど全然分かんなくて半泣きになりながらシャワーを浴びていますね。