真っ先に思いついたのが貴方だった

大人になった雛。「ひゃ〜!終電無くなった〜!縁下助けて〜!」って縁下の家に駆け込んで「一泊いくらですか?」「明日の昼飯」「がってん!」ってよくお泊まりしてるんだけど、ある日の夜べろべろに酔っ払って「あーけーてー」って縁下の家に来る。

玄関前でチャイム鳴らしてきゃはきゃは笑ってる雛の声に呆れながら扉を開ければ知らない男に支えられながら立ってる雛がいて「今何時だと思っ、……はぁ?」って怪訝な顔しちゃう。勿論男の方もまさか案内されたのが雛の家じゃないなんて思ってなくて「えっ、あ、や…えっ!?」ってなる。

混乱する男2人を差し置いて「あ〜!ちから〜!たらいまぁ!」って縁下の首にきゅうって雛が抱きつくから「飲みすぎ。てか来るなら連絡しろっていつも言ってるだろ」ってため息吐きながら雛の腰をぎゅっと抱えて「すいません。わざわざ送ってくれたみたいで」ってにっこり笑って男に言えば「あっ、はい、ど、どうも…」ってすごすご帰っていく。

強めに扉閉めるし鍵もチェーンも勢いよくわざと音立てるようにガシャン!って閉めて、それから「お前なぁ…」って雛に文句言おうとしたら抱きついてた腕が微かに震えてることに気付いて「雛?」って声をかければ「ごめ、なさ…っ、」ってぽろぽろ泣き出すから「は、ぁ…!?ちょ、な、何泣いて…」って慌てちゃう。

雛が履いてた靴を脱がせてぽいっと玄関に放って、リビングに連れてって座らせて「今水持ってくるから」って離れようとするんだけど「やだ、」ってきゅうってしがみついたまま離れてくれない。「雛、なんかあったの?」って聞けばぐすぐす鼻鳴らしながら「なんも、ない」って言うから「なんもないこもないだろ、そんなに泣いてんだから」って呆れながら言えば「ないてない」って返ってくるから「いや無理あるだろ」って笑っちゃう。

そっと体を離して「で?どうしたの」って雛の目尻に溜まった涙を親指でぐいっと拭って聞けば、またじわじわ涙を浮かべてぽつりぽつりと雛が話し始める。最初は女の友達だけで飲んでたのに、たまたま隣の席だった男のグループと一緒に飲むことになってしまって帰ろうとしたのに中々帰してくれなくて無理やりお酒飲まされてどんどん酔ってしまったのだと。

帰りも明らかに狙ってますみたいな感じでべたべた触られてたからどうにかして逃げようと思って、何にも分かんないくらい酔ってますってことにしてホテルじゃなくて家に向かわせて、ここに来たのだと。「めいわく、かけてごめん、」ってぽたぽた涙を落とす雛を今度は縁下がぎゅっと抱き寄せて「迷惑なわけないだろ。雛が無事で、良かったよ」って背中をとんとん撫でれば「ぅぅ〜〜ッ、」って泣くの我慢するような声で雛がしがみついてくるから、そのまま背中をとんとんって叩き続ける。

徐々に唸ってた声が静かになって寝息に変わるから、雛を抱き上げて自分のベッドに寝かせる。涙で真っ赤になった目元をそっと指で撫でてから「そうやって頼られたら、勘違いするだろ」って困ったような自虐めいたように笑って自分はリビングで雑魚寝する縁下だけど(でもまあ信頼はしてもらえてるってことだし、今はこのままでもいいか)って思ってるのもまた事実なんだよね。

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