帰したくないし、連れて帰りたい

角名と治と遊びに行った雛。ちょっとその場を離れただけだったのに角名が背の高いスタイルの良い女の人と話しててもやもやする。「お、戻ってきた」って声かけてくれる治に「…あれ、だれ」って言った声がめちゃめちゃ不機嫌丸出しだから治は笑っちゃう。

「北さんと同じクラスの先輩やったかな。なんや角名のことイケメンや〜って騒いどったで」ってケロッとした顔で言いながら「お、昼飯こことかええんちゃう」ってスマホでお昼食べる店を探してる治がいるから「ふぅん…」って返事をしながらも角名から目を離せない。

普段から雛のことを可愛いだのなんだのって言うくせに全然戻って来ないじゃん、ってどんどん不機嫌になっていく雛に「…そんなに嫌なら行ってきたらええやん」ってさすがに治も苦笑いをするしかない。「りんりんが、ほんとはあの人と話したかったらどうすんの」ってぶすっと不貞腐れる。

自分のことでは無く、角名のことを考えてる雛に「お前はほんっっと健気やなぁ」って治が思わず抱え込んで頭をなでこなでこって撫で回して「別に邪魔したってええやろ。あの先輩露骨すぎてあんま好きやないって言うてたし」ってけらけら笑いながら言って「さっさと角名回収して昼飯食いに行くで」って治に背中を押されて角名の所に駆け寄る。

「え〜やだ〜!角名くんってば〜!」ってきゃっきゃっする先輩の声と角名の腕に伸ばされた手を見て反射的に角名の背中に体当たりする勢いで抱きつく。「ぅぉ…、えっ、雛?」って困惑しながらも背中に張り付いてる雛を見てふっと表情を緩めた角名が「どしたの?治は?」ってくるっと体を反転させて雛の顔を覗き込むようにしゃがむから「…あっち」って治がいる方を指差せば「もしかして遅かったから迎えに来てくれた?」って笑いかけてくるから「…おそい、かった」って言えば「ごめんごめん。ありがと」って頭をぽんぽんって撫でられる。

突然の出来事にぽかんとしてる先輩に「迎え来ちゃったんでお疲れ様でーす」って言いながら雛の腰にすっと手を回して歩き出す角名がいるから先輩も「あ、うん…」って見送るしかない。治と合流してからも終始不機嫌そうにしてる雛に「雛、待たせてごめんね」って角名が謝るんだけど「…べつに、そういうのじゃないし」って返ってくる。

「?遅かったから迎えに来たんじゃないの?」って首を傾げれば「私と、一緒にいるのに、他の人のとこ行くから、嫌だっただけだし」ってぶすっと唇を尖らせて不機嫌そうにしてるから「え…?可愛すぎない…?ヤキモチ妬いてたわけ?」ってゆるゆる頬が緩んじゃって雛のほっぺを両手で包んで「あんまりそう言う可愛いことしないで。帰したくなくなるから」って嬉しそうに笑う。

「りんりんが、よそ見するなら帰るから」って目に涙を浮かべながら雛がキッと睨んでくるから「もうしない。雛しか見ない」って額をこつんってぶつければ「次やったらほんとに帰るから」って雛が腕の中に飛び込んでくるからぎゅうううって抱きしめる。

「戻ってくるなりずーっと不機嫌やし、何喋りかけても親の仇でも見てんのかってくらい怖い目しとったで」ってけらけら笑う治に「それくらい俺が愛されてるってことじゃん」って角名が笑って「雛は俺のこと大好きだもんね」って言えば「…うるせー」ってちっちゃい声で返ってくるけど代わりにしがみつく手の力が強くなるから可愛すぎて「マジで帰したくない連れて帰りたい」って雛をぎゅうぎゅう抱きしめちゃうし治も思わず頭を撫でてしまったのは仕方ないよね。

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