【警察官影山】
飛雄君はとても体力がある。
それは現役の警察官であることが主な要因の一つ。もう一つは昔バレーをやっていたことだ。
彼はバレー界ではちょっとした有名人だった。セッターとして活躍していた彼は、春高でも大活躍していた。
大学でもバレーを続けたが、プロにはならなかったようだ。現に警察官としての任務を全うしている。
「ただいま」
『おかえりー』
今日は夜勤ではなかったため、定時であがってきた。私はドアが開き、声が聞こえてくると、立ち上がってご飯の準備をし始めた。
今日の夕ご飯はカレーだ。飛雄君と一緒に食べるカレーには必ず温玉を乗せている。それが彼の好みだからだ。
ここは私たちのお城。2人で3年過ごしてきた大事な家だ。さすがに一戸建て住宅は建てられなかったけど、今のマンションで満足している。2人で住むのに十分な広さで、防音も防犯も最新の技術を持ってしてしっかりしている。
彼との生活になんの不満もない。
『今日は早かったね…あれ、飛雄君!!』
ご飯をお茶碗に盛りながら、飛雄君の顔を見ると、綺麗な顔に傷が付いているのを確認した。小さなかすり傷程度ならまだしも、右目の横にガッツリついている。目を避けているため、視力には問題なさそうだが、何より痛そうである。
ご飯のことは一旦おいて、飛雄君に駆け寄った。昨日までなかった傷だ。
『ど、どうしたの、その傷?』
「あぁ、捕まえた犯人が暴れて、つけられた」
『痛いよね…?』
触れると痛いかもしれないので、傷を避けて、頬に触る。こんなにまでなって…無理をしたんだろうか。
『無理しないで…、飛雄君がいないと嫌だよ…』
彼はこうして危険な任務につくことがある。一瞬たりとも気を緩められない現場にいる。
いつか、そんな危険な任務について命を失ってしまったら?そんな事を考えると、心臓がきゅっとなる。私は今更飛雄君以外の人は考えられないというのに。私の想いを知ってもらいたくて、ギュッと腰に手を回して抱きついた。
「大丈夫だ。何があっても絶対名前のとこに帰ってくる」
『絶対?』
「あぁ、絶対な」
飛雄君としっかり視線を交わらせる。彼の意志の強さが見てとれるようだった。
『ありがとう。飛雄君がいてくれれば、私もがんばれるよ!!』
彼がいない世界なんて考えれられないし、考えたくもない。いつも彼は私の世界の中心だ。
「名前も、」
飛雄君が私を抱きしめながら話し始める。声はどこか切ない。
「…どこにも行くなよ」
自分が話し始めると、視線は合わない。恥ずかしいのだろう。普段の彼からしてみれば、こんな事滅多に言わない。
『私の居場所は飛雄君の横だけだよ』
これはいつでもどこでも互いを想い合う2人のお話。