10月25日 仙台市体育館
今日はいよいよ代表決定戦だ。
「うお〜、キタ〜!仙台市体育館再び!」
全日本バレーボール高等学校選手権大会(通称春の高校バレー) 宮城県代表決定戦
IH予選のベスト8+春高一次予選を勝ち抜いた8チームの計16チームで一つの代表枠を争う。
「絶対リベンジッ!」
「フー…」
「………」
緊張しているのか、みんな顔つきが険しい。今日から一度も負けてはいけない戦いが始まる。
「うおおおおおお!」
『翔陽君!?』
「フライングすんじゃねーボゲェ!」
何やら気合いを入れ始めた翔陽君は、叫びながら体育館に向けて走り出した。突然の出来事に驚いている部員をよそに、飛雄君も負けじと翔陽君を追いかけて走り始めた。
「日向と影山は脊髄反射で生きてる感じだね」
「虫みたい」
「「ブッフォ!」」
山口君と月島君が言った例えに対して、ツボにはいった田中先輩と西谷先輩が盛大に噴き出した。山口君のたとえは的確だと思う。
どちらもいい意味で自分が信じた道を進んでいる。そんな二人は今日どんなプレーを見せてくれるのか。
「ギャッ!!」
「?」
すると、聞こえてきたのは駆け出した翔陽君の声だった。翔陽君は‘条善寺高校’とかかれているジャージを着ていた人を見上げていた。あれ、あの人どこかで。
「あれ、__ってことは__」
「?」
「メガネちゃーん!今日こそ番号教えてねーっ!」
そうだ、思い出した。この人前に潔子先輩をナンパしていた人だ!!
『き、潔子先輩に向かって、メガネちゃん!?』
「いや、気にするトコそこじゃないでしょ」
私の言葉に反応した月島君がすかさず突っ込んできた。
その人の言葉に反応した田中先輩と西谷先輩は、我慢ならないといったような感じで、ナンパ師さんに向けて走り出した。あ、コラッ!!という澤村先輩の制止もむなしく、二人はナンパ師さんにとびかかろうとしていた。
「や、やめなさい!」
「あ“!」
「す、すみませんでした!」
すると、条善寺高校のマネさんと思しき人が、ナンパ師さんを押し付けて、こちらに謝罪をしてきた。と、とっても可愛い人だ!彼女の登場により、今までの勢いはどこへやら、田中先輩と西谷先輩は空中でピタリと止まった。これ以上進むことはできないと判断したようだ。
「一回戦ヨロシク」
一方で、そのマネさんがこちらに向けて必死に謝ってくれているにも関わらず、ナンパ師さんは知らん顔で体育館にはいろうとしていた。潔子先輩を困らせるのも許せないけど、自分の尻拭いをしてくれたチームメイトをないがしろにするのも許せない。結局マネさんは最後までこちらに向けてお辞儀をしていた。とっても素敵な人だったなぁ。
そういえば、このナンパ師さんがいるところが一回戦目の相手だ。
「今のがIHベスト4か…、当たり前だけど”全員”来てんだな、ここに」
影山君の言う通り、ここには春高の切符をかけて戦う対戦校が全員集まっている。一試合も落としていい試合はない。
『よしっ』
私は両頬を割と強めに叩いて気を引き締めた。
(全部倒―――――す!!!)
(テンション高いなー)
(お陰で冷静になるわー)