「ありがとうございました!」
「「「したー!!!」
短かった東京遠征の第一部が、あっという間に終わった。次は再来週の夏休みに合宿がある。
それまでは、皆さんとお別れのようです。
『あ、あの…、黒尾さん?』
「んー?」
『そろそろ時間が…』
「んー」
黒尾さんがさっきから私の頭を撫でまくっています。さっきからまともに会話も成立しないし、なかなか離してくれません。撫でられるのは嬉しいのですが、そろそろ帰らなければいけないんです。
「そろそろうちのマネ、返してもらおうか」
『…うぅ、澤村先輩ぃ』
黒尾さんの手首を掴んで、私を引っ張り出してくれた澤村先輩が王子様に見えました。いや、神様だ……!
「あぁ、せっかく楽しんでたのになー」
そんなに楽しいですかね、私の頭撫でるの!?楽しんでくれるのは嬉しいけどなんだか複雑です。
『また、来るので、その時、……撫でてください!』
その場から逃げるように、バスのある方へ走っていく。うわー、恥ずかしい……。あんなこと言って引かれてないかな…!?あぁ、そういえば澤村先輩も聞いてたよね!?もう恥ずかしすぎて会わせる顔がありません…。
「名前ーー!また来いよ!!」
バスに向かって走っていると、木兎さんと赤葦さんに遭遇した。
『はい!絶対来ます!』
テンションの高い木兎さんに合わせるのは容易い。何故ならば、私も元々テンションが高い人物だからだ。
『お2人のバレーって、なんだかずっと見てたくなるんですよね』
それは、もしかしたら今の烏野にないものを感じるからかもしれない。強固な信頼で結ばれた二人のバレー。今まで感覚とセンスで乗り越えてきた翔陽君と飛雄君のバレーとは全く違う。
『味方だったら心強いんだろうなぁ』
「じゃあ梟谷来るか!?」
「そんなの普通に考えて無理に決まってるじゃないですか」
『同じチームになることはできないですけど、練習をお手伝いすることはできます!次来たとき人手が必要だったらいつでも呼んでください!!私にできる事だったらいつでも駆けつけます!』
「名前ちゃーん!行くぞー!」
胸に拳を当て、自信満々さをアピールする。すると遠くからでも分かる翔陽君の明るい声が聞こえた。そろそろバスが出発してしまうらしい。
「ありがとう。帰り道気をつけて」
「風邪ひくなよ!」
『はい、短い間ですがありがとうございました。また来ます』
こうして第一部の合宿が幕を閉じた。
***
名前が去った後の、澤村と黒尾
「…あの子うちにくれねーかな」
「…はぁ!?」
「見てわかる通りうちにはマネージャーがいないの。お宅には3人もいる。って事で1人くらい…」
「よく分からないけど、うちの大事なマネージャーをあげるわけにはいかないんでね」
「はは、だよなー」
知らないうちに勃発していたひよこ取り合い戦争