ひよこが駆け巡る!





ここは宮城県某高校。
部活動の勧誘が盛んに行われている春の季節。


『あ、あの!マネージャー志望です』

入り口付近にいたキャプテンさんらしき人に勢い良く頭を下げているのは、私こと苗字名前です。

私は高校生になったら絶対バレー部に入ると決めていた。女子バレーではなくマネージャーとしてだ。さすがに身長もないし、運動神経も抜群というわけではないから、女子バレー部に入ってもきっと足を引っ張ってしまう。

バレーは幼馴染がやっているスポーツだから、多少なりともその魅力を知っていた。だからこそ、少しでもバレーにかかわってみたかった。そして、私はこの烏野高校バレー部への入部を決めた。

「おぉ、マネージャー志望か!よし、清水!」
「はい」

キャプテンさんらしき人はなんだか嬉しそうな顔をして、この体育館にいる唯一の女生徒を呼んだ。近くに来るにつれてその美しさがより際立っていく。あぁ……、綺麗だ。目の前に女神様がいる…。こんなにも美しい人はあまり見たことがない。本当に同じ人間なのだろうか。

「はじめまして、私は清水潔子です。マネージャー志望なんだよね」
『はい!』
「そっか、じゃあついてきて」

私は言われるがままに後をついていく。彼女からほんのり香る匂いはとても甘く、柔らかい。容姿だけではなく匂いまで完璧なんて、神様は彼女に何物を与える気なんだ。

『あの、清水先輩?』
「潔子でいいよ」
『き、潔子先輩』
「どうしたの?」

同性とはいえ、こんなにも綺麗な人の前で話すのはとても緊張する。実はこの潔子先輩を見たのは今日が初めてじゃない。入学式に一目見た時にすごく綺麗な人がいるなぁと思った。
私が男だったら間違いなく一目惚れしている。今もただでさえ見惚れているというのに。

『潔子先輩って、とてもお綺麗ですよね。私、その、色々な意味で先輩に憧れます』

率直な感想を述べた。というか何を言っているんだ、自分は。全くもって意味が分からない。変なこと言って困らせちゃってないかなぁ。
しかしそれは杞憂で、それを聞いた潔子先輩の顔がほんのり赤みを帯びていたのを見て、第一印象は吹き飛んだ。

潔子先輩って、最初はちょっとクールな人かと思ったけど、実はとっても可愛い人だ。

「ありがとう」

言葉数は少なかったけど、先輩の気持ちが私の奥まで伝わってきた。
こんなに素敵な人と出会わせてくれて、こちらのほうがありがとうだ。私はなんて恵まれているんだろうか。存在のすべてが尊い。私はこれからの部活人生に楽しさの予感しか感じない。

よし、潔子先輩についていきつつ、気合入れて頑張るぞ。

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