昨日から潔子先輩の事が頭から離れなくて、授業に集中できなかった。
重症だ。けしてそっちの趣味があるわけじゃないけど気になるものは気になる。あんなに綺麗な人とこれから同じ部活かぁ。なんだか恥ずかしいけど嬉しいな。
「……い!おい!」
『うぃ!?え、あ、はい!』
潔子先輩の事を考えていたら何者かが私に話しかけていた。気づけなくてごめんなさいぃ!
相手がちょっと怒っているような声だったから余計に怖い。
「お前、昨日バレー部のマネージャーになった奴だろ」
『はい!貴方は……』
「影山飛雄」
影山飛雄君。
実は、昨日体育館の入り口付近でもう一人の男の子、日向翔陽君と一緒に揉めていた人。私はその様子を横目で見ていた。なんで日向翔陽君の名前を知っていたかというと、彼のジャージに書いている名前を見たからだ。
『は、初めまして、私は苗字名前といいます!』
「あぁ…あれだ、キャプテン、俺らの事なんか言ってなかったか?」
私の自己紹介なんて興味ないと言わんばかりに、彼は自分の話を進める。しかし、さっきまでの威勢はどこへやら、声色はどんどん小さくなっている。目線も泳いでいて、急にしおらしくなった。
『いえ、特には何も言っていなかったと思います』
「そうか分かった。ってか敬語は辞めろ。同い年なのにおかしいだろ」
同い年には思えない背の高さ、そして迫力。思わず敬語を使ってしまいたくなるのも無理はない。そして、中々顔が整っている。モテるんだろうなぁ。
『え、…いいの?』
「逆にそうしてくれ。んじゃねーと話しづれぇから」
顰めっ面をしながらも私を気にしてくれている様子。サバサバしている影山君は最初は怖いイメージがあったけど、何処となく雰囲気が柔らかくなった気がする。
『うん!そうさせてもらうね!』
「…………。」
影山君は目を丸くして私を見ていた。
『お、おーい、影山君ーーー?』
影山君は私よりも何十センチも大きいから、手を必死に伸ばして、彼の顔の前で手を振る。影山君の顔を見るのは一苦労だ。なんでこんなに大きくなるのか聞きたい。180�pはあるだろうか。何を食べたらそんなに大きくなるんだろう。
『影山君?』
一向に返事はない。うそ、初日から嫌われた!?ちょっと慣れ慣れしかっただろうか。しかし、彼はこれから同じチームとして戦っていく中だ。ここでめげてなんかいられない。
『影山君!これから同じバレー部としてよろしくね』
「…おう、よろしく」
やっと返事がきた。さっきのフリーズがなんだったのか分からないけど、きっと彼は不器用な人なんだろう。
そう思うと、なんだかちょっと可愛いな、なんて。
(こいつ……、なんか日向に似てるな…)