GWに行われる合宿まではレシーブを中心にした練習をひたすらこなすことになった。見ていて辛そうな場面が何度かあったけど、ここは耐え抜くしかないだろう。私はサポートを全力ですることしかできないから、必死に応援をした。
これだけの練習量をこなしていたら、誰もがヘコたれてしまうはずなのに、誰一人根を上げずに食らいついている様子から、今年の本気度がうかがえる。
そして厳しい練習を耐え抜き、いよいよ合宿はもう明日!
『フンフーーン♪』
今日の練習が終わってから上機嫌で鼻歌を歌いながら、体育館にモップをかける。
「上機嫌だな」
『エヘヘ、楽しみなんです初めての合宿!』
縁下先輩と並行してモップをかけていく。縁下先輩は口数は少ないがしっかりした人だ。地道に自分のやるべきことをやっている努力家さん。堅実という言葉が似合う素敵な先輩である。
「そうか、苗字は運動部になるの始めてだったか?」
『はい!』
確かに運動部になるのは初めてだが、バレーは小さいころから知っていた。幼馴染がバレーをしていた影響が大きかった。彼は今元気にしているんだろうか。
『明日、普通に補習あるんですよね?』
「あぁ、あるよ」
『補習中ソワソワしちゃいそう…!』
「確かに、苗字ならありえそう」
ハハっと爽やかに笑った笑顔が素敵です!裏には何も悪い感情は隠されていなくて、根っからの優しい人なのだろう。将来は絶対素敵なパパになる。
「ヒヨコ、ちゃんと隅々までモップかけて」
私の事をヒヨコと呼ぶ人なんてただ一人。月島君だ。月島君は体育館の隅っこにいて、床に落ちているであろう埃を見ている。
『はーい!ちょっと待ってねー』
両手でモップを持ちながら月島君の元へ向かう。なんだか機嫌が悪そうだ。
「ここ、凄い埃だけどちゃんとモップかけたの?」
『うーん…、まだかけてないかな』
「ちゃんと綺麗に掃除してよ」
『ご、ごめん!次からは気をつけるよ』
なんだか嫁と姑のような関係だ。けど、皆が使う体育館だし、綺麗にしないと申し訳ない。私にできることはそれくらいしかないから、こういうところでしっかりしないとダメだよね。月島君はそういうことをハッキリ言ってくれるから非常に助かる。これからもどんどん私の改善ポイントを教えてほしいものだ。
『あれ、どうしたの月島君』
「……君って本当のアホだよね」
『えぇ、なんで!』
本当のアホってなに!?聞き捨てならん!
(イヤミに気づかないなんてさ
君は前からそうだ
調子が狂うんだよ、ヒヨコと話すと)