GWの音駒高校との練習試合から、時は五月中旬に移り変わっていた。私たち烏野高校バレー部は今日も今日とて練習に励んでいる。音駒高校との練習試合で出た課題を踏まえた練習を続けてている。
『翔陽君ーー!』
「何なにー?おぉ!」
『ムンクの叫び!』
「お、俺もやるー!」
「お前ら何やってるんだ」
練習が始まる前に、少し時間があったため、翔陽君と一緒にムンクの"叫び"という絵画のモノマネをする。特に意味はないが、急にやってみたくなって頬を両手で押し込んでみたら、思いの外完成度が高かった。(と思いたい) そこに、すかさず澤村先輩の呆れたようなツッコミが入って、翔陽君と二人で笑いあった。
「君たち、本当子供だよね。小学生のほうがまだマシなんじゃない?」
そこへ鼻で笑いながら私たちを見下ろしている月島君が現れた。
『月島君のムンクも見てみたいー!』
「ハァ?僕がやるわけ…、ちょっと辞めてよ」
『……と、届かない』
無理矢理ムンクをやらせようとしても月島君の身長大きいから、いくら背伸びしようとも頬っぺまで手が届かない!というか手が届いても顔を背けられるからもはや意味がない。
『…しゃがんで?』
「……ヤダ」
『お願い…!』
「ヤダって言ってるじゃん」
『そっか、じゃあ影山君にやってもらおう!』
影山君、いつも仏頂面だから顔の体操した方がいいと思うんだよね。じゃないと上手く笑えなくなっちゃうし。そう思って影山君を見つけに行こうとしたら、後ろからガシッと腕を掴まれた。
「それも駄目」
『えぇーー?』
「……しゃがんであげるから、早くやりなよ」
『さすが月島君!じゃあ、……ムンク!』
渋々しゃがんでくれた月島君の頬を両手で包み込む。いつも同じ目線に立つことはあまりないから、ちょっと恥ずかしかった。頬は程よい柔らかさで、スベスベだった。もしかしたら私よりもスベスベかもしれない。なんと羨ましい。
『頬っぺすべすべだね』
「もういいでしょ?これで終わり」
『ありがとー』
スベスベ頬っぺに触れることができて、私はもう満足だ。体勢を戻した月島君は、いつの間にかネットの方に歩いていた。なんだかんだ言ってやってくれるんだよなぁ。
「あれ、ツッキー顔赤くない?」
「うるさい山口」
「ごめん、ツッキー!」
(はぁ……癒される。なぁ、ノヤっさん)
(そうだな、龍)
(相手が月島だったのがいけすかねぇけど)
(前々から思ってたけど、月島って名前ちゃんに甘いよな)