ひよこが駆け巡る!





「お疲れした!」
「シターッ!」

体育館中に響き渡る終わりの挨拶に、私もまざって挨拶をする。モップも綺麗にかけて、あとは帰るだけ。今日のテレビ番組はなにがあったかなぁ…。あと今日の夕飯も気になる。

「うぉ!ホントだスゲー!写真でけー!」
「なんスか!?どうしたんスか!?」

興味津々らしい翔陽君が、雑誌を持っていた田中先輩たちの元へ駆け寄る。え、何なに。私も見たい!そう思って、私もその輪の中に参加する。

「ホレ」
『「"高校注目選手ピックアップ?"…?」』

月刊バリボーには高校生3人が載っていた。写真に写る人は、躍動感があって威圧がハンパない。

「今年の注目選手の中でも、"とくに注目!"ってなってる3人の中に白鳥沢の"ウシワカ"が入ってんだよ」
「白鳥沢って影山が落ちた高校!」
「うるせぇ!!!」
『でも、影山君が落ちてくれて良かったー。そのお陰で烏野来れたんだもん!』
「お、おう…」

「ぷぷぷ、何照れてんの?影山クン」
「照れてねーよ!」

もし白鳥沢に受かってたら、翔陽君とのコンビ見られなかったし。白鳥沢が超難関校で良かったー!って失礼だったかな。

ところで、ウシワカさんとはどなた?


「……で、"ウシワカ"って…?」
『それ、私も気になってた』


私は、一応中学は白鳥沢の中等部だったけど、そんな名前の人聞いたことないなぁ。白鳥沢のバレー部は強いことで有名だったのは分かるが、ウシワカさんとはお会いしたことがないかもしれない。似たような名前の幼なじみはいたけど。


全国的な注目選手なわけだから、身体がガッシリしてて凛々しくて、威厳に溢れてる人を想像する。私の想像するウシワカさんは凄くムキムキで、ゴリラみたいな……。私の中のウシワカさんがどんどん人間から離れていく。

「なんだ、知らねーのか?」
「日向は"小さな巨人"ばっかだもんな」
「"ウシワカ"っつーのは県内で間違いなく今No.1エースの_牛島若利だ」

そして田中先輩がウシワカさんのページを開いてこちらに見せてくれた。雑誌に載る写真は想像とはかけ離れていて、ゴリラとはほど遠かった。そして、その人物の名前も顔も私は見たことがある…。何故ならば若利君こと牛島若利は…幼馴染ですから!

"圧倒的パワーと高さ!!超高校級エース!!"

そんな肩書きのウシワカ。フルネームは牛島若利、略してウシワカと言うわけだ。まさかそんな異名がついてたなんてなぁ。いつの間にかそんな有名人になってたんだなぁ。小さいときから知っている若利君が少し遠く感じる。

「うーん、これぞまさしく"エース!"って感じだよなァ。………。」
「オイ!なんでこっち見る!」

澤村先輩がじっとアサヒ先輩のことを見た。

あぁ、アサヒ先輩ヘコんじゃった。

アサヒ先輩も十分エースではないですか!ちょっとヘナヘナしてるけど、試合ではそれを思わせない圧倒ぶりじゃないですか!今の烏野のエースは間違いなくアサヒ先輩だ。

落ち込んでいるアサヒ先輩を無言で慰める西谷先輩。そんな所も男前です!

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