ひよこが駆け巡る!





影山君と月島君が家に送って行ってくれた日の夜の出来事。

お風呂から上がって髪を乾かしていると、スマホが軽快に鳴った。それはメールの着信音で、珍しく鳴った音に緊張が走る。普段は連絡ツールとして無料通話アプリを使うことが多かったから、突然のメールに少し身構えてしまう。

『……誰からかな?』

さっそくスマホを手にとって相手の名前を確認する。するとあろうことか二件届いていた。一件目は2時間程前に犬岡君から。内容は

"宮城は明日からIH予選が始まるって聞いた!

絶対全国大会で会おう!!"

犬岡君らしい勢いのある文面に笑ってしまった。返信はもう一件を見た後でしよう。

さて、もう一件は………、ん?黒尾さん?

まさか黒尾さんから本当にメッセージが来るとか。驚き桃の木山椒の木だ。

"IHで待ってるってそちらの部員に言っておいて〜"

メールとか送り合う仲じゃないけど、こんな短い文に微笑んだ。文章から人柄がにじみ出ている。音駒も頑張ってるんだ…!烏野も頑張らないでどうするんだ!私は両頬をペチンと叩いた。

後でちゃんと今日のメールの内容を皆に伝えないと。特に翔陽君には犬岡君のメッセージを伝えたい。きっと喜ぶんだろうな。

私は二人に差し障りのない返信をして、スマホの画面をoffにした。そして、明日持っていかなければならないものの整理や日程の確認を行っていたら、あっという間に時間が過ぎてしまった。私は急いで寝る準備にうつる。

『明日……か…。』

決戦の日はもうすぐそこに近づいている。

明日に備えて早く寝て、一つのことに集中出来るように体力を温存しておこう。

今回は私にとっては最初の大会だという事実は変わらないが、三年生にとって最後の大会にならないように頑張らないと。

そもそも私は選手でもないのに、大会というものが初めてだから変に緊張してしまっている。だからさっきからワクワクともとれる心臓の鼓動がおさまらない。胸に手を当てると余計に鼓動が響いて、喉が震えた。これが武者震いというやつか。

大丈夫。皆なら私が心配しなくても大丈夫。
これまで私たちは、私たちにできる精一杯をやってきた。あとはその努力を信じて試合をするだけだ。

どうか、一勝でも多く勝ち進められますように。

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