「なんかやる気出てきた!よーっしこれから練習するぞー!」
翔陽君がうおぉーと雄叫びを上げながらボールを持ったその時だった、
「でもお昼はちゃんと食べなさい」
「!?」
「きっ、さっ、しっ、みず先輩…!」
『しょ、翔陽君、動揺し、しすぎだ、だよ』
そりゃこんな美人の目の前で緊張するのは分かるけど。って私も動揺してどうするんだ!翔陽君の緊張が移ってきちゃった。
「あとあんまり奇声を発しないように。部室まで聞こえた」
「ハッ!!!フィ!!!」
初々しい反応で、ちょっと微笑ましくなった。潔子先輩の美しさは何処でも誰でも通用するらしい。しかし飛雄君はビクともしていない。勝手な偏見だけど恋愛事とか疎そうだもん。でも、この間”影山君ってカッコいいよね”と言っていた女友達がいた。確かに容姿は整っているし、普段はあまり喋らないからクールな印象を持つ女子は多そう。ただ授業中は爆睡しているからテストの点数が心配なところだ。
翔陽君は元気いっぱいで、友達は沢山いる。自然と周りを和ませてくれるし、コミュニケーション能力が高いから、付き合うとしたら飽きなそうだ。確か妹さんがいると言っていたし、女の子の気持ちを少しでも分かってくれそう。翔陽君と一緒にいたら、自然と笑顔になれるし、ずっと幸せな気持ちにしてくれそうだ。
よし、この調子で一年生のことを考えてみよう。
山口君は、大人しいから、同じ様に大人しくて可愛らしい子がお似合いそう。翔陽君や飛雄君のように良く話すわけではないから山口君の生態についてはまだ謎が多い。でも少なからず月島君のことが大好きなのは分かるし、誰かを大好きになれるってことは、その人以外も大好きになれるって可能性を含んでいると思う。きっと一度好きになったら誰かをずっと大切にしてくれる人だ。
月島君は頭もいいし、クールだし、身長も高い。いつも冷静で、なんでも出来そう。誰に対しても態度を変えるわけではないけど、優しいということもない。そんなクールすぎる様子が、月島君を良く見せている。月島君の魅力に気づいている女の子は少なくない。でも彼女が出来た姿を想像できない。実は意外と甘えたがりだったら面白いんだけどなぁ。
「あ、あの!」
「なに?」
「三年生は_、三年生は残りますよね…??キャプテンは春高行くって、東京のでかい体育館で戦うって言ったの変わらないですよね!?」
と1人だけで考えていると、翔陽君は私の胸に突っかかっていた問題を、サラリと聞いてのけた。ずっとずっとそればかりが気にかかっていた。三年生は…、三年生はまだ、まだ残るんですよね…?
「うん、変わらない」
「!!!」
変わらない…、それは春高に行くってこと?
「影山、飯食うべ!!」
「ちわっす」
「おつかれ」
俄然やる気が漲った翔陽君は、瞬く間に体育館を走り回った。飛雄君は1度潔子先輩に一礼してから立ち去った。
『潔子先輩も…、春高行くんですよね…?』
「うん、もちろん行くよ」
『……っ。これからも、よろしくお願いしますっ…!』
あぁ、もう潔子先輩大好きだ…。
その日の練習、潔子先輩の言葉通りちゃんと三年生はやって来た。
もう一度あの舞台に立つために。