日向birthday! 2014
俺の彼女の名前ちゃんは、意外と香りものが好きなようで。本人は香水はつけないけれど、柔軟剤にはこだわっているようだ。
お陰で何時もいい匂いである。…え、変態発言みたいじゃなかったって!?べ、べべべつにそういうわけじゃないぞ…!
俺達は家が近い事もあって、夜は必ずどちらかの家に行って二人きりで話をするようになった。夜だからお菓子を食べたりは出来ないけど、お茶を飲みながら、お話だけは必ずするようになった。
やっぱり例え恋人になったとしても、昔みたいに二人だけの時間って大事だと思って。
「俺さ、名前ちゃんの匂いが好きだなぁ…」
「え………」
思っていた事がポロリと出た瞬間。やってしまったと思った。引かれてないかなぁ……。
ちょっとだけ悲しい気持ちになっていると、名前ちゃんは無言でテーブル越しの俺の元にハイハイで近づいて来て、俺の髪の毛の匂いを嗅ぎだした。
予想外の至近距離に心臓が破裂しそうになって、寝間着をギュッと握った。
「私は翔陽君の陽だまり見たいな匂いが好きだよ」
陽だまり、みたいな…。自分の匂いをあまり意識したことがなかったけど、彼女が言うんだから、俺は陽だまりみたいな匂いがするんだろう。陽だまりみたいな匂いってどういう匂いなんだ?俺には良く分からないけどな。
「だから、私の匂いが好きだって言ってくれて嬉しい!」
「でも俺、部活終わった後とか汗くさいよ?」
言いながら、さりげなく今の自分の匂いをかいでみる。風呂上がりだから今は大丈夫だと思う。そんなにいい匂いするかなぁ?
「ん〜、結局はどんな翔陽君の匂いも好きなのかもしれない」
苦笑いしながら言っているけど、その言葉があまりにも嬉しくて反射的に彼女に抱きついた。
「名前ちゃんの匂い本当にいい匂いだよ?ずっと嗅いでいたいくらい」
無意識のうちに俺たちは抱き合い、そして向かいあっていた。そして、そっと視線を絡ませると彼女がニコリと笑って、俺も笑み返した。そしてそのまま目を瞑ったのを確認して、ぎこちなく唇を合わせた。
手で数えることが出来るくらいのそれにはまだ慣れることができない。時々鼻同士がぶつかったりするけど、終わった後にはちゃんと笑えてる。そうしてまたぎゅーっ、と、抱きしめる。
名前ちゃんを抱きしめながら、その後ろ髪を撫でる。髪を撫でると、また良い香りが広がる。彼女のいつもとはまた違った匂いにでも安心を覚える。
まだ離してやりたくないから、俺は抱きしめる力を強めた。
こんな二人の温度が、堪らなく好きだ。
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君と匂いと