及川birthday! 2014
家が近くで幼なじみ同士。というには彼の方がやや年上なのだが。
三年間の高校生活を終えた彼をまだおむつも取れない頃から見てきた。当時とても幼かった私は動き回る彼をまるでペットの小動物のように可愛がっていたのだ。
「それなのに!」
「なに!?びっくりするじゃん!」
今目の前で図々しくスポーツドリンクを飲み、先日20歳を迎えたばかりの徹には可愛さの欠片もない。
近所だからという理由だけで、僅かではあるが接点はあり、今もこうして図々しく我が家に上がり込む徹には呆れるばかりだ。
「会ったのは俺の誕生日以来だね〜」
「そうだねー。」
「名前さ、何か俺に冷たくなってない!?」
「20歳越えた男女の幼なじみがいつまでも優しいとは限らないよ」
何をそんな甘ったるい事を考えているのやら。
「昔はとおる、とおるって俺に構いきりだったのになー」
「それは昔の話です!」
貴方が昔のままの可愛さを持ち続けていたらまた話は違ったけども。
それに私は社会人だから最近は忙しいのだ。
ふらっと田舎に帰省してふらっと都会に帰っていく大学生とは違うんだよ〜。
「こんな事してないで、早く就職して可愛いお嫁さんでも見つけたらいいじゃないの」
「……ん?」
「ん?」
整った顔のアホ面で聞き返されてしまった。まるでお前何言ってるの馬鹿じゃない?とでも言うように。なんかイラつく。
「名前、もしかしてそれ本気で言ってる?」
「うん。嫌なの?」
「嫌じゃないけど…。名前はそれでいいの?」
「んー、ちょっと寂しくなっちゃうかな」
本音を苦笑いで零した。
そりゃあ私だってこれでも女だから、好きな人と結婚して子供を生んで幸せな家庭をっていうのに憧れる。ああいいなあ、家は小さくても仲睦まじく過ごせたらいいなあ。
「よぉーし」
「どうしたの?」
「結婚するぞ〜」
「はい?」
聞き間違いかもしれない。
「式はどうする?俺が大学卒業してからでいいか……」
「ちょっと待って何の話?将来設計立てるのはいいけどうちでやんないでよ」
それは紛れもない聞き間違いではなく、完全に結婚の事を話している。
「何で?」
「だって私の目の前で惚気られたくないし」
徹の言っている意味が分からない。
なんだ相手はいたのか。徹これでも顔は整っているし小中高はずっとモテていたし、彼女がいないこと自体おかしいよね。なんだ私の一言でもう結婚する気になってしまったのか。
「彼女さん、うちにも連れてきてね」
「え、なに言ってるの?」
「徹の未来のお嫁さんの話でしょ?」
「名前がここまで馬鹿とは知らなかった」
まさか徹に馬鹿だと言われる日が来るとは思わなかった。馬鹿とはなんですか!馬鹿とは!
「あのね」
「うん」
「名前だよ」
「私が何?」
「だから、お前に結婚しようって言ってるんだよ。」
思考回路が三秒停止する。
それからじっくり止まって五秒考える。
「……………私と徹が!?何で!」
「俺は名前が好きだ、昔から好きだった。これだけのことだよ」
「なんで告白とかお付き合いとかすっ飛ばして結婚なの!?」
爆弾発言に寧ろ私が爆発しそうな勢いで質問を投げかける。徹は余裕の表情でニコリと笑っていた。
「だって名前も俺のこと、好きだろ?」
図星すぎて今度は何も言い返せなかった。
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繋ぎとめる何か