華やかな完美のメロディ
また来てしまった。
帰り道の少し外れにあるお花屋さんは今日も営業中です。
「いらっしゃいませ。」
笑顔で挨拶をしてくれる真琴さん。お花のような彼は、とてもフワフワしていて、一緒にいると穏やかな気持ちになれる。男でこんなに花が似合う人はいるだろうか。
「今日も来ちゃいました。」
「はい、ありがとうございます!」
嘘偽りのない返事に心が励まされるような気がした。
「この店を見ていると…」
「…はい?」
「いつか、この店の花を贈りたいって思える大切な人に会いたいなって思うんです」
まだ出会ったかりなのに、こうして本音を言っちゃうなんて。自分でも驚いた。きっと彼には人を安心させる魅力がある。
「そう言ってもらえて嬉しいです!」
やっぱり気持ちの良い笑顔に心地が良くなる。真琴さんは凄い人だな…。
「と言っても、まだ出会えて無いんですけどね」
なんて苦笑すると、
「名前さんなら、きっと現れますよ…、そんな素敵な人が」
心ごともっていかれそうな、柔らかい笑顔で返してくれた。
心臓が大きく跳ねた。
こんな人に育てて貰った花は、とても純粋で綺麗に育つだろう。
「そう言えば、ここにあった花…。」
「気づいてくれましたか、さっき男の人が買われました。」
「えっと…確か…。胡蝶蘭ですよね」
「はい、よく覚えてますね」
昨日、知らないけど可愛い花があるなと思った。
今日見てみるとその花がなくなっていた。
「なんだか可愛らしい花だったので、家に帰って調べてみたんです。」
「…そこまでしてくださるとは。花言葉は知ってますか?」
「ごめんなさい、そこまでは…。」
「いえ、謝らないでください。胡蝶蘭の花言葉は"あなたを愛します"です。」
胡蝶蘭にはそんな意味があったんだ…。やっぱり花言葉ってロマンチックだなと思う。一輪一輪にちゃんとした意味があるって、人間の個性みたいだ。ちょっと花言葉覚えてみようかな、なんて思ったり。
「素敵ですね…。」
「はい、とても素敵です」
すこし開けられたお店の入り口から暖かい風ががはいりこんでくる。それは私と真琴さんの髪をちょっぴりくすぐって通りすぎていった。心地の良い風だ。
ふと目が合って、おもわず二人で笑ってしまった。今、この瞬間がずっと続けばいいのに…、なんて欲張りなことを考えていた。
自然の木々がざわめいた。