初な恋が生まれた日
ザーザーと地面に激しく叩きつける大雨。
どこの店も閑散として、活気を失っていた。
こんな日に売れるのは、傘やコートだろう。
そして、こんな日に喜ぶのは植物たち。自然の恵みを受けた後の植物たちはいつもより生き生きとしている。
傘を差して、歩きながら真琴さんのことを考えていた。
***
「花は、愛情がいっぱい注がれた時に咲き誇るんですよ。」
真琴さんは嬉しそうに話してくれた。
「そうなんですか…!じゃあここにある花は誰かに愛情いっぱい育てられた花なんですね。」
「そうなんです。育てた人の思いがギュッと詰まった花たちなんです。」
***
「花は育ててもらった人に似るんです。」
自慢げに語ってくれた。
「なるほど…!確かにこのチューリップも真琴さんにソックリです」
「えぇー!?どこがですか?」
「…えーっと、雰囲気とか?」
「そうですかね?」
***
他にもちょっとした豆知識や花言葉…。いろんな話を聞いてきた。
いままで何回も来てた。
いつ来てみても、新しい発見の連続だった。
それが楽しくて、面白くて…。なにより真琴さんと一緒にいることが幸せだった。
帰る時間が過ぎていたことを忘れるほどに、一緒にいて楽しくて、落ち着く人に初めて出会った。
同じ時間、同じ場所、同じ空間を共有できるってとても素敵なことなんだと思う。隣にいる相手が真琴さんだったなら、ますます幸せだ。
できるならもっと隣にいて、いろんな話を聞きたい…。
その時、こんな出会い二度とないと思ったのだ。
どうやら真琴さんの事が好きになったみたいだ。
一体、この思いをどうやって伝えようか…。
…そういえば、
"いつか、この店の花を贈りたいって思える大切な人に会いたいなって思うんです"
なんて事を言った覚えがある。
そうだ、あの店の花で思いを伝えようか。
ジメジメとした空気が花達を喜ばせた。