家族
今から僕の家族を紹介しよう。
まずはバレーボール選手だったお父さん。難しい性格をしていると、息子の僕目線でも思う。
快諾という言葉を知らない父である。全てにおいてやる気を見いださないような性格。
バレーボール選手引退後は、全日本のコーチになっている。僕からしてみると、お父さんはコミュニケーションが大の苦手であるため、選手と上手く会話がとれているか心配だ。
お母さんは優しい。ちょっと抜けたところがあるが、しっかりしている部分が多い。僕から見ても、十分良い母である。
父と母は対照的だ。お父さんは暗く、お母さんは明るい。そしてその間の僕は普通だ。対照的な2人だが、2人の喧嘩を見たことがない。
しかし、未だに何故母が父を選んだかは全く分からない。
お父さんが悪いとはいわない。けして蔑ろにされたことはないし、寧ろ母曰く、父が僕を一番可愛がっていたらしい。今となっては全くそんな感じがしない。
「ねぇー、お母さん」
『んー、何?』
「明日さ、どっか行きたいー!」
『いいよ、どこ行く?』
お母さんが晩御飯の準備をしている時に話しかけてみた。お父さんは、ソファに座って雑誌を見ている。
ここは人混みが大嫌いなお父さんが行けない場所を提案してやろう。幼いながらの悪戯心が働いた。
「ショッピングモール!新しいゲームカセットが欲しいんだ!」
休日のショッピングモールと言えば、人混みが凄まじい。さすがのお父さんもついてこれまい。
『いいよ−。行こっか。聖臣はどうする?』
お母さんは何事があってもちゃんとお父さんの意見を聞く。
「…行く」
『おっけー。じゃあ明日車出して〜』
「めんどくさ…」
『お願いしますよ、お父さん!』
混じりっけのない純粋なお母さんの笑顔に、流石のお父さんも怯んだ。
「いいけど、朝早いのは嫌だからな」
『うん、お昼過ぎ位に行こっか。あ、昼ご飯食べてく?外で食べる?』
僕はお父さんの答えを知っている。
「家で食べる」
お父さんはお母さんの手料理が大好きだ。外で食べると言うことは滅多にない。
お父さんが現役時代、お母さんは専業主婦だったから、料理に関しては詳しい。レパートリーがたくさんある。同じ食材でも調理の仕方が違って、飽きない工夫をしてくれる。
お母さんの料理が好きなのはお父さんだけではない、僕もだ。
『分かった、じゃあお家で食べよーう!』
お父さんは再び雑誌を読み始めた。その隙を狙って、お母さんは僕の元に寄ってきたんだ。そして小声で語りかけてくる。
『ショッピングモールに行くなんて、滅多にないんだよ。お父さんてば、本当に貴方のこと好きねぇ』
めっちゃ笑顔なお母さん、それは違うよ。お父さんはお母さんが行くから行くんだよ。
「名前、新しいシューズが欲しい」
『分かった。明日一緒に買いに行こ』
お母さんはお父さんに甘い。お母さんはお父さんがやっていることを否定しない。
「……飯」
『今出来たよ〜。食べよっか』
家族はお母さんを中心に回っている。そしてそんなお母さんが大好きなお父さんと僕。
僕の家族はきっとこれからもずっと幸せだ。