伊達工業高校入学式から3週間が経過した。

伊達工業バレーボール部に、学校に少数しかいない女子のマネージャーが、なんと、なんと!なんと!

今年は入部しませんでした。勿論、2年生には滑津舞というマネは存在しているが、やはり女子マネが増えたらとてもテンションが上がる部員もいる。

もしかしたら、今年はマネの入部があるのではないかと予想していた彼らだが、その可能性はほとんどないと知り、少し…、いやかなり残念がっていた。その代わり屈強な一年生が入部し、以前より雰囲気は盛り上がっていた。

悲しい。

華(?)の男子高生、旬な時期に色恋沙汰が浮かび上がらないなんて。部活は盛り上がっているのに、恋愛ごとの話では盛り上がらない。

「なぁ、二口」
「んー?」
「お前さ、彼女とかいねぇの?」
「っは?いるわけねぇじゃん」

少しでも恋愛ごとの話をしようものならこの通りだ。部活に青春をかける彼らに、色恋沙汰で盛り上がっている余裕はあまりなかった。

「そう言うお前は?」
「いるわけねぇだろ!」
「なんでキレてんだよ。青根は…いねぇよな」
「(コクン)」

そもそも青根が女子と話したことがあるのか疑問だ。バレー部の男子にもあまり口を開かないのに、そこらの女子と話すなど想像もできない。決して女子が苦手なわけではないが、そもそも会話をする機会がないのだ。

「まさか二口に彼女いないなんてなー。」
「なんだよそれ」
「だってお前モテんじゃん」
「あー…まぁ否定はできないな」
「くっそー羨ましいなおい」

否定したらそこで嫌味になるので、否定はしなかった。入学してから今まで十数人の女子に告白されたからだ。二口は高身長で顔がいい。性格には少し難があるが、二口と話したことがない女子にとっては、爽やかなイメージを植え付けてしまう場合がほとんどである。

「あ、そういえばお前のクラスの苗字さんって、可愛いよな」
「…は?」

苗字さんとは、2年になって二口と同じクラスになった女子の事だ。伊達工業高校の全校の男女比は4:1。断然男子が多いのだ。

その少数の女子の中で群を抜いて可愛いのが、苗字という女子らしい。これまで女子に注目をしたことがない二口でさえも、可愛いじゃねぇのと思うほどだった。

「2年の女子ん中で一番可愛い。ってか全校で一番だろ」
「あー、どうだろな。周りに男ばっかだから、顔判定鈍ってんじゃねぇの。そりゃむさ苦しいゴリラの中に女いたら大抵の奴は可愛いかもって勘違いすんだろ」
「誰がゴリラだ!」
「誰も鎌先さんの事言ってないっすよ〜。もしかしてゴリラって自覚あるんですかぁ〜」
「っな!うるせぇ二口!!!」

二口は挑発に乗ってきやすい鎌先の相手をしながら、再び苗字のことを考えていた。大抵の野郎はその苗字とかいう女子に好意を抱いている。そう言われてみれば意識し始めるのが男子というもの。

告白をされれば嫌にでも意識するのと同じだ。

「(話したことねぇけど)」

今まで縁がなかった女子だが、この日から二口は彼女を意識し始めたのだった。

-気になるあの子

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