小湊先輩の観察眼

放課後の部室で、なまえと小湊亮介が並んで記録を確認していた。
静かな空気の中、ふと亮介がなまえの顔をチラリと見て、微笑む。

「……みょうじ、倉持と付き合ってるんでしょ?」
その一言に、なまえは目を大きく見開き、顔を上げて亮介を見つめる。
「っえ!?」

亮介は堪えきれずにプッ、と吹き出して笑った。
その笑い声に、胸の奥がじんわり熱くなる。
「え、えっと……その……」
動揺して顔を赤くするなまえに、亮介はくすくす笑いながら視線を逸らすことなく続ける。

「その他の部員は……?」
「大丈夫、誰も気づいていないよ」
安心する言葉に、少し肩の力が抜ける。

「そ、そうですか……驚きました」
まだ心臓がドキドキしているのを自覚しながら、なまえは答える。

亮介はちょっと真剣な顔になった。
「みょうじ」
「はい!」
「部活に支障が出ないように気をつけるんだよ」

なまえは頷きながらも、胸が熱くなるのを感じる。
「幸せにしてもらいなよ」
その一言に、思わず息を呑む。

「えっ……」
亮介の笑顔には、からかい半分・見守り半分の温かさが混ざっている。

「返事は?」
「はいっ!」
元気に答えたなまえの声に、亮介は満足そうに微笑みを返す。

その後ろ姿を見送りながら、なまえは心の奥で小さく呟く。
(倉持くん、きっと私のこと大切にしてくれるんだ……)

胸がじんわり甘く熱くなる瞬間。
夕暮れの校舎に、二人の幸せな余韻が溶けていった。