部活が終わり、校舎にはもうほとんど人の気配がない。
倉持となまえは、揃って荷物を片付けながら、微妙に距離を縮める。
「……今日は一緒に帰る?」
倉持の声は、いつもより低く、少し照れくさい。
なまえは荷物を持ったまま少し笑って頷く。
「うん、そうしよう」
グラウンドを抜けて、少し人気の少ない校舎裏へ。
二人の足音だけが響く。
風がそよぎ、夕焼けの光が長く影を伸ばす。
倉持がふと立ち止まり、なまえを見る。
「……今日、なんか、緊張するな」
「え、わたしも……」
同じ気持ちだと分かるだけで、胸がぎゅっとなる。
無言のまま歩くうちに、倉持はなまえの手をそっと握った。
なまえの指先に触れた瞬間、全身がじんわり熱くなる。
「……あったかい」
「うん……」
言葉少なに笑う二人。
倉持が少し前に出て、なまえの肩に自分の頭を寄せる。
「……こうしてると、安心するな」
「わたしも……」
心臓の音が互いに伝わる距離。
小さな笑い声を交わすだけで、世界が二人だけの空間に変わる。
付き合い始めたばかりのドキドキと温もり。
夕焼けの光が二人を包み込み、甘く幸せな時間がゆっくり流れていった。