◇47

車を降り、後ろに回る。
大丈夫。半年会えなかったことを思えば、2週間なんてあっという間じゃないか。またすぐ会えるんだから。
朝レオリオが乗せてくれた私の黄色いキャリーケースのほかに、トランクの中はクリアファイルに入った何かの書類とか、大きな黒いカバーみたいなものとか、クリーニング帰りの顔したシャツとか、いろんなもので雑然としていた。
自分の荷物を引っ張り出そうと、キャリーケースの上に無造作に置かれていたコンビニの袋を横にどかす。すると、くしゃくしゃになった袋の口から何かがこぼれ落ちた。レシートだった。ふと目に入った印字の日付と時間は今日の朝。つまりこの袋は、ホテルに向かう途中飲み物を買うのに寄ってもらったコンビニのものだろう。私の買ったお水はハンドバッグに入れているからレオリオの買い物だ。
レオリオ、何か買ってたっけ?
レシートをしまいがてらそっと中を覗き込むと、そこには個包装のドリップバッグコーヒーがいくつも詰まっていた。



「なまえ?」
キャリーケースから取り出した細長いファイルを手に、私はもう一度助手席へ戻った。
目を見開いたレオリオの視線を受けながら、半年前とは見違える手つきで私は航空券に書かれている番号を携帯へ打ち込んだ。
「すみません、今日の正午の便なんですが……はい、予約のキャンセルをお願いできますか?」
あんぐり口を開けたレオリオをよそに飛行船のキャンセルをさっさと済ませ、携帯をハンドバッグへ放り込んだ。
「ハンターライセンスがあれば予約の当日キャンセルもし放題だもんね」
「フン。早く帰ってこいって言われたんじゃなかったのか?」
「イジワル」
私はいじけたレオリオの膝の上に乗る勢いで身を乗り出し、顔を近づけた。拍子に肘に当たったクラクションが大音量で鳴り響いたけど、そんなの構うもんか。
そのまま私は半開きの彼の口目掛けて、自分の唇を思いっきり押し付けた。

大好きな大好きな、私の愛するドーレのばーちゃん。
私は今日までずっと、あなたの教えを守ってきたけれど。
でも今は。今回は、言いつけを破る私を許してくれますか?

「私は……私だって、レオリオともっとずっと一緒にいたいの!悪い?!」

世界地図の果てで見つけたこの人が、私はどうしようもなく大好きでたまらないんだって、もう一度気付いてしまったから。



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