「サーヴァント、ルーラー。リジューのテレーズと呼ばれております。……あぁ、でも、テリアとお呼びくださるととっても嬉しいわ」
ふわりと笑ったこの子は、俺も立香もよく覚えていた。やわらかく香る薔薇の香り、白いベールを纏う幼き聖女。
第一特異点、オルレアンで俺が名前を贈って、一緒に戦ったあの子だ。
「テリア!テリアだ!」
「召喚運死んでる兄さんがテリア喚べたの!?」
「ちょっと立香うるさい!」
召喚サークルからこちらへ歩み寄るテリアは、口許に手を当てながら俺と立香を見てクスクス笑う。
「名を頂いたのは、私ではない私ですが……また、そう呼んでいただけますか?マスター」
首をかしげた彼女に「もちろん!」と俺だけじゃなく立香も笑顔で頷いた。それに嬉しそうに笑うテリアに、また会えた喜びが爆発してついつい飛び付いた。立香に殴られた。
「兄さんのところも二人めのルーラーだね」
「他にもルーラーの方が……確かに気配を知覚することが出来ますね」
「うん。俺のところに一人、立香のところに二人」
召喚室を出てテリアにカルデアを案内しつつここにいるサーヴァントの話になる。
随分と縁を結んだサーヴァントが増えて、ここカルデアは随分賑やかだ。皆結構実体化して過ごすのが好きみたいであまり霊体化をしたがらない。まぁシミュレータールームとか宝具とかの中にいる人もいるけど……。
テリアもやはりルーラーなのでサーヴァントの知覚能力があるようだ。目を閉じ、どこか楽しそうにサーヴァントの気配を感じている。楽しそうだね、と尋ねれば「こんなに英霊、神霊の方々たくさんとお会いすることもありませんから」と彼女は微笑んだ。
「人理修復、それも神がお与えになった試練でしょうか。でも神は越えられぬ試練はお与えにはなりません。マスター達なら必ずやりとげられますよ」
「テリア……」
「勿論私も、お力になります」
手を祈るように組み、美しく可愛らしく微笑むテリアに、また飛び付こうとしたら立香に阻止された。なんで。
そうしているとふと、テリアが何かを察知してパッと顔をあげる。
どうしたんだろう、と思うとちょうど廊下の向こうから歩いてくる赤いマントとストラが特徴的な人物が見えた。さっき話していたルーラーの一人、俺と契約を結んだ天草だ。
「天草!いいところに!紹介するよ、さっき召喚したリジューのテレーズ……テリアだよ!」
「おや、幼きイエスの聖テレジア殿ですか?」
「そんでテリア!こっちは天草四郎!俺が喚べたもう一人のルーラーだよ」
「まぁ、あの奇跡の……よろしくお願い致します、天草様」
二人とも穏やかに笑って挨拶をして、うんうん仲良くやっていけそうだなと俺は満足気に飛び付いた。