__私は思うのだ。

「......赤葦くんってやっぱり変な人だよね」
「まだ言ってるの?赤葦って赤葦だよね?」
「うん。.....絶賛こっちをガン見してる赤葦くんだよ」
「......なんかした?」
「わかんない」


今日は選択授業が自習になった。

この授業は去年までの先生が課題を沢山出すとか、授業の進みが早すぎて辛いとか、テストが難しいとか、先生が怖いとかそういう理由であまり選ぶ人がいなかった。その話を先輩たちから代々引き継がれてきたために今年も例に漏れず選択者が少なく、同じ教室で何クラスも合同で受けている。その中には赤葦くんもいた。

「......」
「......視線が痛い」
「それな」

今年からの先生は割とゆるい人で、席は毎回自由席だから友人と隣同士で座る。けれど今日は空いていなかったから前後で座った。5分も持たなかった静寂の中でそんな会話をする。みんながガヤガヤ言っているから、ちょっとやそっとじゃ赤葦君には聞こえないはずだ。

こちらを向いて私が座っている席の机でプリントを仕上げていた友人は、横目でちらりと赤葦くんを見る。それから私の顔を見た。私は思い当たることがなくて、シャーペンを握りしめる。

「木兎先輩関連でしょ」
「やっぱりそれしかないよね」

私は筆箱についた缶バッジを見つめた。「木兎!!」バッジを見つめながら頭の中で最近を一生懸命振り返る。

最近木兎さん関連で何かしたっけ?この前の練習試合は見に行ったな。廊下で会った時に焼きそばパンくれた。あとは

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