君の瞳に移る私へ

准の綺麗な瞳が好き。吸い込まれていくような緑が好き。
彼に私は恋をした。


私の恋人はみんなのヒーローだ。笑顔で赤をまとい、沢山の人へパワーを分け与える。 嵐山准はそんな人。私が彼と付き合えたのは偶然できっと私の立場にいる人は私じゃなかったのかもしれない。でないと可笑しい。だって私はこれをいった特徴がないし、強いていうならボーダーの中央オペレーターってことぐらい。 今のところ隊には誘われてないし、入るつもりもない。数あるうちの一人。なのに准は私を選んだ。准は少し変わってるし理解しようとは思えないけどは不思議には思っていた。そしてその不思議は止まることがなかった。現に今こうしてその話を同級生に話してる。これで頭が良かったらきっと私はエンジニアだったんだろうな。

「だから要するにね、准は私のどこが好きなんだろうって話なの。どう思う?」
「どうって聞かれてもね...そもそも嵐山はあんまりキミのことおれに話したがらないし。」
「どうして?」
「そりゃ、可愛い彼女のコトを言い振らしたくはないモンでしょ。」
軽く笑う迅に私は違和感を覚える。おかしい。だって准の隊の時枝くんはよく惚気話に巻き込まれるって言ってた。他の人も言ってる。やっぱりおかしい。迅だけハブられてる?
「迅にだけ言ってないんじゃない?」
「...そんなコトある?」
「だってそうじゃないと説明つかないもの。心当たりない?」
少し考え込む迅。数秒経って思い付いたのか顔を上げた。
「...あ。ナマエさ、嵐山のどこが好き?」
「どこって...沢山あるけどやっぱり瞳かな。准綺麗な緑。私あの瞳に恋をしたの。」
ぱちり、迅と目が合う。どこかもどかしくなって誤魔化すように手前にあったコップなら口に水を含む。
「なるほどね。これはさ、あくまでもあったかもしれない世界線の上、過去であることを分かって聞いて欲しいことなんだけどさ。」
「え、えっとつまり、迅見えてた起こらなかった過去ってことだよね?」
こくり、首を縦に振られる。
「それでさ、ある未来ではおれとキミが付き合ってたんだよね。」
「え、」
さっきまで水を含んでいたはずの喉から一気に水分が無くなる。そんな気がして、
「ずっと前から不思議だったんだよね、どうしてなのか。まぁ、今はもうない未来なんだけどね。」
翡翠が埋め込まれた目には困惑した私。私、こんな顔してたんだ。

「...冗談やめてよ。」

水の中でカラン、氷が疼いた。




行き慣れた道を駆ける。行き先は、恋人の家。
いきなりの呼び出し。今日は久し振りの休みだから呼んでくれたのかもしれない。
「お待たせ。久し振り、最近忙しそうだね。体調だいじょ...」
チャイムを鳴らせば玄関から顔を出した准へ話しかける。 顔を見せた准の雰囲気が凄く怖くて、飲み込まれそうで、ぶわりと気味の悪い汗、
「ど、どうしたの?何かあった...?」
私の腕を強く掴む准。視線がはっきりと交わる。焦燥とした様子の准はゆっくりと口を開いた。
「なぁ、俺のどこが好きなんだ?」

言いたいことは沢山あるのに、言ってはいけないような気がして、どろりとした緑の奥には困惑した私が映っていた。

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