チャイムを鳴らせば出てきたのは幼なじみではなくその友達だった。
「あ、おひさっす、凪さん。」
「久しぶり、米屋君。公平呼んでくれる?」
「あー、あいつ今手が離せないんで待っててもらってもいいっすか?」
少し目を逸らした米屋君。
「手が離せないって...どうして?」
少し凄めば、勘弁したと両手を上にあげる米屋君。
「その...緑川とゲームやってます。」
白状した米屋君。どうやら公平は後輩の緑川くんとゲームに勤しんでいるらしい。
「はぁ...、いいわ。お邪魔します。」
怒るのも面倒くさい、靴を脱いで公平の家へと乗り込む。
リビングには誰もいない。部屋か...。階段を上り2階の公平の部屋へと入る。
するとそこに居たのはゲームで遊ぶ公平と緑川くん。
「げっ、凪姉、」
顔を歪める公平。
「あっ、凪さんだー!凪さんもゲームする?しよしよ!」
抱きついてこようとする緑川くんを避ける。
「今はしない。」
「公平。おばさんあんたに電話掛けても出ないって私に掛けてきたんだけど。ゲームしてんじゃないわよ。」
「マジで?なんて言ってた?」
「今日夜遅いから夕飯自分で食え、金はP〇y〇ayで送金しておいた。だって。」
「あー、りょーかい。」
「あ、あと四人分あるから私と米屋君たちもどうぞ、だって。」
「え、マジで!?いずみん先輩のお母さんゴチです!!」
「うおっ、ありがとうございますって伝えとけ、弾馬鹿。俺今親に連絡するわ。」
はしゃぐ緑川くん、携帯を取り出す米屋君。
「凪姉、どこ行く?」
「近くのファミレスでいいでしょう。」
「へーい。」
◆
「そういえば!凪さん知ってる?三門市第四に伝わる七不思議!」
得意そうに言う緑川くん。そんな暇があるなら早くご飯食べてしまえばいいのに。
「どうせ、トレイの花子さんだとかそんなのでしょう?」
「まぁ、あってるけどさーー、なんかもうちょっと反応してよ!」
「そもそもね、その類の怪異は人の噂を食って育つのよ。アイツは人の噂から生まれたから人の噂でしか生きていけないの。出くわした時の1番の対処法はお前なんか存在しないって言ってやることよ。」
あ、この野菜スープ結構美味しい。
「あ、そうだ。ならじゃあ凪姉さ、あの噂どう思うわけ?」
次に身を乗り出したのは公平だった。
「あの噂?」
あの噂、とはなんだろう。
「あ〜、弾馬鹿あれだろ?屋上で落ちる少女。一定度の霊感持ちがある席に座ると過去に自殺した女子が屋上から真っ逆さまに落ちてくるのが視えるって話!」
あぁ、あれね。というか米屋君よくあの噂ってワードだけで話通じたな。
「いい?アンタら自殺した女子なんか実際知らないし在学中そんな話なかったでしょう?そういうことよ。」
「確かにな〜」
「ならこれもコラか〜」
でも、
「マ、あれはホントだけどね。」
「え、フェイントエグくね!?」
「マジなのかよ!!」
うるさい。二人を宥める。周りの人が迷惑そうに見てる...。
「ホントよ。私見た事あるし少しだけなら話したことあるわ。確かに自殺したけどもう未練は一切ないらしいわよ。ただ、みんなが噂するから成仏できずに学校に引っ張られるらしいわ。」
「まじか〜、かわいそ」
「噂否定しとこーっと」
「そんなこともあるんだぁ」
これできっと2ヶ月後には都市伝説の話してるんだろうなぁ。学ばないからな、こいつら。
「って、あ、双葉だ!」
「え、黒江?」
「加古隊メンバーじゃん。あの人たちファミレスとか行くんだな。」
黒江?双葉?誰?
「公平、誰?」
「あー、ボーダーの後輩の女子で緑川の幼馴染。」
ふぅん。
チラりと緑川くんが手を振るほうを見れば数人の女。ツインテールの小さい女の子に、綺麗なセンター分けの女性、ポニーテール糸目の女子、形容し難い女の子...。
「...駿。どうも、出水先輩と米屋先輩と...、」
「あ、こいつ俺の幼馴染の凪姉。」
「初めまして、神孫子凪です。」
「黒江双葉です。」
私の名前を聞いた途端体を動かしたのはセンター分けの人だった。
「じゃあ、あなたが私の制服借りた子?」
「え、えっと...?」
「六頴館に潜入したんでしょう?」
あぁ...あの制服この人が持ち主だったのか。
「はい。多分あなたの制服だと思います。あの時はありがとうございました。」
「私、加古望。よろしくね。それで、どうして六頴館に潜入したのかしら。気になってたの、教えてくれないかしら?」
「え!?凪姉六頴館に行ったの!?なんで!?」
私へ問い詰める公平。どの口で言ってるんだか。
「あんたのせいで人脈増えてんのよ。」
じとりと睨みつけてやれば察したようで公平は肩を細めた。
「あぁ...そういうこと。え、なんかごめん。」
「それでですが、加古さん。私、俗に言う、除霊師なんです。前回は六頴館でそれ関連で要件があったのでお邪魔させて頂きました。神孫子心霊相談所は何時でも受け付けておりますので、加古さん達もお困りでしたら、是非ご相談を。」
「あら、そうなの。何かあったらお願いさせてもらうわね。それじゃあまたね。」
そう言って去っていく加古さん一同...、
「アンタら綺麗な子や可愛い子とも知り合いなのね。」
「ちょ、それどういう意味?」
「そのまんまの意味。」
「てか、ちゃっかり凪姉、宣伝してたよね?」
「それが営業なのよ。」
「セッコ〜〜」