花は腕の中 の続き


「ん、ふ、ぅ…っ」
「はぁ…、」

 まだ軽く舌を絡ませている程度だというのに、ナマエの身体は既に力が入らなくなっているようで。スネイクの腕に必死に縋りつき、何とか体勢を保っているようだった。
 スネイクは服の中へ侵入させていた手を上へと滑らせていく。柔らかな肌を堪能しながら胸へ辿り着いた指先は、下着を外そうと動いた。そこで違和感に気付く。

「あれ?」
「んっ、あ、ど、どうしたんですか…、」
「ナマエお前、ブラジャーは?してねえの?」
「あ…、これ、カップが付いてるやつで…あっ、」
「あー、なるほど」

 ふるりと揺れる胸を包んでいるのは、スネイクのよく知っている下着の硬い感触ではなく。ブラジャーとインナーが一緒になった、柔らかく触り心地の良いキャミソールだった。
 下着の紐が見えていないことになんとなく違和感を抱いてはいたが、そういうことだったのかとスネイクは納得する。先ほどは無防備なその格好に動揺したが、現金なことに今となっては逆にありがたかった。
 触った感触的にアンダー部分はゴムだろうし、これな多少乱暴にしても問題ないだろう。「脱がしやすくていいな、これ」などと言いながらスネイクは指先をゴムに引っ掛けると、キャミソールを胸の上まで、一気にたくし上げた。

「え、あ…!?」

 ぶるんっ、と揺れながら胸が露わになる。明るい部屋で自身の身体がさらされたことに驚くナマエをよそに、スネイクは後ろから柔らかな胸を鷲掴む。

「っあ、ちょ、スネイクさ…っ!」
「んなガチガチになんなって。大丈夫だから」
「だっ、て…急に…、あ、うぅ…っ」

 ナマエの胸は決して小振りではないが、やはりスネイクの手にはすっぽり収まってしまうようで。頑張れば片手で両胸を愛撫できるのではないかと思えるほどだった。もちろんナマエが細身というのも理由の一つではあるが。
 とはいえそれで物足りないというわけではない。ナマエの胸を揉んでいる、という事実そのものが、スネイクにとってはとんでもない興奮を煽る材料となるのだ。その証拠に、その柔らかさに触れただけで下半身は元気に布を押し上げ始めているのだから。
 童貞かよ、と自分自身に苦笑いしつつ。スネイクはナマエの肩に顎を乗せ、自身の手で形を変える胸を覗き込みながら、徐々に硬くなっていく突起をきゅっ、と摘まんでみせた。

「い、あ…ッ!♡」

 それまで戸惑い混じりだった声が、確実に甘いものへと変わる。それに気を良くしたスネイクは、そのままくりくりと摘まんだり、爪先で先端を引っかいてく。反応を見るに、どうやらナマエは先端を引っかかれる方が好きらしい。

「あ、んあっ♡や、あ、あぅ、ッ♡」

 望み通りの刺激を与え続ければ、うっすら桃色だった突起は、その色を濃くし。ぷっくりと腫れ、もっと触れとばかりに存在を主張し始める。
 スネイクは左手で胸を揉みながら、右手を薄い腹に滑らせ、指先を下着の中へと差し込んだ。風呂上りなことにくわえ、狭い場所でこんなことをしているからだろう。ナマエの身体はほんのり汗で湿っているようだった。
 湿る下着の中をゆるりと進んでいけば、指先はさらに濡れる場所へと触れる。そこは少し触れただけでも指先に粘度のある蜜が絡まり、くちりと卑猥な音を立てていた。

「はは…胸だけでこんなになっちまったのか?可愛いなあ」
「やっ…そ、なこと言わないで…っ、」
「なんでだよ。事実だろ」

 からかい混じりに放った言葉は、それでも隠し切れない欲を孕んでいた。言葉と共に漏れ出た熱を含む吐息を誤魔化すように、スネイクは濡れそぼるあわいへ、そっと指を添える。

「っ、あ…!♡」
「ん、ちょっときついな」
「ひぅ、ううぅ…ッ、♡」

 反応しているとはいえまだ少し緊張してるのか、濡れる秘部はまだ入り口に触れただけにもかかわらず、それ以上の侵入を拒むように閉ざされている。スネイクの指は常人のそれより少しばかり太く長い。このままでは一本入れるのでも難しいだろう。
 それならまずはそこを開けてもらわなければと、スネイクは入口をゆるゆると往復し始める。
 溢れた蜜を指先にまとわせ、突起に擦り付ける。まだ慎ましやかに震えるそこを親指で押し潰したり、弾いたりしながら、残りの指で入口をなぞり続ける。

「あ…っ♡や、あ、んぁ…!♡」

 強い刺激に耐えるようにナマエが内ももを擦り合わせる。軽い抵抗のつもりなのだろう。確かに手は動かし辛くなったものの、柔い肉に挟まれた状態は逆に心地よく。スネイクは堪能するように動きを変えていく。
 胸に触れたときと同じように、掌全体で秘部を包み込む。柔らかな媚肉をふにふにと楽しみながら、親指の付け根部分、掌で一番分厚いところで全体を圧迫しながら愛撫していく。
 ぎゅうぎゅうと圧される感覚は、直接的でない分もどかしさを生むようで。一番敏感な突起を擦られた後に突然お預けをくらったような状態のナマエの身体は、逆にもっと強い刺激が欲しいとばかりに、奥から蜜を溢れさせていた。
 最初よりも蜜が増え随分と柔らかくなってきた秘部を掌で感じながら、スネイクは再び入口へと指を滑らせると、今度は躊躇することなく指先を沈み込ませた。

「はっぁ、あ…ッ!♡」

 思った通り。そこはくちゅんっ、と音を立てて、あっさり指先を飲み込んだ。一度入ってしまえばこっちのもので。中を確認しながら、ずぶずぶと指を第二関節くらいまで埋めていく。
 蠢きながら、ナマエの中は侵入者をきゅうきゅうと締め付ける。柔らかさよりも若干の硬さを感じる壁と、溢れるほど濡れてるというのに、指一本できつい中。そして少し苦しそうなナマエの呼吸。
 その状態に、スネイクの脳裏にある可能性が浮かんだ。

「ナマエ、お前…処女か?」

 明け透けなく投げかけられた問いに、ナマエは一瞬で顔を真っ赤に染め上げ。スネイクの視線から逃げるように俯いた。言わずとも、その反応だけで答えは明らかだった。

「そ、っか…初めてか…初めてなのか……、」

 欲を孕んだ吐息を、湧き上がる喜びを。スネイクは抑えることができなかった。
 誰もまだこの身体に触れたことがない。この身体の中を、あのグロテスクな男の象徴で掻き混ぜたことがない。腹の奥底で、欲を吐き出したことが、ない。考えただけで鼻血が出そうだった。
 ぞくぞくと背中を駆け上るのは、高揚感と多幸感と。同時に、支配欲と加虐欲。けれどそれだけじゃない。良いも悪いもすべてを綯い交ぜにした感覚は、脳に届いた瞬間快感となってスネイクの下半身に重く溜まっていく。童貞のようにうっかり暴発などしないものの、解放を待ちわびる熱がその大きさをいっそう増したのが分かった。
 歓喜で上がる口角を隠すように口元を覆いながら、スネイクは指先をゆるゆると動かしていく。

「だったら、優しくしなきゃだよなぁ…優しく、優しく……」
「んゔ、っあ、う、ぅう…ッ!♡」

 まるで自分に言い聞かせるように小さな声で呟きながら、スネイクは狭い中を探っていく。

「違和感はあるか?」
「あ、わ、からな、ッ♡」
「分からねえことはねえだろ…ほら、こういうのは?」
「んあぁ…っ!♡や、あ、んぅ♡」

 くるくる指を回したり、少し指を曲げてみたり。硬く縮こまる中を解しながら、スネイクは自身が入れるよう、蠢く壁を広げていく。
 そうして奥の、腹側。少しざらついた場所を擦った瞬間、ナマエの身体がこれまでで一番大きく跳ねた。

「っ、あ゙…!?♡」

 戸惑ったような声の中に、隠しきれない甘さが混ざる。突然の強い刺激に、ナマエ本人も理解が追い付いていないようだった。──見つけた。そう思ったスネイクは、今度はその場所に狙いを定め、そこだけを愛撫していく。

「っや、あ゙…!♡スネイクさ、ぁんっ!♡んぅうッ♡♡」

 指先で抉るように引っかき、折り曲げる指の間接部分でも圧迫する。蜜で滑りがよくなっているおかげで、多少強く触れても痛みはないようだった。
 処女の身で自身のような大男を受け入れるのなら、殊更優しくしなければ。そう頭では理解しているものの、スネイクの身体は甘く反応するナマエに喜びを隠しきれないようで。徐々に柔らかくなっていく中に促されるように、指の動きは強く早くなっていく。

「ひ、あ゙ぁ、あっ!♡あ、ぁうっ、んぁッ♡」

 いつの間にかそこは指を三本も受け入れていて。スネイクの掌には水たまりができるほどの蜜を溢れさせていた。
 もう充分だろう。そう思いつつも、もう少し乱れた姿を楽しみたいという気持ちもスネイクの中にはあった。未知の感覚に戸惑いながら、それでも屈してしまう乱れっぷりを、網膜に焼き付けておきたいのだ。あとは単純に、ちょっと虐めたいという心も。
 安心させるようにナマエのこめかみに唇を落としながら、解すことに夢中で添えるだけになっていた左手を動かし、ゆれる胸の愛撫を再開する。今度は少し強めに揉みしだきながら、爪先で突起を引っかき、時々引っ張ったり。ぷっくり膨れていた突起はそれだけでさらに硬さを増していた。
 胸と秘部。せめてどちらかの刺激から逃げたいのだろう。ナマエは秘部を弄るスネイクの右腕を止めるように掴んだ。けれどそこに力は入っておらず。ただ添えるだけになってしまう。そしてその縋る様子が、スネイクを煽るとも知らずに。

「は、あ゙っ♡すね、く、さっ♡あ、あ゙ぁあ…ッ!♡」

 ざらついた場所を擦りながら、器用に親指であわいの少し上で震える突起を潰してやる。すると中はこれまでよりも指を強く締め付け、ふるふると痙攣し始めた。

「ん、イッていいぞ」
「や、あ゙!だめっ♡だめだめ、っあ!い゙、ぅ…〜〜ッ!♡」

 ひときわ大きな声と共に、ナマエはびくびくと身体を跳ねさせ。背をぐっと仰け反らせながら達する。初めての感覚に意識がついていけていないのか、大きな目は見開かれ、口は酸素を求める金魚のように、はくはくと開閉していた。
 まさか初めてで中で達することができるとは。才能があるのかもしれない。何ってそんなの、そういう才能だろう。
 妙な関心をしつつ、ぐったり脱力している身体を支えてやりながら、スネイクは下着の中から指を引き抜く。蜜は粘度を増していて。指を少し動かすだけでも音が聞こえるほどだった。

「お前、処女にしてはいい反応すんな。もしかして自分で開発したのか?」
「ちが、してない…っ」
「ふーん…じゃあなんでこんな濡れてんだろうな」

 濡れた手をナマエの目に持ち上げると、指先についた蜜をにちにちと弄ぶ。どろりと指の間を落ちていく蜜を「もったいねえ」と舌で舐め取るスネイクに、ナマエは羞恥で瞳をぎゅうっと細めながら、口内に溜まる唾液を飲み込み小さく呟く。

「すね、くさん、だから…」

 蚊の鳴くような声だったが、それでもスネイクの耳には確かに届いていた。

「…俺が、なに?」

 ナマエが言わんとしているその内容も、スネイクはきちんと理解していた。けれど聞き逃してしまいそうな、そんな頼りないものではなく。自身の目を見てはっきりと、卑猥なその言葉を言ってほしかったのだ。
 濡れた指でナマエの顎を後ろから掴み持ち上げる。逆さまにこちらを見上げる瞳には、羞恥からだろう。今にもこぼれ落ちそうなほどの涙が膜を張っていた。
 促すようにナマエの唇をなぞる。唾液で濡れていた唇は、グロスを塗ったようにいっそう艶を帯びた。

「っ…スネイクさん、に、」
「うん」
「さ、触られてるって、思ったら……ッ」

 ナマエはそこまでしか言わなかった。言えなかった、の方が正しいのかもしれない。けれど今はそれで充分だった。強く瞑った瞳から涙がこぼれる。
 スネイクは恍惚とした様子で「ちゃんと言えたなあ」と笑みを浮かべ。ご褒美とばかりにナマエの唇を塞いだ。

「んっ…!♡っふ、ふ、んぅう……、ッ♡」

 上顎を撫で、歯列の内側をなぞり、小さな舌の表面を滑りながら、スネイクはゆるゆると喉の入口へ、自身の舌先を忍び込ませる。
 逆さまに唇を重ねているせいか、慣れない体勢にナマエは少し苦しそうに声を漏らしているけれど、その瞳はどこか嬉しそうにとろけていた。
 その様子に、一度達したのなら大丈夫だろうと、スネイクはあえて縮こまらせていた長い舌をゆるりと伸ばし。ナマエのそれと根元から絡ませるように動かし始める。

「ん゙、!?ふ、ゔぅ…ッ!♡」

 人よりずっと長い舌が、誰も触れたことのない喉奥にまでずるりと侵入していく。その感覚に未知の恐怖を感じたナマエの身体は咄嗟に逃げようと強張るも、スネイクの手があっさりと押さえ付けてしまった。
 さらけ出された喉元を指先でなぞり、快感と恐怖で上下する様を楽しみながら、スネイクは再び右手を滑らせナマエの秘部へと添えると、先ほどより腫れてその存在を主張している突起を、根元から強く摘まみ上げた。

「ん゙ん、っ!?♡〜〜ッ、!♡♡」

 大きく見開かれた瞳から、ついに大粒の涙がこぼれ落ちる。仰け反り後ろに突き出された腰がびくびくと跳ね、勃ち上がるスネイクの下半身をズボン越しに刺激する。そのわずかな刺激にさえ、ナマエの身体は反応しているようで。仰け反る胸元のさらのに下。薄い腹が、びくびくと痙攣するのが見えた。
 嬌声はスネイクの口内へと消え失せる。絶頂の喜びに震える舌をご褒美とばかりに撫でてやりながら、スネイクはナマエの喉奥から、ずるりと舌を引き抜いた。

「え゙、ぅ、あ゙…ッ♡」
「苦しかっただろ。ごめんな」

 ぼろぼろと涙をこぼすナマエを労わるように背中を撫でてやるものの、同時にその姿に興奮を覚えているのも事実で。スネイクの中にある相反する感情が、泥のように混ざり合う。
 なにより、苦しそうに咳き込みながらも、ナマエから漏れる吐息が息苦しさからくるものだけでないことは、スネイクにも分かっていた。おそらく、ここも開発すればいけるようになるだろう。
 ナマエの喉を指先でこしょこしょと撫でながら、スネイクは不穏な考えを隠し。努めて明るい声で「続けて平気か?」と問いかける。
 少し落ち着いてきたのか、ナマエはそれに小さく頷く。それを見るや否や、スネイクは履かせたままでいたホットパンツに手を掛けると、下着ごとまとめて脱がしてしまう。
 ずり落ちていく下着とさらされた秘部の間は粘度の高い糸で繋がっていて。ホットパンツが床に落ちるまで、細くしっかりと互いを結んでいるほどだった。
 その状態を見下ろしながら、もう充分解れていることは理解しつつ。スネイクは再び秘部に指を滑らせる。

「あ、え…っな、なに…、♡」
「もうちっと慣らさねえと。俺のでかいから」

 もう挿入れられると思っていたのだろう。再び触れた指先に戸惑いの声を上げたナマエは、続いた言葉に不安げにスネイクを見上げ。そうしてゆっくりと、彼の下半身へと視線を向ける。

「っ…、」

 視界に入ったそれは、布越しにもかかわらず一目で大きいと分かるほどその存在を主張していて。擦り付けたであろう自らの蜜が、押し上げられた布にじわりと染みを作っていた。
 挿入るのか、あれが。挿入ったらどうなってしまうのか。指とは比べ物にならないほどの圧迫感は、自身にどんな快楽をもたらしてくれるのか。
 まだ知らないはずの熱を想像してナマエは思わず喉を上下させる。惚けた様子でそこを見つめていれば、視線に気が付いたスネイクは「ははっ」と笑い。身を屈めナマエの耳元へそっと唇を近付ける。

「積極的なのは嬉しいけど…もうちっと我慢な?」
「なっ、!そっ、そういう意味じゃ…!」
「照れるなって。中、後でたっぷり虐めてやるから」

 耳縁を舌先でぺろりとなぞりながら、まるで子供をあやすように囁く。
 確認のように腹を撫で、わざとらしく"虐める"などと言い放つスネイクに、ナマエはかっと顔を赤くする。屈辱感ではないけれど、いいように掌で転がされているのがどうにも悔しかった。

「も、っその言い方やめ、て、ぇあ゙…ッ!?♡」

 反論しようとするも、乱暴に突き入れられた指に言葉は消え失せてしまう。今度はなんなく侵入を果たした指が、遠慮なしに奥へと突き進んでいた。
 そうしてようやく根元まで入った指が、腹の奥底を、こりゅっ、と撫でる。その瞬間。これまで以上の強い感覚がナマエの身体を襲った。

「っ…!?、〜〜ッ♡♡」

 小さな電流が走ったような感覚が全身を駆け巡る。視界の中でばちばち小さな火花が散り、次いで脳が焼き切れそうな感覚に襲われる。ナマエは頭上に疑問符を浮かべながら、目を見開きただ荒い呼吸を繰り返すしかできなかった。

「お、ここ気持ちいいのか」

 良かった、と安堵する言葉は優しい音のはずなのに。確認した途端、指先は狙いを定め何度もそこを撫でている。

「や、あ゙っ♡なんっ、い゙、ぅ〜〜ッ♡」
「ここ、子宮口。ポルチオっつーんだよ」
「っん゙ぁあっ!♡ひ、あ、はぁ、あ゙ッ!♡」
「初めてじゃあんま気持ち良くなれないはずなんだけど…お前は心配ねえみたいだなあ…♡」

 痛がる素振りどころか、襲い来る快感に戸惑いながらもこれ以上ないほどの反応を示すナマエの様子に、スネイクは熱い吐息を漏らす。触れてもいないのに下半身が痛いくらいに張り詰め、ズボンの下で情けなく震えているのが分かった。
 落ち着けとばかりに細く長く息を吐き出しながら、空いていたもう片方の手も滑らせ、外からでも分かるほど震えている下腹部へと添える。そうして数度確認するようにそこを撫でた後、そのまま指先に力を込め。ぐっ、と圧迫した。

「ひ、い゙っ!?♡♡ぁ、あ゙あ、あ゙っ!♡」

 中と外。両方からの刺激に大きな声を上げる。振り乱された頭が、がくんっと落ち。ついにナマエは上半身を目の前の棚へと突っ伏した。
 後を追うように身を屈めたスネイクは、濡れた髪の間から見える真っ赤に染まった項に唇を落とす。わずかに香るホワイトリリーが、生々しい行為の匂いとちぐはぐに混ざり合っていた。

「なあ…」

 縋りつくような声音で、スネイクはナマエの腹をすり…と撫でる。

「指でも届いたんだ。たぶん、俺のここまで届いちまうぞ」

 たぶん、と言いながらもスネイクには確信があった。指より長い屹立は容易にそこに触れられるだろう。
 想像したのか、スネイクの言葉にナマエはびくりと肩を跳ねさせる。指先は下腹部の中心より少し上、へそに近い場所をすりすりと撫でている。

「ポルチオ触るどころか、先っちょくらいなら入れるだろうなあ……なあ、入れてくれるか?」

 尋ねながらも、逃がすつもりなどスネイクには毛頭なかった。嫌だというのなら、今さらだろとその身体を蹂躙するだろう。押さえ付け、薄い腹を突き破らんばかりの勢いで突き上げる。そうすれば快楽に、それ以上にスネイクに弱いナマエのことだ。涙をこぼしながらも甘い声と共に受け入れてくれるはずだ。
 ようやく呼吸が落ち着いてきたナマエは、後ろを振り向き、試すような言葉を吐くスネイクの瞳をぼんやりと見つめる。
 していることはこれ以上ないほど淫靡で。その言葉の中に孕んでいる熱はナマエを捕食することしか考えていない、ひどく自分勝手なものだというのに。伺い強請るその顔だけは、どこか泣きそうな子供のように純粋で。ちぐはぐなその様に、ナマエは心臓を締め付けられるような感覚さえ覚えていた。

「すねいく、さん…」

 小さく名前を呼べば、「ん…?」と優しい声が返ってくる。それだけで疼く中に従うように、腹を撫でるスネイクの手に、ナマエはそっと自身の手を添えた。
 疲れ切った腕に力を込め上体を起こす。そうして身体ごと後ろを振り向くと、スネイクの首元へ。ナマエはまるで猫のように擦り寄る。すう、と息を吸い込んだ瞬間、濃い雄の匂いがして。脳内がぐるぐると混ぜられていった。

「スネイクさんのが、欲しい…っ早く…私の中、はいって……♡」

 吐息交じりに囁き。最後は強請るように、ちう、とスネイクの首に吸い付いた。
 ぷつん、と。理性の糸が切れる音というのを、スネイクはこのとき初めて聞いた。脳の奥底で響いたその音は、まるで他人事のように。どこか遠くにさえ聞こえた。
 性急にサッシュを解き、下着をズボンごと引きずり下ろす。一瞬引っかかるそれに舌を打ちながら、最低限だけくつろがせ現れた屹立を、ぬかるむそこへ迷うことなく突き立てた。

「っあ゙、!?あ゙ぁぁ…ッ!」

 細い喉奥から声が上がる。それは甘いものでなく。強すぎる突き上げによって漏れた、悲痛な声だった。
 脳は何が起きたか理解できていないというのに、身体だけはすべてを理解していて。奥底まで入り込んだ熱に目の前が白く飛んでいく。

「っ、あ゙ー…きもち、……♡」

 自身の屹立に絡みつく肉癖の蠢きと、ぬるま湯のような心地よい温かさに、スネイクは頭の片隅で「ああこれ、ゴム付けてねえからか」とぼんやり思った。けれど今抜けというのは到底無理なことで。「まあいいか」と小さく呟くと、両手で輪が作れそうなほど細いの腰を力任せに掴み、最奥を突き上げた。

「は、あ゙っ!♡あ、ぁあ♡あ゙、あぁあッ!♡♡」
「あ゙、はっ、…、っ」

 崩れ落ちそうになる身体を支えようとするも、もうナマエの腕には力が入らないようで。突き上げる度ずるずると上半身が落ちていく。汗に濡れて滑るその身体を片手で支えながら突き上げるのは、スネイクでも少し難しかった。
 スネイクは小さく舌打ちすると、棚に突いていたナマエの腕を片手でまとめて掴み上げ。そのまま棚へと押し付けてしまう。そうして持ち上げられた腕につられ、ナマエの上体もわずかに持ち上がる。

「えっ、あ!?、あ゙ッ♡スネイクさ、まってぇ…!♡」
「あ゙…?なに…、」
「あしっ、も、無理ぃっ…!♡」

 上体が持ち上がり、全てをスネイクに任せているせいだろう。ナマエの身体はゆるりと持ち上がり、スネイクとの足の長さの違いもあって、ほとんどつま先立ちのような状態になっていた。揺さぶられる度つま先が持ち上がり、ふくらはぎがぷるぷると震えている。

「あー…悪ぃ……でもこれ以上下げると、動きにくい…っ」
「や゙、あ♡でもぉ…っ♡」
「…っはー、分かった、」
「ん゙♡あ、え…、っ!」

 不安そうなナマエの様子にスネイクは少し考えた後。謝罪の言葉を吐きながら、空いたもう片方の手を前に回しナマエの腰骨のやや下辺りに添えると、そのままゆっくり、ナマエの身体を持ち上げていった。

「な、あ゙っ♡ま、あ、あ゙ッ!♡」

 辛うじて床についていた足先が宙に浮く。今の彼女の身体を支えているのは、腰に回された腕と、自重によって最奥に押し付けられ自身を串刺しにしている、スネイクの屹立のみである。

「あ゙っ、スネイク、さ、っ♡こぇ、足ついてな、あ゙っ、あぁあッ♡」
「はは、っそうだよな、ついてねぇな…♡」

 手首を掴まれているせいで何かに縋ることも叶わない。今のナマエは手を握ったり開いたりしながら、突き上げられる度襲い来る圧迫感と、それを上回る強すぎる快楽に、苦し気に嬌声をあげることしかできなかった。
 その小さな身体で自分を必死に受け入れ、逃げようにも逃げられず甘ったるい声を上げるしかできないナマエを、スネイクは楽しそうに見つめる。

「ん゙ぃ、っ♡あ゙、っお゙く、やらぁっ…あ゙ぁッあ♡」

 スネイクは少し膝を曲げ、ナマエを自身の膝の上に座るような体勢にさせる。肩や背中に痕に吸い付き痕を残しながら、座らせたおかげで空いた手を再び秘部に伸ばし、ぬめる突起へと触れる。

「い゙、っ!ぁ、あ゙、あぁ…ッ!♡」

 滑り逃げる突起を爪先で何度も引っかき、うねる中を同時に突き上げる。体躯に合わないものを受け入れたせいか、抜き出す度、アーモンドピンクのひだが蜜と共に纏わりついてくる。こんなに濡れていなければ痛いだろうなと思うほど。
 ざらついた場所を雁首で抉りながら、狭い肉壁をこじ開け奥へと進む。先端に吸い付き徐々に柔くなっていく子宮口に、冗談ではなく、本当に全てを受け入れてくれるとさえ思えた。
 蛇の如く長い舌が、ナマエの頸をべろりと舐め上げる。舌先に感じる汗が行為の生々しさを感じさせ。スネイクの腰は自然と早くなっていく。

「や、あ゙っ!♡あ、すね、くさ、あ゙ぁあ♡、ッ♡♡」
「ん゙、あ…っ、わり、もー、出る…ッ、」
「あ゙、い゙、く♡いゔ、ッ♡あ゙っ♡いっ、あぁ、あ゙ぁあっ♡、〜〜ッ♡」

 皮をむき、顔を出した突起を根元から強く、圧し潰しながら摘まみ上げ。同時に蠢く中全てを抉りながら、わずかに緩んだ子宮口を突き上げた。
 ぶわりと肌が粟立ち、細い腰をしならせ、陸に上げられた魚のよう身体をびくびくと跳ね上げ。掴まれた腕のおかげで声を抑えることも叶わず。いっそ可哀そうになるほど髪を振り乱しながら、ナマエは悲鳴じみた嬌声と共に達した。
 指で感じていたよりもずっと強い締め付けに耐え切れず、スネイクもつられるように中へ精を吐き出す。

「い゙、ゔ…っ♡は、あぇ…ッ♡♡」

 腹の奥にごぷごぷと注がれる精液の熱さがまた快楽をもたらしているようで。浮いた足先が開いたり丸まったりを繰り返しながら、所在なさげに宙を泳いでいる。

「は…潮噴いちまったのかぁ…♡」

 達した瞬間、びしゃっ、という音と共に、繋がるそこから噴き出た潮が壁を伝っていく。屹立を全て受け入れられただけでなく、勢いよく潮まで噴ける淫靡さに「すっげぇ…」と興奮交じりに感嘆の声を漏らしたスネイクに、ナマエの顔には熱が集まる。いっそ殺してくれと思うほどの羞恥だった。

「はあ…一旦抜くぞ、」
「ん、ぅあ゙っ♡……ッ♡」

 ゆっくり動き、最後に雁首で腹側を強く抉りながら引き抜く。全て抜いた瞬間、ごぽっと音を立てて溢れ出した精液が、蜜と潮と混ざり合いながら太ももを伝っていった
 荒い呼吸と、狭い洗面所に立ち込める恐ろしいほどの性的な香り。甘やかなはずのホワイトリリーが、ひどく重たく脳内へと広がっていく感覚に、スネイクはいっそ眩暈すら覚えていた。
 嗅覚だけでない。武骨な手に伝わる柔らかく湿った肌も、細くしなやかな身体を厭らしくくねらせる様も、奪うように重ねた唇から絡め取り飲み込んだ瞬間、喉奥が焼けそうなほど甘ったるい体液も、その唇から、苦し気ながらも抑えきれずまろび出てくる、悲鳴のような嬌声も。その全てが興奮をこれでもかと煽っていく。

「ん、あ゙…ッ、♡」

 スネイクはほとんど無意識のうちに動いていた。一度出せばある程度冷静になれるはずの脳内は未だぐつぐつと煮えたぎっている。崩れ落ちたナマエを抱え洗面所を飛び出すと、たった数歩で辿り着いたベッドへ半ば投げ飛ばすように寝かせた。
 蛙がつぶれたような声を出して沈み込んだナマエの足を肩へと担ぎ上げれば、身長差ゆえ下半身が大きく浮く。小さな身体は背中の上部、肩甲骨の辺りでなんとか起きているような状態だった。
 不安混じりに自身を見上げる青い瞳を無視し、スネイクはナマエの腰骨を掴むと、その身体を支えながら、未だくぱくぱと物欲しげに開閉する秘部へ先端を宛がう。びくり、とナマエの肩が跳ねる。

「な、なに…スネイクさん…ッ?」
「悪ぃな…もうちょっと付き合ってくれ……ッ」

 心にもない謝罪の言葉を述べながら、体重を掛け、その小さな身体へ圧し付けるように挿入していく。

「あ゙…っ、!?っ、え゙ぅ♡ぃ、い゙…ぉく、…ッ♡」

 気遣っているように見せながらほとんど無遠慮に突き進む屹立は、今度は容易く最奥へと辿り着いた。こつん、と当たる感覚の後、辿り着いた熱を歓迎するように、子宮口はその先端にちゅうちゅうと吸い付く。まるでもっと奥に寄越せと言わんばかりに。

「はぁ…ッ♡♡んんゔ…♡や゙、あ゙…、〜〜ッ!♡♡」

 望み通りこじ開ければ、ナマエの体内に、ぐぽんっと飲み込むような、何かがはまったような音が響く。薄い腹がわずかに隆起したその瞬間、勢いよく潮が噴き出した。

「あ゙あぁ…!♡ま、い゙っ、てぅ、っ♡」
「知ってる」
「や゙っあ゙、あ゙ぁ…ッ♡い゙、くの、とまらな、ッ♡」

 先端をはめたまま小さく腰を揺らし子宮をくすぐれば、重たく絡む蜜と精液がぐぽぐぽと音を立てる。強く突かずとも気持ちいいようで。指でしたときのように撫でてやれば、その度ナマエは小さく潮を噴き出していた。

「ん゙ぁ、あ゙…ッ♡、っ♡」

 噴き出た潮は重力に従い、ナマエの顔へぱたぱたと降り注いでいる。涙と唾液と、自身が噴いた潮にみっともなく顔をぐちゃぐちゃにしながら、ナマエは焦点の合わない瞳を揺らし喘いでいる。

「はは…っ!」

 ──明朗としていて。男所帯でも壁を作ることはなく、誰とでも分け隔てなく接する。紅一点ということに甘えず心身ともに強く。十八という齢で船に乗り、長らく海賊に身を置きながら、純粋で、優しくて。見知らぬ男から向けられる下卑た感情には敏感なくせに、それでいて仲間には何故かガードが甘くなる単純なところも持ち合わせている。
 印象を聞けばおそらく誰もが、妹のような可愛い存在と答えるだろう。そんなナマエが、今。己の下で涎を垂らしながら、あられもない声を上げ、深い絶頂に四肢を震わせ。男の欲を腹の奥底で、快楽と共に受け止めている。
 脳髄を焼かれる感覚に、スネイクからは堪らないといった風に笑みがこぼれる。まるで無垢な天使をこちらへ引きずり下ろしたかのような言い知れぬ倒錯感は、恐ろしいほどの快楽となりスネイクの身体を震わせた。
 
「んぐ、っ♡ふ…んうぅ…ッ!♡」

 ナマエの顔の横に両肘をつき、呼吸ごと吞み込むように唇を重ねる。舌を滑り込ませ絡めながら再び喉元をくすぐってやれば、ナマエは強請るようにスネイクの背を掻き抱いた。散々弄んだ胸が互いの間でぐにゅりと歪む。

「は、っあ゙ー…♡、悪いナマエ…また出る…ッ」
「あ゙っ♡は、あ、い゙っあ゙♡あ、あ゙ぁあ…、〜〜ッ♡♡」
「ぅあ゙、…っ♡」

 うめきのような喘ぎの中に混ざる「ほしい」という甘い声に誘われるように、スネイクは先端をはめたまま奥へと精液を注ぎ込んだ。
  
「っ、ぃ…は、ぁ……ッ♡」
「…ナマエ、腹大丈夫か?……ナマエ?」

 問い掛けに返事はない。いよいよ限界を迎えたらしく、ナマエの意識は完全に落ちてしまったようだった。
 肩から足を下ろし、ベッドに寝かせながら屹立を引き抜いていけば、それだけで身体は相変わらず軽く達しているのか軽い痙攣を繰り返していた。
 スネイクは胸の上でぐしゃぐしゃになっていたキャミソールを脱がしてやりながら、枕元に置いてあったふわふわのタオルでその身体を拭ってやる。おそらくこのタオルも髪の手入れのために置いていたのだろう。まさかこんなことに使われるとは、目の前で眠るそのタオルを用意した張本人も夢にも思わなかっただろう。
 ナマエの身体を粗方拭き終えると、自身も着ていた服を全て脱ぎ捨て床に捨てていく。どうせ明日には洗濯行だ。どうなろうと構わなかった。
 長い手足を窮屈そうに折り曲げ、狭いベッドでナマエを抱き込むように寝転ぶ。体液で濡れたシーツも床へと追いやりながら、残ったシーツを二人で被り。手の跡がくっきり残る腰を労わるように撫でてやれば、眉間にわずかなしわを寄せながらむずがっていた。
 結局乾かせず終いだった、しっとりと濡れたままの髪に鼻先を埋める。行為の匂いと混ざり合ったと思っていたホワイトリリーが、揺れる髪と共に再びスネイクの鼻をくすぐった。





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