※
あしたの夢はいらないの の続き
音を立てて何度も重なる口付けの雨を受け止めながら、ナマエは途切れ途切れにベックマンの名を呼んだ。
「あ、あの、ふくせんちょ、ぅっ」
「ん…どうした」
「っあ、明かり、消してください…、ッ」
あっという間にシャツのボタンを外し下着に触れていた無骨な手を制止しながら、ナマエはベックマンの背後にある照明に視線を向ける。
元倉庫という、本来なら暗い場所を改造したということもあり、ナマエの部屋に着けられた照明はこの船の中でも比較的新しく、そして光量が強いものが使われている。
なんでも、丁度ナマエが赤髪海賊団の一員となった頃。昼夜問わず仕事をするベックマンのために、夜でも部屋を明るくできるような新しい照明を買おうという話が出ていたところだったらしく。それならばついでにと、同じものをと新しく用意してもらえたのだ。
その話を聞いた際には「そもそも夜に仕事をさせない方が良いのでは?」とナマエは思ったが、言ったところでベックマンは聞く男ではないというのは、しばらく過ごすうちに分かったことだった。
普段であればありがたいそれだが、その明るさゆえに眼前にすべてをさらしてしまうとなっては、さすがに少し気になるわけで。
同じものを使っているのだから消し方は分かるだろうという意も込めて、ナマエは促すようにベックマンを見やった。
「…駄目だ」
けれどベックマンはちらりと上に視線を向け。そうしてしばらく何かを考えるように黙りこんだ後、強い口調でそう言い放った。まさかの拒絶にナマエの瞳が大きく見開かれる。
「は?え、だ、駄目って、」
「このままやるぞ」
「えっ、なんでですか…!」
再び怪しく動き出した手を慌てて掴むものの、今度は止まることはなく。大きな手は細い腰に頼りなく巻かれていたサッシュを解くと、すぐにナマエの背とベッドの間へと回り込み。あざやかな手付きで下着の金具を外してしまった。
「俺の気持ちを疑った罰だ」
「っ!そ、れはずるくないですか…!?」
「おいおい、俺だって傷ついたんだ。これぐらい許してくれるだろ?」
ベックマンはわずかに小首を傾げ、試すような瞳で見下ろす。そのわざとらしい仕草にナマエはぐっと言葉を詰まらせた。
確かに今回のことに関してはナマエが全面的に悪いため、そう言われてしまえば、彼女はベックマンのする事なす事に何も反論できなくなってしまう。だから償いをしろと言うのならその通りにするのだが、どうにも今のベックマンはそれを逆手に取り、自分のやりたいことを推し進めようとしているようにしか見えないのだ。
というか、実際そうなのだろう。現にナマエが言葉を詰まらせた瞬間、眦を細め。悪戯が成功した子供のような笑みを浮かべていたのだから。からかうように言っていることだけが唯一の救いかもしれない。
「っ副船長が、そういうことする人だと思わなかった…!」
「じゃあ新しい情報として覚えておいてくれ」
絞り出すような悪態もどこ吹く風。抵抗をしなくなったナマエにさらに機嫌を良くしたベックマンは、シャツと外した下着をまとめて取り去ってしまった。支えのなくなった胸がふるっ、とこぼれる。
普段から谷間が見える程度には胸元を大きく開けているといえ、こうして明りの元にさらされてしまうのは全くの別物で。ベックマンの視線がそこに集中しているのを感じる度、壊れるのではと思うほどナマエの心臓が跳ね上がっていく。
ナマエは羞恥で涙の滲む瞳を強くつむる。その様子にベックマンは小さく笑うと、緊張で震える胸へそっと手を添えた。
「ん…っ、」
女の胸など散々見てきたし触れてきたというのに。まるで自身の為に誂えたかのように綺麗に手中に収まるナマエの胸に若干の感動すら覚えながら、ベックマンは感触を楽しむように触れていく。
「あっ…、んん…♡」
こぼれないようにと支えれば、徐々に硬くなっていく突起を掌に感じ。親指と人差し指で探り当て優しく摘まみ上げる。そうすればつつましやかだった突起は、すぐに存在を主張し始め。今度はその先端を爪先でかりかりと引っかいていく。
「っう、く、すぐった、ぃ」
「くすぐったい、ね…それだけか?」
「ん、っんぅ、?う、〜〜ッ」
探り探りの初々しい反応にくつくつ笑いながら、ベックマンはそれなら、とばかりにナマエの身体を片手で軽く持ち上げると、胸に顔を寄せ勃ち上がる突起をぱくりと咥え込んだ。
「っ、あ…!?♡」
戸惑いの声が明らかに甘いものへと変わる。その反応に気を良くしたベックマンは、熱い舌を突起にまとわりつかせ、乳輪ごと咥え込み、吸い上げ、尖った舌先で先端を弾き。そうしてさらに硬くなったそこに柔く歯を立て、ナマエの身体を追い詰めていく。
「ひ、ぅっ!♡や、ああ、んっ!あ、あ…ッ♡」
突然質の変わった刺激から逃げたいのだろう。けれど背を反らせば反らすほど、ベックマンへと胸を押し付ける形になってることにナマエは気が付いていないようだった。丸まった足先がシーツをもどかしそうに蹴っている。
「あ、あぅっ、♡ふくせんちょ、あ、やあぁ…ッ♡」
手はくねる身体の表面を滑りパンツにかかる。ラインが出るタイプのパンツは普段であれば見ていて楽しいが、やはり脱がせるのは少し面倒だなと、ベックマンは我ながら最低なことを思いつつ。それを察したらしいナマエがゆるりと腰を上げてくれたものだから、そんな考えはすぐに捨て去った。恥ずかしがりながら従順な姿が見れるのなら悪くはない。
それでも未だ恥ずかしそうに閉じられたままの膝をやんわりと撫で、自ら開くよう無言で促す。ベックマンの視線に気付いたナマエはゆっくりと、それでもやはりわずかに躊躇しながら。いっそじれったくなるほどの速度で膝を開いていった。
まだ胸に触れただけだというのに、溢れた蜜でクロッチはぺたりと貼り付き。ナマエが呼吸をする度、早く触れてくれとばかりにわずかに震えていて。
見ないで、とこぼれるか細い声に、ベックマンの目の前がくらりと歪む。ほとんど無意識のうちに喉を上下させながら、震えるそこへとそっと触れた。
「っあ♡、あぅ…!♡」
小さな入口を往復し、ゆるりと勃ち上がり始めた敏感な突起を、下着越しに強めに引っかいていく。そうしてさらに溢れた蜜で充分濡れてるのを確認すると、ベックマンは貼り付くクロッチを退け直接秘部へと触れた。
ひくつく入口を数度撫で指全体に蜜を纏わせると、まるで壊れ物を扱うかのような手付きでゆっくりと中指を挿入していく。
「ん、ぁ…っ」
「痛いか?」
「っ平気、だけ、ど、」
「…だけど?」
「お腹、なか…あつ、い…」
「…どこが熱い?」
熱い吐息と共に紡がれる言葉がベックマンを耳から刺激していく。ぬかるみ、たった一本の異物でも締め付ける中は、それでもどこか喜んでいるようだった。
中の具合を確認しながら、二本目の薬指も挿入していく。軽く指を曲げたり、解すように押し広げたり。壁を抉りながら強く抜き差しをしたりすれば、徐々に異物感は無くなってきたのか、ナマエからは甘いだけの声が上がり始める。
「あっ♡あ、ぁあ♡、ッ♡♡」
「ここか?それともここ?」
「いっ♡はぁ、あ!あ、んあぁ…!」
「なァ、教えてくれねえか」
まるで普段頭を撫で褒めるときのような、優しい声のはずのに。中で蠢く指は一切優しさなどなく。ただナマエを欲望のまま責め立てている。
「いっ、あ゙──、ッ!?♡」
汗の滲むこめかみに唇を落とした瞬間、不意にナマエの声がそれまでとは大きく変わった。がくんっと跳ねる身体に、食いちぎらんばかりに締め付けられる指は、達したときのそれと似ていた。
大きく跳ねた自身の身体に、ナマエは何が起きたか理解できていないのだろう。何度も瞬きを繰り返しながら、頭上に疑問符を浮かべ浅い呼吸を繰り返している。
けれどベックマンには分かっていた。指先に触れたわずかにざらついた感触と、ナマエが大げさなほど反応した意味が。
ほとんど無意識のうちに口角を上げていた。ベックマンは肘を軽く手前に引くと、触れた部分をくすぐるように、押し当てた指を揺り動かし始める。
「あ゙、っあぁ!っや、あん、あ゙あぁッ!♡♡」
それまでとは質の違う、骨にまで響くような快感が脳に伝わりナマエの身体を支配する。与えられる未知の感覚が恐ろしく、ナマエはかぶりを振り、縋るようにベックマンの胸元を握った。
「や゙、やだぁ、っ!♡あ、あぁッ♡」
「大丈夫だ…ほら、力抜け」
「っんゔ、う、ぅう、──っ!、♡」
ベックマンはナマエの顎を掴み顔を上げさせると、乱暴に唇を重ねる。舌をねじ込み、口内を満たす粘つく唾液を交換するように、根元から絡め合う。
その間も手の動きは止めず。敏感な場所だけを擦られ続けたナマエは口内にその甘やかな声を響かせ。大きく身体を震わせた。
「は、あ゙…っ、 ?♡」
銀の糸を繋ぎながら唇を離す。息も絶え絶えなナマエを見下ろしながら、ベックマンはもはや濡れて意味のなくなった下着を取り去り、すべてを明かりの下にさらしてしまう。
やはり明るいままでよかった、とベックマンは思った。故郷を思い出させる白い肌。誰も穢したことのない雪原のごとき艶やかなその肢体を、存分に目に焼き付けることができるのだから。
「…お前は肌が白いから、真っ赤になるとすぐに分かるな」
首筋、肩口、二の腕、デコルテ。柔らかな胸の横、みぞおち、上下する薄い腹。ナマエの身体のすべてを確認するように手を滑らせていく。
その度小さく反応する様を楽しむベックマンの視線は、余すことなくすべてを見られているのだと、否が応でもナマエに自覚させ。余計に赤く熱くなる身体を止めることはできなかった。
滑り、辿り着いた指先が臍の下をゆるゆると撫でる。
「この身体の内側にいつ触れられるのかって、ずっと考えてた」
「っそ、んなこと考えてたんですか…」
「男だからな。そんなもんだ」
「それ、わざと言って、ぁ、んあぁ…っ♡」
時折わずかに押し込むその動きにさえ、ナマエは小さく声を漏らしていた。
反応は上々。充分濡れ中も解れてはいるが、それでも初めてならばまだ狭いだろう。ベックマンは投げ出されていたナマエの脚を太ももの辺りで掴み大きく開かせると、身体をずらし上体を屈め、ぬかるむそこへ顔を近付けた。
「やっ、な、なにして…ッ!」
靄のかかった頭でも何をしようとしているのか気が付いたのだろう。さらけ出されたそこを必死に手で隠しながら、ナマエは「信じられない」といった様子でベックマンを見つめている。
何の意味もないそんな可愛らしい抵抗さえも楽しむように、ベックマンはさらに顔を近付け。隠す手の甲に軽く唇を落としながら、言葉を失うナマエを見つめ、にやりと笑った。
「これも罰だ」
「なんの、っ」
「他の女のところに行ってもいい、なんてほざいた罰」
「なっ、ん、ひあぁあ…ッ!」
指先を押し退け秘部にしゃぶりつく。すぐさま舌を滑り込ませ、先ほど指で散々弄んだ場所を、抉るように舐めていく。
罰だなんだというのはもはやどうでもよかった。わざとらしく言い放った言葉はからかいの意だと、ナマエも気付いていただろうから。
掌を退かし、ようやく見えるようになった秘部の全体を覆うように、ベックマンは顔を押し付けた。同時に唇に触れた、少し上で震える突起の皮を剥いてやる。溢れる蜜を口内へ纏いゆるく勃ち上がるそこも丸ごと飲み込むと、ずるるっと音を立てて吸い上げた。
「や゙っあ!あ゙あぁ♡ゔ、あ、あ!♡」
瞬間、ぐっと大きく浮いた腰を両手で掴み押さえ込む。舌を根元から絡ませ、吸い上げ、嬲れば、敏感な突起に絶えず与えられる強すぎる快感から逃げたいのだろう。ナマエの手が止めるようにベックマンの頭を掴んだ。けれどそこに力はほとんど入っておらず。ただシルバーグレー髪を乱すだけに終わってしまう。
「っい゙、い゙くっ、!♡いっちゃ、ぁ、あ゙あぁ!♡」
「ん…、はあ…いいぞ」
「やっ、あ゙♡あ、っう、んうぅ、ゔ、〜〜ッ!♡」
限界を訴えると同時に、ベックマンの舌がより強くざらついた内壁を抉り。鼻先で潰すだけだった突起には指が添えられ、胸にしたときのように根元から摘まみ上げられた。
目の前がちかちかと白く光る。星が飛ぶようなその光景と、内臓がふわりと浮くような感覚がした後。ナマエは腰を反らし、後頭部を枕に擦り付けながら達してしまった。
その瞬間秘部からは、ぷしっと潮が噴き出し。シーツにいくつもの染みを作っていく。
「は、あ゙…、っ?♡はぁ、は、…あ……っ」
息も絶え絶えに瞬きを繰り返すナマエを、上体を起こしたベックが口元を拭いながら見下ろす。
しわのある顔の凹凸をなぞるように落ちていく液体に、それが自分のせいだと初めて気が付いたのだろう。ナマエの顔がサッと青ざめる。当たり前だが潮噴きの経験などない彼女は、何かが出そうだというその感覚も分からなかったのだ。
「ご、ごめんなさ、顔…、っ」
「ああ…気にするな。それよりナマエ、唇噛んでただろ。……血が滲んでる」
ベックマンは羞恥から涙をこぼすナマエの目元を拭ってやりながら、艶を帯びる唇に触れる。いつのまにか噛み締めていたらしく、そこはうっすらと血を滲ませていた。
「今度からは噛むなよ」
「あ、ぇ…っ」
唾液に滲む血を親指で拭ってやりながら、抵抗なく開かれた隙間に指先をほんの少し差し込む。途端にまとわりつく唾液の温かさと、粘つきぬめる口内がひどく心地良くて。ほとんど無意識のうちに、ベックマンは親指をさらにねじ込んでいた。
爪の表面が頬の内側をすべり、指の腹が小さな歯をなぞる。舌の表面を軽く押しながら、先端をくすぐるように爪先で引っかく。ナマエは抵抗せず。それどころか熱っぽくベックマンを見上げると、どこか甘えたように親指の先へ、ちう、と軽く吸いつき。そのままゆるりと舌を絡めだす。
温かい小さな口内は、先ほどまで舐めていたあの場所のようで。怪しく動く舌で、この指のように、痛いくらい張り詰める屹立を舐められた、ら──。
想像した瞬間、ベックマンは下半身が熱くなる感覚を覚え。慌てて口内から指を引き抜いた。
「ふくせんちょ、…?」
慌てた様子のベックマンをナマエは不思議そうに見上げる。引き抜いた親指と濡れた唇を繋ぐ糸がぷつりと切れ、ナマエの口端を汚した。
「悪い…大丈夫か」
「ん…大丈夫です、けど…」
まさか想像だけで下半身が疼いたなどと言えるはずもなく。ベックマンは誤魔化すようにナマエの額へ口付けると、身体を起こし、自身の服の裾へ手をかけ一気に脱ぎ去った。
赤髪海賊団の船員はナマエを除き全員が男だ。夏島の海域ともなればナマエのことなど気にせず、ほとんど全員が服を脱ぎ上裸で甲板を歩いている。そうでなくとも洋服など羽織るだけで済ませている者も多い。それにナマエは生まれた島が島なだけに、言い方は悪いが男の裸など嫌というほど見慣れていた。だから気にしたこともなかった、はずなのだが。
「…そんなに見られてると穴が開きそうだな」
どうしてかベックマンの姿だけは、壊れるのではないかと本気で心配してしまうくらい心臓が高鳴っていた。いざそういったことをするという雰囲気のせいかのか、それともベックマンという男の色気なのか。そのどちらもかもしれないが。
自身が凝視していたことを、指摘されたことで初めて気が付いたのか。途端に気まずさと恥ずかしさを滲ませた顔になり、ナマエは慌てて顔を背け。苦し紛れに言葉を吐き出す。
「…副船長だって、私の見てる」
「俺はいいんだよ」
理不尽すぎると思いつつ。まだ上を脱いだだけだというのに既に色気たっぷりのベックマンの、ストリップまがいのそれをこれ以上凝視できるかと聞かれれば、それは無理な話で。
そしてさらに言えば、裸になった姿を見れるかと言われれば、それもまた無理な話で。結局一方的に見られることしか今のナマエにはできないのだ。
ナマエは逃げるように目元を腕で隠し、ベックマンが服を脱ぐ音だけに耳を澄ます。するりと滑る音はサッシュが解かれたのだろう。次いで聞こえた金属音とファスナー音に、パンツの金具が外されたのだと分かった。
──音だけというのもこれはこれで不味いかもしれないと、ナマエは今さらになって思い始める。今まさに自身を押し倒しているベックマンの姿や服装をすべてを鮮明に思い描けるだけに、音だけでもかなりリアルな行動の把握ができてしまうのだ。
逃げるために取った行動で墓穴を掘ったことに後悔していると、無意識のうちに閉じていたナマエの膝に手が添えられ。再びそこを大きく割り開かれた。
「え、ぁ…っ、」
腕を外し、視線をそちらへ向けた瞬間。服をすべて脱ぎ去ったベックマンが、ひどく熱を孕んだ瞳でこちらを見下ろしていた。
ずり、と硬い何かが秘部に押し付けられる。驚いてそちらに視線を向ければ、早く中に入れさせろとばかりに先走りをこぼし、赤黒く血管を浮き出たせた屹立が、ぐりぐりと擦り付けられていた。
臍よりほんの少し下まで届く先端がナマエの腹の上を汚す。その体躯に見合うほど大きく、その存在を主張している屹立は、根元をぴたりと秘部にくっつけていているせいで、どこまで胎内へと挿入ってくるのか。一目でナマエに理解させてしまう。
それにこれから身体を蹂躙されるのだという、本能的な恐怖からか。ナマエの身体はほとんど無意識のうちに腰を引いていた。
けれどそれをベックマンが見逃すはずもなく。わずかに逃げることさえ許さないとでも言いたげにナマエの腰を掴み乱暴に引き戻すと、今度はぬかるむ秘部へ先端を押し当てた。
「あ、っ……」
「逃げるなよ。…傷付くだろ」
脅しのようにも聞こえる怒気をわずかに含んだ声は、けれどどこか拗ねたような色を含んでいた。
くぷくぷ小さな音を立てながら先端を浅く抜き差し始める。すると先ほどの快感を思い出したのか、ナマエの身体からは徐々に強張りが解けていく。
「あ、ふ、くせんちょ…ッ」
「はっ……ちっせぇ入口だが、こんだけ濡れてりゃ入ってくれそうだなァ」
「っん、ぅ…、♡」
熱い吐息混じりに笑うベックマンに、ナマエの胎が疼く。この男が、他でもない自分の身体でここまで息を乱しているのだと考えただけで、奥からはどろりと蜜があふれ出していく。
期待を込めた目で下腹部を見つめるナマエを見下ろし、ベックマンは入口を親指でわずかに割り開くと、ゆっくり腰を進めていった。
「っぅ、あ゙…♡はっ、んあ、ああぁ……ッ」
既に二回達し充分過ぎるほど濡れ解れているとはいえ、やはりまだ苦しいようで。ゆっくり押し進む屹立に、ナマエからは嬌声と共に苦しげな声が漏れ出る。
これでもかというほど歪んだ顔に、自分がしていることが原因とはいえ不憫に思ったのか。せめて気が紛れるようにとベックマンは小さく開閉を繰り返す唇を塞いだ。
「んっ、む、ふ、んん…っ」
すぐに舌を滑り込ませ、縮こまるそれを解すように絡め取る。送り込まれる唾液を飲むことに必死なナマエの意識はわずかに痛みから逸れていき。その隙にゆっくり、けれど確実に、ベックマンが腰を奥へと進めていく。
あまりにゆっくりとした進みにもどかしさを感じつつ、ベックマンはナマエの顔の横に両肘をつき覆い被さる。ぐっと近くなった距離に気が付いたナマエが、縋るようにその腕を掴んだ。
「き、っついな…少し力抜けるか…、」
「む゙、りぃ…っ、お、っきく、て…っなか、くるし、…ッ」
「はは…そりゃどうも、っ」
挿れているのはまだ半分ほどだというのに、男を知らない中というのはここまで狭いものなのかと、意外にも処女との経験はこれまでなかったためベックマンは今回初めて思い知った。
しかしそれと同時に、少し腰を引いただけで痛み顔を歪めるナマエの中を、これから己の好みに作り上げていけるのだと思うと、どうしようもない背徳感さえ覚えてしまった。
「…止めるか?」
だからこう聞いておいて、止める気など毛頭なかった。そしてナマエも頑固な一面がある。やると決めたからには、ここで止めようなんてことは絶対に許さないだろうことも、ベックマンはよく分かっていた。
けれど、そうは思いつつ。痛みに耐える様子に、わずかに残っていた良心のようなものが頭をもたげているのも事実で。
ようやく繋がれた愛しい恋人との行為を自分本位で無理に進めては何の意味もない。もしここでナマエが本気で拒絶をしたのなら、そのときはすぐにでも止める気も確かにあった。だからあえて訊ねてみたのだ。
けれどそんなベックマンの気持ちすべて振り払うように、ナマエは眉間にしわを寄せながら、涙混じりに彼を睨んだ。
「ぜ、ったい、嫌、です…っもし、ここで止めたら、も、副船長と、しない…、」
「…しないって、なにを?」
「こ、いうの……あ、ッ」
「はは…そりゃ困るな…っ」
辛い思いをしてる側だというのにどこまでも強気なナマエの様子にベックマンはくつくつと笑いながら、それでもせめて痛みが少ないようにとゆっくり腰を引いていく。そのまま抜かれてしまうと思ったのか、慌てたナマエがベックマンの腕を掴む手に力を込めた。
「…安心しろ。俺もここで止める気はねぇよ」
ベックマンは身を屈め、安心させるようにナマエに口付ける。近付いた体温に安心したのか、ナマエの身体からはゆっくりとだが力が抜けていき。必死に腕を掴んでいた手は、少し伺うように今度は首へと回された。
細い指先が、汗で張り付く襟足を撫でる。そのくすぐったさにベックマンが思わず笑みをこぼせば、つられてナマエも笑みをこぼす。
「…なあ、ナマエ」
「は、ぃ」
「名前で呼んでくれ」
離した唇の代わりに額を触れ合わせ、少し甘えたように乞う。見たこともないその様子にナマエの心臓がきゅうぅと締め付けられる。
ベックマンという男がこんな顔をして、こんな声で甘えるのだということを、ナマエはようやく知ることができた。
「……ベックマン、さん」
少し迷ったようにつけた敬称は逆にぎこちなくなってしまった。しばらく見つめ合った後、互いに小さく笑う。
「…もう一回」
嬉しそうに眦をほころばせたベックマンが、ゆるりとナマエの頬を撫でる。大きくて、分厚くて。銃の手入れで少しかさついた手は、目の前の存在がいっとう大切で愛しくて仕方がないのだと告げているようだった。
「…ベックマンさん」
「ああ」
「ベックマン、さん」
呼ぶ度、音にする度、ナマエの中にじわりと熱が広がっていく。温かくて柔らかいそれは全身に広がっていき。真綿のようにナマエを包み込む。
気付けば涙が出ていた。ほとんど無意識だった。引き攣るようなものでも、痛みや辛さからでもない。ただ堰を切ったように溢れぼろぼろと落ちていく雫は、大きな瞳を海のように揺らめかせていた。
──名を呼ばれた。たったそれだけでこんなにも、愛しくて仕方がないという瞳で見つめてくれる人のことを、どうして信じられなかったのだろうか。面倒だと、受け入れてくれないだろうと、結局自分自身で決め付け、壁を作って。悪いのは自分だ。そしていらぬことを言い大切な人を傷つけてしまったなんて。本当、救えない。
それでもこの人は、ベックマンは、ナマエの謝罪など求めはしない。ただ雁字搦めになった気持ちを優しく拾い上げ、そのままでもいいと包み込み。ありのままが愛しいのだと伝えてくれる。
ただこの人が好きだと思えた。それ以上の感情が、ナマエにはどうしても浮かんでこなかった。
添えられる手に頬を擦り寄せ、何度も男の名を呼ぶ。その度ベックマンは小さく返事をして、ナマエの身体を優しく解きほぐしていく。
「ん、あ、…ぁ?」
そうして解されていった身体と中を屹立は押し進み。こつっ、と骨が当たる音と共に、ナマエにこれまで以上の圧迫感を覚えさせた。
「は、ぁ、はい、った、ぁ…?」
「…ああ」
実のところ、屹立はまだその根元を少し残していて。やはり体格の差もあり、一度ですべてを挿れきることは難しいようだった。
けれど既に先端は子宮口に触れ、ぬかるむ中もみちみちと締め付けている。なにより初めて暴かれた身体に無理はさせられないと、ベックマンは少し迷いながらそう返事をした。とはいえその言葉に、「おなか、いっぱい…」と嬉しそうにしているナマエを見ただけでも、心の内は充分満たされているのだが。
慣れてきた中を感じベックマンはゆるゆると腰を動かし始める。ゆっくり進めたおかげか、痛みに苦しげな声は鳴りを潜め。ナマエからは少しずつ甘い声が上がり始めていた。
「は、あんっ、や…あ、ぁあッ!♡」
「っ…痛くねぇか…?」
「んぅう、だ、いじょぶ、だけ、どぉ…♡」
「ん…?」
「き、もちい、のっ、こわい、ぃ…♡♡」
「は…なら大丈夫だな」
痛いほど浮き出た血管を壁全体に擦り付けながら、ざらついた場所も的確に擦り上げる。雁首でごしゅごしゅと擦り上げる乱暴な動きも堪らないようで。だらしなく開いたナマエの口からは耐えず悲鳴のような嬌声が漏れていた。
未知の感覚に子供のように泣くナマエの涙を拭ってやりながら、ベックマンは繋がる場所の少し上で震える突起に手を滑らせる。すっかり皮の剥けたそこは触れて欲しそうに震えていて。今は中よりこちらの方が快感を得やすいだろうと、舐めたときのようにぎゅうっと圧し潰した。
「ん゙、ぃ…っ、!?♡」
油断していた身体は突然の強い刺激にあっさり上り詰め。繋がるそこから、ぷしゃっ、と先ほどよりも勢いよく潮が噴き出した。
ちかちかと目の前に散る火花に瞳を白黒させるナマエに反比例するように、その身体はすべての快感を喜び受け入れていて。搾り取るように屹立を締め上げている。
その蠢きに耐えながら、ベックマンは頭の片隅で「今ならいける」とぼんやり思い。片腕でナマエを抱え直すと、屹立が抜ける直前まで腰を引き。今度は勢いをつけて奥へと差し込んだ。
「あ゙、っ!?♡ッ、〜〜!♡♡」
その瞬間ナマエは大きく腰を跳ね上げ、背を反らしながら再び達した。
ちかちか、なんてものではない。目の前でばちばちと激しく火花が弾ける。さっきよりもずっと眩しいそれは、脳内も焼き切ってしまうのではないかとさえ思えるほどだった。
「は、はぁ、ッ♡は…、っ?♡」
だらしなく開かれたナマエの唇からは、唾液と共に言葉にならない音が漏れている。ベックマンはナマエの口元を拭ってやりながら、繋がる場所をゆるりと見やる。先ほどまで中途半端に受け入れていた秘部は、今度はしっかりと、大きな屹立を根元まで飲み込んでいた。
少々乱暴にすべてを受け入れた胎内は、やはりその許容を少し超えているようで。ナマエの薄い腹が呼吸で上下する度、一部がわずかに、ぽっこりと浮き出ていた。
「苦しいだろ…全部受け入れてくれてありがとな」
先端で子宮口をぐりぐりと押しながら、臍の少し下、浮き出たそこをベックマンは優しく、けれど確実に欲を呼び起こす手つきで撫でてやる。
「い゙、あぁあっ!♡や、そこっ、触っちゃ、やらぁ…ッ!♡」
労わるような言葉とは裏腹なその行動に丸まった足先がシーツを蹴り上げる。薄い腹を柔く押す度、子宮口は先端に口付けるように吸い付いてきて。まるでもっと奥に寄越せとばかりに屹立を締め付けていた。
今度は壁を抉る動きでなく、辿り着いた奥を潰すようにぐぅっと体重をかけ、わずかに口を開き始めた子宮口に先端をぐりぐりと押し付け始めた。
前のめりになるベックマンの身体につられナマエの尻たぶが軽く浮き上がる。上から穿たれる激しい動きに、重さを増した蜜がぐぽぐぽ音を立てて泡立ち、互いの下生えにまとわりついていく。
その乱暴な動きにはまだ若干の痛みはあるが、それを上回るほどの快感が襲い。ナマエはうめき声のような、喉の奥から漏れてしまったような声を上げることしかできなかった。
「は、あ゙あっ、や、っあ、あ゙ッ♡」
「…っ、俺が、お前の初めてで、本当によかったよ」
「あ゙、んうぅ…っ!あ、あ、ああぁっ!♡」
「お前のこんな姿、他の野郎が見てたかもって考えたら、それだけで腹が煮えくり返りそうだ…っ!」
「っい゙、あ────ッ!!♡」
荒い息を吐き出し、腹を撫でていた手で細腰をわし掴むと、ベックマンは一層強く腰を打ち付ける。先端がはまる感覚と共に腹の中から、ぐぽんっ、という音が小さく響き。その瞬間ナマエは薄い喉をさらしながら、声にならない声を上げた。びしゃびしゃと勢いよく噴き出した潮が互いの腹を濡らしていく。
その強い締め付けに誘われるまま、奥へと叩き付けるように、ベックマンも精液を吐き出した。
「は、あ゙…っ、♡ひ、あ、ぁ……、ッ♡♡」
「しっかり呼吸しろ…大丈夫か」
腹の奥底に直接叩き込まれる熱さにさえナマエの身体は軽く達しているようで。もはや自分は溶けてしまったのではと、馬鹿げた考えを浮かばせるほどだった。
引き攣った呼吸と共に小さく痙攣を繰り返す可哀そうな身体を、ベックマンは心底愛おしいといった様子で抱きかかえ。仰け反る細い喉に顔を寄せ痕を残しながら、汗ばむ背中を優しく叩いてやる。
「お疲れさん…抜くぞ」
「ん゙、ぁ、ぅ…♡」
余韻で未だ柔く締め付ける中に名残惜しさを感じつつ、ずるりと屹立を引き抜く。奥底で出したにもかかわらず受け止めきれなかった精液がごぽりと溢れ出し。蜜と混ざり合いながら、ナマエの尻たぶの間を伝い、シーツに海を作っていった。
「っ、ひ…、」
「ん?」
「ひんじゃう、かと、おも、った…っ」
荒い呼吸と共に吐き出された言葉に、ベックマンはきょとん、とした後。「ぶはっ、」と盛大に吹き出した。
「最初のセックスで死なれちゃたまらねぇな。これから何度もするってのに」
柔らかさを含んだシルバーグレーの瞳が、とろりと溶ける。
「何度も…?」
「ああ。お前の初めてを貰ったんだ。これから何度でも…もう嫌になるってぐらい、ナマエって人間のすべてを俺に愛させてくれ」
まだ少し甘い世界にいるのか、ぽやぽやとした瞳で見上げるナマエの頬を、ベックマンは指の背で優しく撫でた。
「……副船長って、」
「ん?」
「実は結構、欲張りなんですね…」
呆れた体を装いながら、その実抑えきれない喜びを含んだ声音で呟かれたぽつりと言葉に、ベックマンはくつくつと笑った。
「俺がこんなになっちまうのは、後にも先にも、お前にだけだよ」
BACK |
HOME