「あ、ちょっと気になったんすけど麗依さん最近午後どこに行ってるんすか?」
「ん?日向のとこ」
「へー、日向の…………え?日向…?」
「「「ええええぇぇぇぇぇっ!?」」」

テッツとチハルとダンの叫び声がITOKANに響き、すぐにナオミからうるせぇと咎められ、カウンターでPCを弄っていたノボルは苦笑した。
至近距離で聞くはめになった麗依は耳を抑えるがそんなことは関係ないとばかいり三人は麗依に詰め寄った。

「はっ?ちょ、なんやてっ?日向のとこやとっ?」
「午後居ないときいつも行ってるんすかっ?」
「まあ、だいたいは…というかお前ら声のボリューム下げて」
「だいたいっ!?と、ということは…ま、まさか……」
「「「あの日向とっ―――!?」」」
「それ以上言ったらぶっ飛ばすぞ」

ドスの効いた声と鋭くなった目に三人は一斉に口を閉じた。女性とはいえどさすが山王連合会所属、その迫力は三人を黙らすには充分だった。
静かになった三人に麗依は1つため息。

「…残念ながらそこまではいけてないの……」
「なんか、すまん……」
「一生モテない呪いかけてあげるよ」
「おいっ!!それは本気でやめろやっ!」
「今も同じような状態なんですからさして変わんないでしょ…」
「なんやとチハル」
「にしても日向とはどこで会ってるんですか?あいつが待ち合わせとかするの想像できないんですけど」
「私が廃寺に行くだけ。だから私が一方的に会いに行ってるだけというか…」

自分で言ってて悲しくなってきた、と落ち込み始めた麗依にチハルとテッツが顔を見合わせた。ダンがどうするか、とナオミとノボルに助けを求めるとナオミは呆れたように三人を見てから麗依に声をかけた。

「麗依、あのお土産の意味はわかってんの?」
「さすがにそれくらいわかるって…どう考えても不自然すぎるし…」
「まあ、そうだよなあ…ヤマトは気づいてなかったけど」
「あいつには無理だろ」

「……お土産の意味ってなんや?」
「え……ダンさん気づいてなかったんですか」
「うわぁ……」
「おい、先輩に対してなんやその目は」

信じられないものを見るような目でダンを見るチハルとテッツ、ナオミは呆れて麗依とノボルは苦笑いだった。

「あの達磨の人間から度々渡されてたお土産、変だと思わなかったんですか?」
「なんでわざわざ達磨が麗依に渡すんやろうなあ、とは思っとったわ」
「その先まで考えてくださいよ」

ガクリと肩を落とすテッツに首を傾げるダン。俺が説明するよ、とノボルが話を引き継いだ。

「達磨の人間が外から帰ってくるときこの山王街を通るのは間違ってない。でも必ずしもここを通らなきゃいけないわけじゃないし、そもそもあんな頻度で外出はしないだろう」
「週に1回は必ず来てました」
「ほー」
「そのうえ毎回お土産と称して麗依に何かを買ってきてた」
「それは普通にお土産やろ」

違うんか?と言葉なく伝えてくるダンにここまで鈍感だったとは…と、ため息。

「普通、別のチームの人間にお土産なんて買ってこないだろ?しかもコンビニとかのじゃなくてきちんとした所のものを」
「超人気店のばっかりでした」
「それに渡してたのは加藤とか右京とかの幹部みたいだけど、彼らだけで外出するとは思えない。つまり日向もその時一緒にいたはず」
「………ん?」
「加藤達の渡し方が段々雑になってきてたみたいだし、渡していたのは加藤達の意思ではない」
「…え?」
「やっと気づいたんすか…」
「つまり、あのお土産は日向が幹部に買わせてそのまま麗依さんに渡してたってことですよ!普通気づきますって」
「は?はぁぁぁぁっ!?」

(ダンにとっては)衝撃的な真実にダンは驚きの声をあげ、麗依を見た。当事者の麗依はニコリと笑ってそれくらい気づくよ、と一言。

「お、お前…ずっと振られとったやないか」
「うん、現在進行形で振られてる」
「はあ?でも、明らかお前らって…」
「そこは俺達も疑問なんですよね…」
「ああ、それは簡単だよ」

え?と首傾げる三人にノボルは麗依を見て、麗依もわかってるでしょ?と一言。麗依は気まずそうに目をそらした。

「あれは男の意地だよ」
「は?意地?」
「正直言ってあの日向も人間だったんだなあって思ったよ」
「え、ちょ、ノボルさん教えてくださいよっ!」
「ノボルさん!」


「麗依、いい加減にしないと一生このまんまだよ」
「わかってるんだけどね…」

あと一歩が難しいんだよ