車に乗せられ隣に座る気配から逃げることも出来ず、あっという間に廃寺へ。運転していた加藤に達者でな、と手を振られ思わず殺意が沸いた麗依だったが俵担ぎされている状態では何も出来ずに廃寺の奥へと運ばれた。
「………」
「………」
部屋に入ると思いの外優しく下ろされ人一人分あけて目の前に日向があぐらをかいて座る。生気の無い黒い瞳がじっと見つめるが麗依は視線を右へ左へと泳がせる。合うことの無い視線に呼び掛けると、ビクッと肩を揺らしておそるおそる麗依は日向を見た。
「お前、俺が好きなんだよなァ?」
「」
「なに動揺してんだテメェは。隠す気無かったろうが」
「そ、そうですけども………」
本人にハッキリ言われると…、と少し頬を染めて気まずげに目を反らす麗依。その様子に日向は腰を上げて麗依の頬を掴んだ。
「目ぇ反らすんじゃねぇよ」
え、なにこれなにがおこってるの?ひゅうがちかい、めっちゃちかい、やばい、ちょっとまってだれかへるぷ、へるぷみー
日向に頬掴まれたあげく至近距離に日向の顔があることで麗依の頭は軽くショート。固まったまま視線を反らさない麗依に日向は口角をあげた。
ショートしたままの頭ではろくに思考を巡らすことも出来ず麗依はただ、至近距離にある日向に見惚れていた。
「選ばせてやる。自分から俺のものになるか無理矢理俺のものになるか」
「………はい?」
「どっちでもいいけどなァ」
「え?」
「逃げてもいいがどうなるかは知らねぇ」
「………どっちにしろ日向のものになるのは確定なんですかっ?!」
「あ?当たり前だろうが。それとも―」
お前は俺以外選ぶのかと刺すような殺気と鋭い目線に麗依は息を呑んだ。
逃げたら確実に死ぬと察した麗依、この状況に追い込んだノボルを恨んだが、別のことを考えたことに気づいた日向の殺気が一層鋭くなり慌てて思考を戻した。
手を放し一旦距離を置いてはいるが目で返答を催促してくる日向に麗依はおそるおそる口を開く。
「あ、のさ…私、山王だし…」
「……」
「自分で言うのもなんだけど、性格悪いし……山王大好きだし…」
「……」
目線を下に向けてぼそぼそと自分の欠点(らしきところ)を語っていた麗依はちらりと日向を見る。日向はじっと麗依を見ており、そこに嫌悪感は一切ない。
「い、いやじゃないの…?」
「そうじゃなかったらテメェじゃねぇだろうが」
「お、おう……」
思わず頬を染めた麗依に日向はフッと鼻で笑い腰をあげた。何かされるのかと少し身構えた麗依の腕を掴み引き寄せる。
「っっ??!!!」
腕を掴んでいた手と逆の手が腰に周り、離さないようにしっかりと抱き締めているため二人の体は密着する。ふわりと香る日向の匂いに抱き締められていることを実感した麗依は一気に顔を染め上げた。
「……赤いなァ」
「は、はなし…」
「ンなことするわけねぇだろ」
「うぅぅ」
「で、どうすんだテメェは」
「………………し……す」
麗依はそれなりに硬い日向の胸板に顔を押し付けか細い声で何かを話すが日向は聞こえねぇ、と。
「絶対聞こえてる……」
「聞こえねぇなァ」
「………ろ……ます」
「あ?」
「…よろしくおねがいしますっ!」
叫ぶように告げた麗依に日向は満足そうに笑った。
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