「麗依さんtrick or treat!」
「狼男かあ!耳つけて超可愛い!お菓子あげるから一緒に写真撮ろ?」
「はい!」
「はいチーズ……よし、撮れた」
「麗依さんあとで送ってくださいね!」
「オーケーオーケー、ほんとチハルは可愛いなあ」

オーバーオールに狼っぽい耳をつけたチハルと一緒に写真を撮ったあと撫でくりまわした麗依は満足そうに笑った。照れるチハルの後ろからテッツがスマホでパシャりと1枚。

「あ!おいテッツ!急に撮んなよっ」
「別に減るものじゃねぇしいいだろ?麗依さん俺とも撮りましょ!」
「よしよし、おいでー」

テッツと麗依で撮り、そのあとチハルを入れてもう1枚。あとでインスタに載せよー!っと笑うテッツに麗依は微笑む。山王で年下の部類に入るテッツとチハルは麗依にとって可愛がる対象で何かと甘い。
その逆でダンの扱いは雑になり、本人から抗議が入るが麗依は改善する気は全くない。

「ほんまテッツとチハルには甘いなあ…あ、トリックオアトリート」
「はい」
「おー、って飴かいっ!テッツとチハルにはクッキーやったやろっ!!」
「めざといな…」
「なんで俺の扱いだけ雑やねんお前はっ!悪戯してもええんかっ!」

ポンっとダンに渡したのは市販の飴、一方でテッツとチハルに渡したのは手作りクッキー。扱いの差に抗議するダンと耳をふさいでうるさいなーとめんどくさそうにする麗依。


「悪戯して日向にバレないといいよね」

近くでナオミが用意したハロウィン特製料理を食べながらにっこりと笑ってそう言うノボルにダンと麗依は無言になった。
色々言いたいことはあるけど笑顔がこわいです……

「…ダン」
「……おお、あんがとな……」

麗依はそっと用意していたクッキーを手渡した。もし悪戯したとしたら二人の身が別々の意味で危険であるため最良の判断である。

「お、麗依お菓子くれ!」
「ハロウィンのセリフ言わずにお菓子せびんのお前くらいやな」
「ヤマトはこんなときも通常運転だよね」
「ん?どういうことだ?」
「「ヤマトは凄いってこと(や)」」

料理がたくさんのせられた大皿を持って食べつつお菓子を貰おうとするヤマトの食欲と沈む空気を全く気にしないその空気の読めなさに二人は生暖かい目を向けた。ヤマトはそんな目に首を傾げるがお菓子を貰うとまた食べ始めた。

「こいつの食欲どないなってんねん…」
「さあ…あ、盾ちゃんとこ行ってくるわ」
「おー」


定位置に座るコブラの元へ近寄り麗依は両手を差し出した。

「じゅーんちゃん、trick or treat!」
「発音いいな」
「ありがと!でどっち?」
「やる」

ポンっと手にのせられたのはハロウィン仕様の個包装されたお菓子。麗依の好きなお菓子であったためやったーと素直に喜ぶ麗依にふっと笑ったあと、コブラは手を差し出した。

「trick or treat」
「はい、手作りクッキーです!甘いやつね」
「おう、ありがとな」
「ふふふー、どういたしまして」

コブラの微笑みつきのお礼に麗依も満足そうに笑う、とパシャりと音が。目を丸くして何度か瞬き。目の前にいるコブラの手にはスマホが握られており、カメラは麗依を捉えている。

「はっ!盾ちゃんなに撮ってんのっ!」
「減るものじゃねぇからいいだろ」
「そういう問題じゃないよ!」
「じゃあどういう問題だ?」
「急に撮られると油断してるから変な顔してるかもしれないじゃん」

絶対いま変な顔してた、とコブラをジト目で見ていると後ろから肩をポンっと叩かれた。

「それなら言えば撮っていいの?」
「うん」
「それならコブラ、俺と麗依撮って」
「わかった」

言われてるだけいっか、とノボルに肩を抱き寄せられて二人でピース。

「撮れたぞ」
「あとで送ってね〜」
「ああ」
「じゃあコブラ、それ送ってあげればいいよ」
「もう送った」

麗依はスマホをチラリと見るが通知はゼロ。送られてないけど?とコブラを見るがコブラは頑張れよ、と一言。ノボルからも頑張ってねと一言あり、首を傾げる。すると急に着信音が鳴り響いた。

「うわっ、びっくりしたあ……ん?日向だ。もしも【おい】…」

電話口から恐ろしく低い声が聞こえピシリと麗依は固まった。
え、なぜ?なぜこんなに機嫌悪いのっ!?

【聞こえてんのか】
「き、聞こえてます……」
【…………浮気か】
「急に話が飛躍しすぎてないかなっ!」
【…………】
「無言やめよ?ね?」

見えなくても相手の機嫌がものすごく悪いことは分かるが浮気と言われても麗依には何がなんだか全くわからない。困ったように周りを見ると笑みを浮かべたノボルと目があった。

「………あ」
【……覚えあんだな】
「ま、まさかとは思いますけど盾ちゃんからツーショットとか送られて…?」
【毒蛇野郎はともかくあのひょろいのは認めねぇ】

これは、もしかしてもしかすると…
少し自分にとっては悪い状況ではあるが麗依の口角はだんだん上がっていく。

「あのさ……もしかして嫉妬したの?」
【……………チッ】
「………えへへへー、そっかあ!」
【……うるせぇ】
「心配しなくても、私が好きなのは日向だよ!」
【………】

どことなく電話向こうの機嫌がよくなったような気がして麗依の機嫌はうなぎ登り。





「あの二人、いい感じで安心したよ」
「日向も丸くなったからな……日向、こっち来るみたいだ」
「麗依はそんな反応してないから内緒ってとこかな?」
「ああ…ナオミ今から達磨が来る」
「わかった、料理足りるか?」
「あっちも持ってくるらしいから何とかなるだろ…たぶん」
「まだヤマトが止まる気配無いから足りなくなるかも」

「おいハゲ!いい加減食べるのセーブしろ!」
「うるせぇブス!うまいんだからしょうがねぇだろうが!」

「こっちも痴話喧嘩始めちゃった」
「…日向出迎えてくる」





Happy Halloween!!


(あれ??なんで日向?)
(日向がどーしても行くって聞かなっ、いてぇっ!おいっ蹴んなっ!)
((((姐さんお邪魔しますっ!))))
(ベイビーズは今日も元気だねえ……日向はこっち!)
(あぁ)

(日向の機嫌が治って良かったぜ…)
(まさか、その顔の痣って……)
(日向の八つ当たりだ……)
(それは災難やったな……)

(あの二人も撮っておこうっと)
(俺にもくれ)
(すぐ送るわ)
(あ!俺らにもくれないか?)
(おー、あ、ついでに俺らでLINE交換しね?)
(いいなそれ!)
(なんか俺ら付き合い長くなりそうだしな!)
(なー!)