SWORD地区では他のシマに入ることは基本的にはない。最近では連絡は取り合うこともあるがやはりシマに足を踏み入れることはない。

ナオミに頼まれて無くなった材料を買いに来ていた麗依はその帰り道山王街では見慣れぬものを見つけ足を止めた。

「………」

山王街の一角に止まるアメ車とそれに寄りかかるように立つのは赤。彼らが普段のるオープンカーではないが寄りかかる赤のせいで目を引く。山王街では見慣れぬそれに今日は定例会だったかと麗依は記憶を辿る。が、やはり今日はそんな予定はなかった。

「ふぅ……いくらなんでも白昼夢とかヤバいな」

幻覚であると判断し、今日は家でゆっくり休むことに決めた。近場じゃなくてちょっと遠くのスーパーまで行ったせいかなあ、今日暑かったしなあと何事も無かったかのように足を進めた。

「………」
「………」
「………」
「………いや幻覚じゃねぇからな!?」
「え」
「本物だわ、馬鹿か」

加藤は無言で通り過ぎようとする麗依にツッコミをいれ、右京は呆れ顔で麗依を見た。

「ここ山王だよ?なんでいるの」
「外からの帰りだ。ここは寺に帰る通り道なんだよ」
「なるほど」

たしかにいくら他のシマには行かないとはいえ外からの帰り道ならば仕方ない、と納得した麗依の頭に新たな疑問が1つ。

「じゃあ、なんでここにいるの?」
「あ?だから通り道だって言ったろうが。馬鹿か?」
「それは知ってるわ馬鹿。なんでここに車止めてんのってこと、帰る途中なんでしょ?」

至極当然の質問に加藤はうっと言葉をつまらせ、右京はあーと気まずそうに目をそらした。いかにも何かありますと言わんばかりの態度に麗依は首をかしげた。

「それはだな、その…」
「あー、あれだよあれ」
「いや全くわからないから」
「………わかれよ!こう雰囲気で!」
「できるか!!」

加藤と麗依がわかれ!無理!の応酬をつづけていると右京からのストップがかかり二人は一旦深呼吸。気を取り直して右京があいている車窓に手をいれ何かを取り出した。

「ほらよ」

差し出されたのは何かが入っている紙袋。目を丸くしたまま受け取ろうとしない麗依に右京は麗依の手を取り紙袋を渡した。

「え?え?え?」
「外からの土産だとよ」
「み、みやげ…」
「有名処の和菓子だ、味わって食え」

最後にじゃあなと告げて右京と加藤は車に乗り去っていった。加藤が何かを言いたそうな顔をしていたが結局何も言うことはなかった。

「和菓子……というか何で土産……」

片手にスーパーの袋、もう片方に紙袋を持ったまま麗依はしばらくその場に立ち尽くした。





普段乗っているオープンカーではなかったため麗依は乗っているのは加藤と右京の二人だと思っていた、が車内にはもう一人いた。
土産を渡せと指示した本人は車内で全てを見ていた。

「日向これでいいか」
「あぁ」
「にしても何で急に土産なんて渡す気になったんだよ」
「………さぁな」

外に出掛けたときたまたま目に入った店で買ったものを渡しただけ。全てはなんとなくで意味なんてものは、ない。