「モテたい!!」
「ダンさんには無理ですって」
「諦めた方が気が楽ですよ」
「俺は先輩やぞ!?先輩にその態度はないやろ!」
ITOKANの一角でモテたいと騒ぐダンとそれを無理無理と軽くあしらうテッツとチハル。
これから騒がしくなる、という時にもう一人現れた。
「ナオちゃ、ってあれ?ナオちゃんは?」
「麗依さんおはようございます!ナオミさんなら買い出しです」
「おはよーございまーす、俺たちが留守番してるんすよ」
「へー、それでダンは何してたの?声外に聞こえてたけど?」
「あんなあ…俺はモテたいねん」
真面目な顔でそういうダンにカウンターでアイスティーを作ろうとしていた麗依は目をパチパチとさせてからニコリと笑った。
「無理でしょ」
「辛辣っ!!なんでそんな笑顔で残酷なこと言うんやっ!」
「だってさあ、基本的にモテる人ってモテたいなんて言わないじゃん」
「たしかにそうっすよね」
「コブラさんがモテたいなんて言ってるの聞いたことないし…」
山王連合会モテ男ランキング堂々の一位を飾るコブラはその顔から何もしなくてもモテる。立っているだけで女性から声をかけられることも多々ある。が、本人に全くその気がないため現在彼女はいない。
「盾ちゃんとかヤマトとかノボルあたりは黙っててもモテるでしょ?ノボルなんて見た目から性格の良さが滲み出てるし」
「ああ…確かに」
「え?ヤマトさんってモテるんすか!?」
「身長高いし、馬鹿だけど芯はある。それに食べてるとことか可愛いって、近場の女子高生が」
「……それってまさか…」
この近くにいる女子高生といえばあの桃色の特攻服を来た彼女達しか思い浮かばず三人は口をひきつらせた。
そんな三人の様子に麗依は笑って首を横に振った。
「違う違う、あの子達以外にも女子高生通るからね?知ってるでしょ?」
「知っとるけどなあ…」
「インパクトが、すごくて…」
「まあ迫力あるよね、あの子達」
近隣の女子高生が霞むほどのインパクトを与えるのが苺美瑠狂の面々であり、ダン達は度々その迫力に負けている。
「と、まあヤマトももちろんモテるわけだ」
「その三人に比べるとダンさんって…」
「おい、俺見てため息とはええ度胸しとんやないかテッツ!!」
「だって仕方ないじゃないっすか!!」
「ダンさんじゃ、どうやっても三人には勝てないっすよ!」
「なんやと!!」
非公式山王連合会モテ男ランキングでは一応ダンを推す女子がいることを知ってはいるが麗依は空気を読んだ。
ダン推しもいることはいるけどテッツとチハルの方が多いしなあ、これ言ったらもっとめんどくさいことになるよね。
と、何も言わずにアイスティーを一口。
「麗依さんはどう思います!?」
「んー?盾ちゃんとはまず同じ土俵に立てないよね」
「まず麗依基準でコブラと同じ土俵に立てるとは思ってへんわ!」
「麗依さん基準じゃなくても無理でしょ」
「おいチハル、お前いま何て言うた」
「何も言ってないですっ!」
ダンに凄まれ慌てて首を横に振ったチハルを庇うように麗依は呆れた目を向けた。
「そうやってすぐ後輩いじめるところ大人げないと思う」
「ぐっ」
「もっとさ、ロッキーみたいなスマートさ身につけた方がいいよ」
SWORDのWを仕切るロッキー。レッドラム事件で色眼鏡で見てしまっていたが、関わってみると案外優しく、SWORDのなかでもわりと良心的であった。
見た目でいえば怪しいことこのうえないがそれを凌駕する紳士的な面と優しさは確かにモテる要素である。
「ロッキーか………白い服着た方がええんかな」
しみじみと呟くダンに麗依は呆れて、テッツとチハルは残念なものを見るような目で見ていた。
「誰も見た目真似しろって言ってないから」
「こういうところが残念なんでしょうね」
「だよなあ」
「聞こえとるわっ!」
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