五日目_@

  ◇五日目
 
 頭をふんわりと撫でられる感覚に意識が浮上する。重たい瞼を開けると、薄い金色が飛び込んできて自然と頬が緩んだ。ぱちぱち瞬きをしながら魈さんの名前を呼ぶと、返事をするみたいにべろりと首筋を舐められて微睡んでいた意識がびくりと叩き起こされる。
「ん、魈さん〜……」
 魈さんに抱きついて寝ていたのか腕が背中に回っていたので、そのままぎゅうっと抱きしめようとしたのにさらに喉を甘噛みされて寝起き特有の重たい緊張が抜けていく。どうしたんだろう、と思ったのは一瞬で、薄くて熱い舌が首筋を舐める度に下腹部がずくりと疼いて身体が熱くなっていく。
 今日は五日目か。だから魈さんの舌もこんなに……。私の首筋に顔を埋める魈さんの頭頂部を見ながら、どきどきと心臓がうるさくなる。魈さんが少し動く度に布団が音を立てるのが二人きりの部屋にやけに響く。
「しょ、魈さん……あのっ、お、おはようございます……」
「……あぁ」
 今何時ですか、と聞こうとしていたのに、魈さんが顔を上げて熱っぽい瞳でじっと見てくるから口を動かせなくなってしまった。キンと開いた瞳孔が揺れずにこちらを注視していて、今から食べられるんだと本能で悟る。
 捕食者の目で数秒睨まれて、逃げ出したくなって無意識に目を逸らしてしまうと追いかけるように魈さんの唇が降ってきてやんわりと体重を掛けて組み敷かれた。
「はっ……♡ん、ん♡しょ、さっ♡まっ、て」
「……ん、」
 ぢゅぅ、と唇に吸いつかれて早急に口を割られそうな勢いにお腹の奥がむずむずしてしまう。
 このまま舌を入れられたら絶対止まらなくなると感じて、口をきゅっと閉める。力を抜くと舌を差し込まれそうだったので、そうされないようにある程度力を入れていたのに下唇を吸われたり開けろと言わんばかりに閉じた唇の割れ目を舐められたりして鼻から声が漏れる。
 だめだめ、ここで流されたら折角昨日買った下着をお披露目できない。こんな機会じゃないと魈さんイメージの色で選んでみたんです、なんて恥ずかしくて言えないから、絶対今日あれを魈さんにみてもらわないと……!
 魈さんに待ってもらおうと喋っている最中にも、動いた唇をお構いなしに舐められて背筋がぞくぞくした。抵抗する気なんてそんなにないのに、しっかりと抑え付けられた身体に魈さんの腰が擦り付けられてその熱と硬さにどきりと心臓が跳ねる。魈さん、もうこんなに勃って……♡私だってムラムラしてるのに、ちょっと待って欲しいだけなのに……っ。
「しょ、さんっ♡ん゛〜〜〜っ♡♡」
 ちょっとだけ待ってください、と言おうとして口を開いた瞬間、食べられるように唇を合わせられて文字通り口を塞がれる。魈さんの薄い舌が口内をかき回して、上顎を舌先で撫でられて口の奥からどぷりと唾液が出る。くぐもった声を出してささいな抵抗をしていると、手首を掴まれてベッドに縫い付けられてしまった。魈さんの手が、舌が、いつもより熱い。
 きゅうきゅう鳴いて収縮する子宮に知らないフリをして、うっすらと目を開けるとどろりと溶けた金色に捕らえられて熱さで頭がぼんやりしてくる。じゅるりと舌を吸われて、さらさらな魈さんの唾液が口内に流れ込んでくる。頑張って飲み干そうとしているのに、邪魔をするように舌を絡められて口の端から飲みきれなかった唾液が溢れた。
「ん゛ぅ……♡ゃ、う〜〜っ♡」
「ン……はっ」
 魈さんの熱くて薄い舌が私の舌に絡みつく。お互いの唾液でぬるりと滑るのが気持ちよくて、粘膜をすり合わせる感覚にぞわぞわと全身が粟立った。舌を突き出して夢中で絡めて、舌の動きと合わせるように太ももに魈さんのおちんちんを押し付けられてそれだけでびくびく腰が跳ねる。しばらくして漸く魈さんから口が開放されて、離れた舌の間に太い銀の糸が掛かってかっと顔に熱が集まった。乱れた呼吸を整えて、身体の中の熱を冷ますように息を吐く。
 どれだけゆっくり息を吐いても頭がぼんやりして目頭が熱いままで、下腹部には勝手に力が入ったり抜けたりする。自分の身体が自分の意思を置き去りにして発情しているのが分かって、前もこんな風だったかなと他人事のように昔を思い出した。

「しょ、……魈さん、はーっ♡ あの、」
「…………」
 私の言葉の続きを待って黙っている魈さんが、あまりに色っぽくて喋っていることも忘れて息を飲んでしまう。魈さんの下に組み敷かれている私の顔をじっと見ているがために、伏せ目になってほんのり湿った睫毛の間から見えるどろどろに熱せられて透けそうな金色に目が釘付けになる。薄い唇はさっきの口付けでべったりと濡れていて、普段の魈さんとのギャップで心臓が熱い。そんな顔で見られたらこのまま流されたくなっちゃう……♡
 言葉を失って口をぱくぱくと動かす私に、痺れを切らしたのか魈さんがゆっくりと息を吐く。至近距離で吐き出された息が顔に掛かって、余計恥ずかしくなった。色っぽい魈さんを見るのはかっこよくて好きだけど、同時にすごく恥ずかしくなる。
 手首を押さえていた魈さんの手が離されて、ゆっくりと頬に添えられる。熱を持った頬に熱い魈さんの手が触れてびくりと肩が跳ねた。時間を掛けて瞬きをした魈さんが、口を開く前に太ももに当てていた腰を動かしておちんちんがぴたりと秘部に当たってごくりと息を飲んだ。
「どうした」
「ぁ……♡えと、あの……み、見せたいものがあるので……ちょっと、待ってもらっても……」
 魈さんが静かに息を飲む。
かなり不本意です、といった表情で「……分かった」と言ってくれた。お互いの熱気で部屋のここだけが熱い気がする。魈さんの顎からぽつりと汗が落ちて私のスウェットに染みを作った。

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