「う、うわ……」
洗面台の前に立って、昨日買った下着を身につけた自分を鏡で確認する。これは……えっちなのか……? これで魈さんががっついてくれるのか……? と考えると自信がなくなる。それでもここまできたからもうやるしかないんだけど……。
魈さんカラーの方は、ほぼ衝動買いのような感じで細かいデザインまで見ていなかったけど、背中が空いている他に左右にもスリットが入っていてどことなく璃月の服のような印象がある。それはいい、今回の目的にぴったりあっている。今度友人にしっかりとお礼をしようと思う。しかし問題は丈が異様に短い……ショーツがギリギリ見える絶妙なチラリズム……。これはすごい。デザイナーさんに尊敬してしまう。
このふわふわで可愛いベビードールのスリットから見える紐パンの細い紐、お腹が見えるようにベビードールを持ち上げるとレースの透けた紐パンがお目見え……。すごい……世の中みんなこういうので恋人誘ってるのかな。さっき着替える時にしっかり拭いたはずの割れ目がまた濡れている気がして、ひくりと子宮が疼いた。
こ、これでいくしかない。もう戻れないところまできている。それは分かってるんだけど、如何せん恥ずかしい。脱衣所を出るためにドアに手を掛けてから動けない。深呼吸しても胸がドキドキして治らなくて、落ち着き方を完全に忘れた。
そわそわしている動物を檻の外から眺めている気分だ。ど、どうしよう。着たはいいけどどんな顔して出ていけばいいのかわからない。確か今日は午前中からじっくり慣らすのがベストって調べた時に書いてあった気がする。もうすぐお昼だから、こんなところで時間を食うわけには……いやでも恥ずかしい。
落ち着いて、そうだ何か上着を着てから行こう。辺りを見回して、洗濯機に掛けてあった魈さんの薄手のパーカーを羽織る。よし、これでもう行くしかない……っ。
ふぅーっと深呼吸をして、脱衣所のドアを開ける。数秒で魈さんの部屋のドアまで辿り着いてしまって、さっきしたばかりなのにもう一度深呼吸をした。少しだけドアを引いて、隙間から頭を出す。魈さんはこちらを見た後に、ため息を吐きながら近寄ってきた。うわっそんないきなり近寄らないで欲しい。緊張で喋れなくなりそう。
「……どうかしたのか、入れ」
「あっいや……えっと……」
魈さんに静かに声を掛けられて心臓が跳ねる。うっ今からこの下着姿を見せないといけないのかと思うと恥ずかしい。きょろきょろ彷徨う視線の中で、魈さんがドアに手を掛ける。これ以上長引かせるのは無理か、と判断して緊張しながら部屋の中に入った。
裸足がフローロングにぺちりと後を引いて、自分の体温の高さが伺える。
「あの……こ、これ……」
部屋は寒くないようにと魈さんがエアコンを回していてくれて、ほんのり温かい。魈さんの前に立つと、すぅーっと息を吐いて覚悟を決める。や、やるしかない……。緊張と羞恥で顔に熱が集まっているのを知らないフリして、魈さんを見上げる。鋭い目つきに見下ろされて、ぞくぞくとしたものが背筋を駆け抜けた。
「買ったんです、下着……み、みてくれますかっ」
「……分かった」
ゆっくりパーカーのチャックを下ろす。なんかこうすると勿体ぶってるみたいだから一気にサッと下ろせばよかった。ドキドキしてる心臓の音が体内にこだまして、それで余計に緊張する。ごくりと唾を飲み込んだ音が自分のなのか魈さんのなのか分からない。
あっという間にパーカーを脱ぎ終わって、両手に脱いだパーカーをざっくり畳んで持つ。恥ずかしくて顔が上げられない……。今更だけど自分なんてことを、と後悔してももう遅くて、黙ったままの魈さんにこの後を委ねるしかない。おかしいな、想像ではもっとテンション高めに行くはずだったんだけど……とてもじゃないけどこれどうですか? とか言えない。
いやでも似合ってなかったらできれば言ってほしいな。正面から言われるとショックで泣きそうになるかもしれないけど。
「…………」
「ぁ……えと……」
沈黙が痛くて、何か喋らないととは思うがまず恥ずかしくて魈さんの顔が見れない事を思い出して黙る。両手の中でシワになる魈さんのパーカーをじっと見ていると。魈さんが小さく息を吸った感じがした。こっそり様子を伺おうとして見上げると、ばちりと視線が合って咄嗟に逸らす。びっくりした……。沸騰しそうなほど脈打っている心臓がうるさい。魈さんが何か喋るのかと思って黙って俯いているも、何も喋り出しそうな気配がなくて焦る。
どっどうしようなんか雰囲気壊しちゃったかな。もう一回ちらりと魈さんを盗み見ると、目を閉じて深く息を吐いているところだった。興醒めされちゃったかな。どうしよう。
「我はお前だけでいいと言ったはずだが」
「えっ……ぁ……ご、ごめ、なさッ──!」
はぁ。ため息の後に言われて、謝ろうとして顔を上げると思いっきり腕を引かれてパーカーを落としてしまう。あ、と思った時にはベッドに腰掛けた魈さんの膝の上で、同じ高さの目線で鋭い金色にスッと射抜かれる。高圧的な声色と雰囲気で、なんとなく怒っているのかなと思っていたが、想像以上に熱い目をした魈さんと目があってどきりと心臓が跳ねる。
腰に回った手がするりと背中を撫でて、後ろが思いっきり空いているのがバレてしまった。剥き出しになった肩甲骨の間をゆるゆると指先で撫でられてくすぐったい。きょろきょろ視線を彷徨わせているのをじっと魈さんに見つめられて、なんだか怒られているようで恐る恐る目を合わせると背中を押されて唇が触れあう。
唇の柔らかさを確かめるように、ぴたりと合わせたまま小さく動かれてそっと目を閉じた。油断した隙にかぷりと下唇を甘噛みされて、ぴくりと身体が跳ねる。さっきの噛み付くようなキスとは違って優しいキスに緊張がじんわりと溶けていく。
閉じた唇をべろりと舐められて、くすぐったくて口が開いてしまう。その隙間に舌をねじ込まれて、あっという間に口内が魈さんの舌で埋まった。よしよしと撫でるように内頬や上顎を薄くて柔らかい舌で撫でられて上擦った声が鼻に抜ける。唇が少し離れるキスの合間に囁くように名前を呼ばれて、膣の奥からじゅわりと愛液が滲んだ。何も触られていないのにヒクつく割れ目がもどかしくて腰が揺れる。魈さんの声普段より低くてかっこいい……♡お腹の奥にビリビリくる♡
いつの間にか激しさを増したキスに置いていかれないように、魈さんの首に腕を回して舌を絡める。ぎゅっと抱きつくようにくっつくと、応えるみたいに腰を抱かれて胸がキュンとなった。絡んだ舌ごとぢゅるりと吸われて、溢れた唾液を吸い上げてこくりと喉を動かす音が聞こえて胸が熱くなる。閉じた瞼が勝手に重くなって、さっきと同じように頭がぼーっとしてくる。昨日のこと思い出して頭ぼーっとする……♡
魈さんの膝に秘部を押し付けて、無意識に腰を動かして刺激するのが気持ちいい。絶対はしたない女だって思われてるけど、今更だし許して欲しい。ちゅぽっ♡と卑猥な水音を立てて舌が開放されて、魈さんが熱で潤んだ目でじっと顔を見てくる。
なんとなく言いたいことが分かった気がして、こくこく頷くとちゅぅ♡と触れるだけのキスをしてくれた。そのまま噛み跡が消え掛かっている首筋に吸い付かれてちくりと肌が痛む。痕が残ったところに熱い吐息を吹かれて思わず腰が揺れた。
「魈さん、魈さん♡わたしも付けたいです……っ♡」
私も魈さんの身体に痕を残したくて、お願いするみたいに言ったら無言で上の服を脱いでくれた。優しい。なるべく見えなそうなところにしようとして、首の付け根のあたりに口を寄せる。
魈さんはたまに狙いをつけるみたいに舐めてから吸うから、そうしてみようかな。露のような汗がわずかに滲んだ肌にぺろりと舌を這わせる。数回同じ場所を舐めてから音を立てて吸い付く。いつも魈さんみたいにうまく付けられないから、今回はちょっと強めに……。ぢゅっ♡と音がなって唇を離すと魈さんの肌に薄らと紫色が透けて出ていた。いつもよりはうまくいったかも。どうですか? と魈さんを見上げると頬に手が滑らされて口を塞がれる。
「んむっ♡……ん゛ぅ♡」
「ん、……ぅ」
頬に添えられていた手が後頭部に回って、頭をがっちり固定されて口内で逃げていた舌を捕まえられる。舌を絡めて引っ張り出されて、酸素を奪うようなキスに頭がぼーっとしてくる。息ができなくなった頃に舌が離されて、お互いの呼吸を分け合う距離で魈さんと見つめ合う。
魈さんが瞬きをした後にゆっくりとスリットの間から手を入れられて、確認するように「触れてもいいか」と有無を言わさない目つきで言われて黙って頷いた。